2012年5月31日8:00
米モバイルウォレットの熱い戦い
☆☆☆ Google Wallet 対 ISIS Mobile Wallet ☆☆☆
Mobile Wallet Wars
日本カードビジネス研究会 代表 佐藤 元則
●スピードのGoogleか!スケールのISISか!
スマートフォン所有者が40%を超え、2012年には過半数になると予測される米国では、モバイル決済の主導権争いが熾烈になってきた。特に2つの陣営が熱い戦いを繰広げている。ひとつはGoogleが推進するGoogleウォレット。もうひとつは米大手携帯通信キャリア3社のジョイントベンチャーISIS(アイシス)のモバイルウォレットである。
GoogleがGoogleウォレットを発表したのは2011年3月。5月にはニューヨークとサンフランシスコで実証実験を開始。そして9月には実用化に踏み切った。発表から実用化までわずか半年というスピードは驚異的だ。Google陣営には、通信キャリアのSprint、国際ブランドのMasterCard、カード発行会社としてCiti、プロセッサのFirst-Dataが参加した。
いっぽうのISISは、次世代のモバイルコマース、なかでもモバイル決済のプラットフォーム構築を主目的に、AT&T Mobility、T-Mobile USA、Verizon Wirelessの3社が2010年11月に設立したジョイントベンチャーである。
Googleより早く準備を進めていたが、設立から約2年という時間をかけ、2012年夏にようやく実証実験をソルトレークとオースチンで開始する。Google陣営とちがいISIS陣営には、国際ブランドやカード発行会社、端末メーカーなど、主要な企業が多数参加している。
両者のビジネスモデルはちがう。Googleウォレットは広告収入モデルで、利用者や加盟店から手数料を徴収しない。ISISは、カード発行会社やアクワイアラーから、プラットフォームの利用料を収益源とするビジネスモデルだ。
スピードのGoogleウォレットか、スケールのISIS モバイルウォレットか。スマートフォン決済の覇権をにぎるのは、どちらの陣営になるのだろうか。