2013年12月20日8:00
70万台を出荷する「INFOX-NET」の次なる展開は?
リーディングカンパニーとして多彩なカード決済に応える機能を提供
カード決済ネットワーク「CAFIS」の提供など、NTTデータは国内のクレジットカードビジネスを常に支えてきた。同社が提供するカード決済向け端末ソリューション「INFOX」「INFOX-NET」は、1台の端末でクレジットカードやデビットカード、非接触ICカード、中国銀聯カード等の決済に対応している。また、加盟店の用途に応じて、高機能から低価格の端末まで提供可能だ。
年間設置台数は4~5万台
電子マネーで差別化するカード会社が増加
1999年から運用を開始したNTTデータの「INFOX-NET」は、加盟店に設置したクレジットカード決済端末からの与信データを、加盟店からクレジットカード会社へ中継する国内を代表する決済ネットワークの1つだ。加盟店のニーズに応じて、据置、モバイル、タクシーメータ連動型などの端末を用意している。
これまでのCCT端末の設置台数は登録ベースで約70万台。CCT端末に対応した情報処理センターの中ではトップシェアとなっている。また、モバイル端末の台数は約25万台。最近では低価格端末の販売も伸びているが、全体的には高機能版のほうが出荷は多いそうだ。
年間設置台数は約4~5万台。ここ1~2年の設置ペースはそれほど変化がないという。「現状、加盟店に対しては、電子マネーで差別化しているカード会社が多い印象を受けます。また、ポストペイ型電子マネー『iD』端末の置き換え等で設置される加盟店も多いです」(NTTデータ 第一金融事業本部 カード&ペイメント事業部 営業統括部 ビジネス企画担当 課長 伊藤美紀氏)
最近では、他の情報処理センターが提供する決済端末が無償で加盟店に設置されるケースも増えてきたため、端末の価格は下がっているそうだ。また、イヤフォンジャックタイプのスマートフォン決済が話題となっているが、「おそらく個人事業主様などの加盟店に設置されるケースが多いため、それほどCCT端末と競合しているという意識はありません」と同第一金融事業本部 カード&ペイメント事業部 営業統括部 ビジネス企画担当 部長 河合正博氏は説明する。
通信環境の整備にもいち早く取り組む
高機能端末から廉価版まで加盟店のニーズに沿って提供
通信回線は、据置がアナログ回線、ISDN、直収電話、IP電話、インターネット等に対応しており、大手企業の場合は処理速度の速いひかり電話やインターネット等を採用するケースが多いそうだ。「トランザクションの約7割がLAN関係となっています。Bフレッツの場合は通信費用が安い特徴があります」(同第一金融事業本部 カード&ペイメント事業部 営業統括部 営業推進担当 課長代理 木村正樹氏)
モバイルについては、NTTドコモの「FOMA」、KDDIの「CPA」に対応。INFOX端末では、ひかり電話が増えた際、いち早く各キャリアと接続試験を実施するなど、通信環境の整備にも積極的だ。
INFOX端末は、端末ベンダーから直接カード会社に販売。高機能端末から廉価版まで、加盟店のニーズに沿って多くの端末を提供している。また、廉価版の「T101」については同社から直接販売している。「T101」では、一部センター側に機能を実装することで端末の機能を削減しているそうだ。
主要な電子マネーのすべてに対応
「MasterCard PayPass」「Visa payWave」の展開も準備
電子マネーについては、リッチクライアント、シンクライアント双方にいち早く対応。現状、パナソニックの「R550」が主要な電子マネー、ポストペイすべてに対応している。また、「T101」については、ほとんどがトランザクション・メディア・ネットワークス(TMN)の「UT1-neo」と同時に導入されている。今後は東芝テックの端末「CT-4100」もTMNの「UT1-neo」に接続する予定だ。
また、ショッピングセンターやスーパーマーケットなどから要望があるPOS連動については、東芝テックのPOSと決済端末を連動させる事例が多いそうだ。今後は決済の処理速度が求められるケースが増えると予想しており、加盟店やカード会社の要望に合わせて対応していきたいとしている。
さらに、2012年3月から、「INFOX-NET」のBCP(事業継続計画)の強化対応工事を行い、東京サイトおよび大阪サイトでの2重化運用を実施。24時間365日安定した運用を行っている。また、24時間365日サポートするヘルプデスクを設置。端末メーカーと連携して端末の故障などの際は即座に対応している。
直近の機能拡張としては、外貨建て決済サービス「DCC (Dynamic Currency Conversion)決済)」の提供を開始。また、今年度末に「MasterCard PayPass」「Visa payWave」をはじめ、国際ブランド準拠の決済サービスを提供予定だ。「MasterCard PayPass」「Visa payWave」対応端末については、当面は外国人観光客が多い店舗に設置されるという。
これまでINFOX端末はさまざまな分野で導入されてきたが、今後は飲食のテーブルチャージで暗証番号の入力ができていない店舗、業務用途に対応した端末などが普及すると想定している。
加盟店の売上につながる機能の追加を検討
CAFISに仕向ける施策を展開へ
また、決済以外の機能として、ポイントカード、プリペイドカードなど、加盟店の売上につながる機能の追加を予定している。さらに、海外の旅行者により便利に利用してもらうサービスも強化していきたいとしている。
「今後は、加盟店ごとにシンプルなものから重厚なものまで、さまざまな機能が求められると思います。そこにいち早く対応していきたいと考えています。また、2020年には東京で五輪が開催されますが、新たな機能の追加も検討したいと思います」(河合氏)
将来的には、スマートフォンやiPad等の普及に伴い、簡易なタブレットPOSに置き換わる可能性もあるため、それを踏まえ、他社に先行して環境を整備する必要があるとしている。現在もCAFISはさまざまな決済事業者が接続する国内最大のネットワークであるため、INFOX-NETとしてもそこにトランザクションを仕向ける施策を考えていきたいとしている。