2013年4月3日8:00
モバイルで送客するジオソーシャル・マーケティング
☆☆☆ 新たなショッピング体験を創出するショップキック ☆☆☆
GeoSocial Marketing
日本カードビジネス研究会 代表 佐藤 元則
スマートフォンのアプリを起動して、今いる場所をシェアすれば、ポイントやバッチがもらえる。スマートフォンのアプリを起動して、ショップに行くだけで特典がもらえる。カードを使えばもっと多くの特典を獲得できる。
ジオソーシャルというのは、ジオロケーション(位置情報)とソーシャルメディアを融合したサービスである。スマートフォンの位置情報機能を使って、体験したことをソーシャルメディアでシェアするサービスだ。スマートフォンはパソコンとはまったく違う。人とともに行動するコミュニケーションツールだ。移動中も、食事中も、テレビをみているときも、いつもいっしょ。移動中の風景を写真に撮ってシェア。電車遅延はすぐにツイッター。刺身御膳は写真とコメントに位置情報をつけて、美味しい体験を友だちに自慢する。
ジオソーシャルで有名なのは、フォースクエア(foursquare)やフェイスブック(Facebook)、ショップキック(shopkick)である。フォースクエアの会員数は3,000万人、フェイスブック会員は10億人、ショップキック会員は400万人だ。
このなかで利益をあげているのは、会員数がいちばん少ないショップキックだけ。送客に主眼をおいたサービスが、収益となり利益をあげている。ジオソーシャルでどのように送客するのか。マーケティング効果はどうか。新たなショッピング体験を創出するショップキックにスポットをあててみよう。
●ショッピングしながら自分にご褒美
スマートフォンのアプリを起動し、ショップやモールへ行くだけでキックス(Kicks)というポイントがもらえる。たまったキックスはギフトカードや映画チケット、デジタルコンテンツと交換。ときには割引特典をもらえることもある。
このユニークなサービスにつられて、実店舗への来店者数が急増している。商品を買わなくてもリウォーズがもらえるという気軽さが好評だ。
「ショップキックはわれわれの顧客で偉大な成果をあげた。ショップキック利用者の半数以上が、アプリを使うためにメイシーズに来ている。とてもすばらしい」。メイシーズ(Macy’s)百貨店のチーフマーケティングオフィサーはショップキックを評してこう語っている。
スマートフォンでショップへ送客するショップキックのコンセプトは「ショッピングしながら自分にご褒美:Treat yourself while shopping」である。
実店舗でのショッピング体験にリウォーズをつけ、ちょっとしたご褒美をプレゼントする。ご褒美は前述のギフトカードだったり、映画チケット、時には無料のカプチーノであったりする。
自分にご褒美、Treat yourselfというフレーズは、ショップキックのサービスをうまく表現している。今日のTreat(ご褒美)は何にしよう。そう思ったときには、ショップキックのアプリを起動。近くのショップともらえるキックスを確認してゴー。
オフィスからの帰りみち、キックスがもらえるショップへウォークイン。するとたちまち画面に獲得したキックス特典が大きなバブルで表示される。提携ブランドの商品をスキャンすれば、さらにキックスが増える。
世界経済フォーラム(World Economic Forum)はショップキックを技術パイオニア2013年企業に選んだ。かつてはツイッターやグーグル、ウィキペディアもこの栄誉を授かっている。