2013年8月30日8:30
オープンプラットフォーム化を図る「EC-CUBE」の次なる展開は?
約20の決済代行事業者と連携できる決済モジュールを提供
国内で№1のEC構築オープンソース「EC-CUBE」を展開するロックオン。同社では、無料で利用できるソースコードを公開しており、約20社の決済代行事業者と連携して決済モジュールの提供を行っている。
無料で利用できるソースコードを公開
自由にカスタマイズできる「プラグイン機能」を提供
ロックオンは、ECサイト構築パッケージ「EC-CUBE」をオープンソースとして公開している。ソースコードを無料で公開しているため、大規模から中小規模の事業者まで利用可能だ。ロックオン EC-CUBE営業・プロモーション担当 村上裕美氏は、「現在、弊社推定値として2万店舗以上で稼働しており、日本No.1 EC構築オープンソース(※)として認定されています(※独立行政法人情報処理推進機構「第3回オープンソースソフトウェア活用ビジネス実態調査」による)」と自信を見せる。また、同社Webサイトでは約2,000の事例を公開しているそうだ。
従来はカートの部分を主に提供していたが、2012年5月からは「プラグイン機能」の提供を開始。「ECオープンプラットフォーム」へと生まれ変わった。これにより、EC加盟店は周辺機能を各サービス事業者から簡単につなぎ込みが可能だ。
また、技術者同士が交流可能な「EC-CUBE 開発コミュニティフォーラム」には、約13万人以上が登録し、活発な意見交換が行われているという。
「ASPの良さは、コストが比較的安価な点ですが、機能面は限定的です。一方、ECサイトを構築すると費用はかかりますがカスタマイズは柔軟に行えます。弊社は両方の良いところを提供できます」(ロックオン EC-CUBE統括責任者 梶原直樹氏)
EC-CUBEのWeb制作パートナー企業は約100社。EC-CUBEのデザインカスタマイズ・機能カスタマイズを得意としている。「EC-CUBEは中小企業の方だけではなく、Web制作会社やSIerのビジネスとしてご利用いただくケースも多いです」(梶原氏)
公式決済「EC-CUBE ペイメント」を約1,000社に導入
2013年1月からは多言語対応版をリリース
EC-CUBEでは、GMOペイメントゲートウェイと連携し、公式の決済システム「EC-CUBE ペイメント」を約1,000社に対し提供している。梶原氏は、「EC-CUBE ペイメントは、まず何を導入したらよいか分からないという方向けに、公式の決済として、安心してお使いいただけるよう、最も充実した機能を備えています」と説明する。EC-CUBEペイメントでは、豊富な決済手段に加え、定期購入、2クリック決済などの機能を提供。また、EC-CUBEの画面で決済金額の確認や変更、キャンセルなどが可能だ。
それ以外にも約20の決済代行事業者と連携できる決済モジュールを提供。中小規模には、GMOイプシロン、ペイジェント、ゼウスといった企業の人気があるという。
夏から秋にかけてはソフトバンク・ペイメント・サービス提供の決済モジュールのリニューアルや、スマートリンクネットワークといった大手決済代行事業者も名を連ねる予定だ。また、電子マネー「WebMoney」を発行するウェブマネー、ニッセンやネットプロテクションズの「後払い」等の手段も提供している。梶原氏は、「今後はスマートフォンの利用増加も見据え、電子コンテンツに適した決済手段も強化していきたいです」と意気込みを見せる。
EC-CUBEの脆弱性対策についても強化している。決済はモジュールの組込型で提供しているが、「モジュールを作られるところは信頼のおける制作会社、弊社からご紹介するケースが多いので、セキュリティ面ではご安心いただけると思います」と梶原氏は話す。
2013年1月からは多言語対応版をリリース。日本の決済代行事業者が外貨決済を行うためのプラットフォームを目指したいという。
なお、EC-CUBEの収益については、20社の企業とアライアンスを組んでおり、決済が行われるごとに、一部のフィーが入るモデルとなっている。
現状、EC-CUBEの利用者で決済機能を導入している先は半数以下であり、代引きなどで済ませるケースも多いそうだ。今後は決済代行事業者と協力し、クレジットカード決済の導入により売り上げがアップすることを訴求していきたいとしている。