2013年7月10日8:00
デビット/プリペイドによる現金決済の切り崩しを図る
ビザ・ワールドワイド(Visa)は、2013年7月9日、日本市場戦略と今後の展望について記者向けの説明会を行った。Visaでは、後払いのクレジットカードに加え、即時払いのデビットカード、前払いのプリペイドカードを推進することにより、キャッシュレス化を図る。
電子決済の普及により犯罪の抑制につながる
海外の決済件数や取扱金額の約6割がデビット/プリペイド
Visaは、1日に1億3000万件の処理を行い、世界200以上の国と地域でネットワークを提供している。また、1万5,000以上の取引先を有しており、企業や政府機関に電子決済のメリットを提供している「世界通貨」となっている。実際、カードの発行は21億枚、820億円の取引件数、3,600万カ所で利用可能だ。
ビザ・ワールドワイド・ジャパン代表取締役 岡本和彦氏によると、海外に旅行する日本人の盗難などの被害額は182億円あるため、現金がクレジットカード等に置き換われば、さらに犯罪も減ると期待している。Visaでは安心なネットワークを構築するため、カード利用者のすべての取引が四重に記録されている。
岡本氏によると、Visaでは「新しい加盟店、新しい方法での支払い」「新しいeコマースとモバイル決済サービス」「現金から電子決済への移行」「非接触決済の推進」に力を入れているそうだ。
現状、国内における消費の中で、電子決済が占める割合は14%程度。中国、韓国は6割以上のカード決済比率があり、決して高い数字ではない。同社では、野村総合研究所の協力のもと、日本の決済市場の委託調査を実施。例えば、個人消費280兆円のうち、単価5,000円超の決済は70兆円の売上があり27のカード決済を占める。一方、5,000円以下の決済の場合、非接触決済で3%、クレジットカード等のカード決済は4%にとどまっている。
Visaでは非現金化の推進として、デビットカードとプリペイドカードの推進に力を入れる。実際、Visaの2012年の取扱高をみると、決済件数や取扱金額で約60%がデビットカードおよびプリペイドカードで行われており、これが「日本と世界を見た場合の大きな差」であるとビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社 プロダクト 統括部長 外山正志氏は指摘する。
デビットカードのイシュアは1年以内に増加予定
プリペイドカードは国内のリアル店舗での発行がスタート
現在、国内ではスルガ銀行、楽天銀行、ジャパンネット銀行、りそな銀行、あおぞら銀行の5行がデビットカードの商品を展開している。月に1回以上もしくは10万円以上の利用者を見ると、食品や衣類など、日常の買い物で利用する人が多い傾向がある。これは、利用と同時に会員の口座から引き落しをして、会員の口座から銀行にほとんど同時に入金されるため、家計をコントロールしやすいメリットがあるためだ。外山氏によると、デビットを発行する銀行はこれから1年でさらに増える見込みだという。
一方、オンラインプリペイドカードは、クレジットカード等と同様に国際ペイメントブランドのネットワーク上で利用できる。国内ではデビットカードよりも歴史が新しく、クレディセゾンの「NEO MONEY(ネオ・マネー)」、JTBの「MoneyT Global(マネーティー グローバル)」と、2種類のトラベルプリペイドカードを展開。また、ジャックスは、日本初のマルチカレンシー(多通貨対応)型プリペイドカードを2013年7月1日から展開している。そのほか、インターネット専用のプリペイドカードをライフ(V@PreCa)や三菱UFJニコス(e-さいふ)が発行している。それに加え、クレディセゾンがココカラファインと提携し、日本初の国内外Visa加盟店で利用可能なVisaプリペイドカード「ココカラクラブカード」の発行を開始した。
国内でもデビットカードやプリペイドカードの取り扱い金額は年々増加。外山氏によると、「デビットについては、2007年以降は8.7倍、プリペイドは10倍程度の規模になっている」ということだ。
また、世界41カ国で展開する非接触型決済ソリューション「Visa ペイウェーブ(Visa payWave)」の展開を開始。第一弾として、Visa payWaveを搭載したクレジットカード「OricoCard Visa payWave」をオリエントコーポレーションが国内で初めて発行している。
さらに、スマートフォンをモバイル決済端末として活用したソリューションについてもパートナーとともに拡張しているそうだ。最近ではスマートフォン決済サービスの安心・安全面が指摘されることも多いが、2015年以降は全世界で磁気ベースから接触ICを利用した決済に移行を必須としているそうだ。