2012年6月18日8:30
三菱UFJニコスと協力しiPhoneやiPadに対応した決済ソリューションを展開
技術面、運用面の優位点を武器に国内屈指の実績を築く
国内でもっとも早くスマートフォン向けの決済ソリューションをローンチしたのがフライトシステムコンサルティングだ。同社では三菱UFJニコスと協力し、iPhoneやiPad等に対応したクレジットカード・銀聯カード決済ソリューション「ペイメント・マイスター」を展開している。技術面と運用面それぞれで他社とは圧倒的に違う優位点があると自信を見せる同社の決済ソリューションについて話を聞いた。
フライトシステムコンサルティング
クレジットカードに加え、銀聯決済にもいち早く対応
iPhone等に加えiPad向けのソリューションも用意
フライトシステムコンサルティングは、2010年9月からiPhone用クレジットカード・銀聯カード決済ソリューション「ペイメント・マイスター」を展開している。クレジットカードに加え、スマートフォン決済ソリューションとして国内で初めて銀聯決済に対応。システムは、三菱UFJニコスの協力を得て構築しており、利便性はもちろん、セキュリティにおいても他社にはない強みを持っていると同社では自信を見せる。
ハードウェアは米国のmophie社が開発した「Marketplace」のOEM供給を受け、ソフトウェアはフライトシステムコンサルティングが独自に開発した。また、中国・Blue Bamboo社の日本語対応iPhone用モバイルプリンタ(P25シリーズ)に関する独占販売権を付与され、国内総代理店契約を締結している。さらにiPhone・iPod touch・iPadとマルチプラットフォームに対応できる新製品も開発し、バーコードリーダ、磁気カードリーダ、接触型ICリーダ(EMV仕様)、非接触型ICリーダ(NFC)の4つのインターフェースを搭載。また、磁気カードリーダでは、各種クレジットカードの読取機能のほか、中国銀聯カード並びに日本独自のJIS2フォーマットのカードの読取機能を追加している。2012年1月には、iPad用決済装置として、モバイルプリンタ一体型の「P25-iM」を発表した。
すでに同社の決済システムは、東急ハンズ、東急ホテルズ、ザ・リッツ・カールトン沖縄を運営するホスピタリティシステムズ、日東トラベル、ティスコジャパンが運営する那覇国際空港線ターミナル内スマートフォンレンタル&インフォメーションカウンターなどで採用されている。また、短期で開催する催事場やコンサート会場のグッズの販売などで導入が進んでおり、多方面からの引き合いも数多く寄せられているそうだ。さらに、沖縄では銀聯カード決済端末の導入を進めており、端末導入に係る助成金制度を実施しているが、同社ペイメント・マイスターは銀聯カード決済端末として約60社で採用されているそうだ。中小規模はもちろん数十台から数百台単位で大手企業に採用されるケースも多いという。
「導入いただいた企業からは、その場で決済できる利便性については高い評価をいただいています。例えば、バーゲン会場などの場合、1.5倍程度の売上アップにつながったところもあります」(フライトシステムコンサルティング 代表取締役社長 片山圭一朗氏)
また、iPad用決済装置「P25-iM」に関しては、「高級サロンやアパレルショップなどから引き合いがある」という。
業界最高水準のセキュリティを実装
最大4項目を伝送するサービスも付帯
同社では、ペイメント・マイスターの強みとして、「技術面と運用面それぞれで他社とは圧倒的に違う優位点がある」(片山氏)と自信を見せる。
まず、技術面では、カード業界で最高のセキュリティを備えているという自負があるそうだ。キーマネジメント方式は、PCI DSSの関連規格であるPCI PTS(Payment Card Industry PIN Transaction Security)で推奨する「DUKPT」に準拠している。また、三菱UFJニコスでマスターキーを保持しており、マスターキーから派生する個体ごとの個別鍵をハードウェアに埋め込んでいる。片山氏は、「一台一台の端末に異なる暗号鍵が入っていて、トランザクションごとに鍵が書き換わるシステムを採用しています」と説明する。また、端末に表示されるカード番号のデータも先頭の6ケタ、下4ケタ、および有効期限しか閲覧できない。
「既存のCAT端末はカード会社ごとにどの加盟店に設置したのかという記録を行い、行政に報告することが求められています。一方、ペイメント・マイスターでは電子証明書を格納しており、既存のCAT端末と同等もしくはそれ以上の管理を行っています」(片山氏)
具体的には、初めてアプリを起動した際、決済センターからデジタル証明書をインストールする仕組みを搭載。加盟店は、万が一、紛失・盗難などの被害に遭った場合、決済センターで発行するデジタル証明書を無効化すれば利用ができなくなる。
運用面に関しては、カード会社からの請求項目のほかに、例えば請求番号、社員コード、支店コードなど、最大4項目を伝送するサービスを付帯している。
また、協力してシステムを開発した三菱UFJニコスには、カード会社の内部に開発部隊を有しており、運用面の課題について共同で解決してきたという。片山氏は、「スマートフォン決済については、細かいレギュレーションも多く、カード会社側にシステムの技術者がいなければ運用は難しいと感じています。三菱UFJニコスがいたからこそ、Visaや銀聯のお墨付きのシステムを開発できました」と成果を口にする。
同社では今後、三菱UFJニコスが発表している「クラウド型マルチペイメントプロセッシングシステム」への接続も予定している。
なお、Androidについては、OSのバージョンアップやセキュリティ面などの課題があるため、現時点では考えていないという。
EMV、非接触対応の安価なソリューションの開発を目指す
2012年度は5,000~1万台の導入を視野に
接触ICカードを利用した決済が行えるレベル1、レベル2のEMV認定については、同社の新製品ではすでに取得済みだが、読み取ったICチップのデータを3G回線で送信する仕組みについては三菱UFJニコスのクラウドセンターと共同で構築中である。Visaでは、2012年春以降、新規に販売するスマートデバイスについては、ICチップ対応を必須とする方針であり、「今後は他社との差別化要因になり得る」(片山氏)としている。
非接触決済についてもNFCリーダが搭載されているため、TypeA/B/FeliCaの読み取りも可能だ。「電子マネー対応もこの秋までに検討したい」(片山氏)
ただ、新製品については、マルチプラットフォーム対応且つマルチ決済対応の分、約2万円のmophieの端末に比べ若干価格は上がる予定だが、コンパクトなサイズで廉価に提供できるようにしていきたいという。また、JIS2フォーマットの磁気カードの読み取りが可能なため、ポイントカードに関する引き合いも寄せられているそうだ。
現在、大手商業施設では、クレジット、銀聯、電子マネー、ポイントの読み取りが可能な端末を求める傾向にある。そのため、これらの機能を実装できれば、ペイメント・マイスターの利用シーンがさらに広がると同社では考える。同社では、2012年の端末の販売目標として、年間で5,000台~1万台の導入を目指していきたいとしている。