2012年6月28日10:00
NFCの技術仕様とテスト仕様の策定、普及・啓蒙活動を行う業界団体「NFCフォーラム」は、2012年6月25日~27日、総会を東京で開催した。東京での開催は5年ぶりとなる。
NFCフォーラム Chairmanのソニー 田川晃一氏は、「今回の総会は、180人以上の参加があり、過去最大規模での開催となりました」と成果を語る。最終日の27日に開催した交流イベント「Solutions Showcase」の参加者も前回のドイツ・フランクフルトが120人だったのに対し、今回は200人を超えたという。
NFCフォーラムは、SPONSOR MEMBERS14社、PRINCIPAL MEMBERS19社をはじめ、世界中から約175社が参加している(2012年6月時点)。「昨年の今頃は140社を切っていましたので、会員数は順調に増えています」と田川氏は説明する。
NFCフォーラムでは、「Technical Committee」、「Ecosystem Committee」、「Compliance Committee」の3つのコミッティを中心に活動している。
「現在、スマートフォンへのNFCチップの搭載が世界中で急速に進んでいますが、Compliance Committeeとしては、NFC搭載スマートフォンの互換性を高めるための議論を行いました。また、NFCを利用する各産業セグメントのサポートについても検討しています。究極は、世界中のデバイスでNFCを利用できるようにするのが目標です。日本のおサイフケータイのようなことを世界中のユーザーが体験できるのが理想です」(Vice Chairmanのマスターカード・ワールドワイド ジェームス・アンダーソン氏)
ジェームス・アンダーソン氏はマスターカードのモバイル担当でもあるが、以前は日本のおサイフケータイが盛り上がり、北米、ヨーロッパなどでも続いたが、「現在は世界中で同じ波が起きている」という。また、Treasurerのブロードコム モハメッド・アワード氏は、「NFCは地域に依存しないメリットがあり、タッチして何かが得られるという部分は今でも実現できます」と強調した。
現在、NFCフォーラムでは、決済・家電・小売・ヘルスケアなど、各業界に特化したSIG(Special Interest Group)を設立し、それぞれの分野での要望をとりこんだアプリケーションの構築に力を入れている。また、数多くの団体とリエゾン契約を結び、NFCフォーラムの仕様を要件として採用するように各産業に働きかけている。すでに決済分野の「EMVCo」、ヘルスケアの分野の「Continua Health Alliance」などとリエゾン契約を結んでおり、最近はサプライチェーンの団体である「GS1」が新たに加わった。
すでに、第一世代の規格をもとに「1st Certification Wave」による認証試験プログラムをスタート。現在、ソニー、インサイド・セキュア、DUALiといった企業が認定を取得している。また、第二世代の規格を取り込んだ「2nd Certification Wave」の認定プログラムの規格が最終段階に入っている。同規格からは、Peer to Peerに必要な「Logical Link Control Protocol(LLCP)」・「Simple NDEF Exchange Protocol(SNEP)」およびRFアナログ仕様が新たに加わることになる。
「Technical Committee では、ICタグで利用されるISO/IEC15693の対応、アプリケーションのレイヤーではパーソナルヘルスの規格を『PHBC』という形で新たに作成しています」(Secretaryのソニー・ドイツ フランク・ダヴィドウィスキー氏)
また、同フォーラムでは、NFCの世界的な広がりを受け、シンボルマークでありタッチマークである「Nマーク」の認知度向上に力を入れているそうだ。
なお、これまでは、総会時に「Plugfest」と呼ばれる相互接続テストを実施していたが、「規模が大きくなってきたため、今年はマラガ(スペイン)で独立して行った」(フランク・ダヴィドウィスキー氏)という。