2011年10月19日8:00
会員数100万人を突破した「mopita」の次なる展開は?
スマートフォン向け会員認証・決済プラットフォームの先駆者を目指す
GMOペイメントゲートウェイ子会社のソーシャルアプリ決済サービスが、コンテンツプロバイダーのエムティーアイ(MTI)と協力して開発したスマートフォン向け会員認証・決済プラットフォーム「mopita(モピタ)」の会員数が順調に拡大している。mopitaは、スマートフォンサービスを利用する際に必要となるユーザーID(mopita ID)を発行し、会員認証と決済方法を提供するサービスである。2010年11月から本格的にサービスを開始したが、登録IDは、2011年9月4日に100万人を突破するなど、スマートフォン向けの会員サービスを代表する存在に成長している。
ソーシャルアプリ決済サービス
有料サイトは63サイトが稼働
スポーツジャンル、芸能、音楽などが主力コンテンツに
「当初は9月末までに100万人の会員を目標としていましたが、それよりも早く達成することができました。年末に向けてさらに加速できるものと思います」(ソーシャルアプリ決済サービス 代表取締役社長 畑田泰紀氏)
SAPS社がMTIと開始したmopitaは、スマートフォン向けにWebベース及びアプリでシステムを提供している。自社でスマートフォン向けのサービスを展開している企業の多くが、数多くのアプリに埋もれてしまい、ユーザー獲得に苦戦していると言われているが、数多くのコンテンツプロバイダーが名を連ねるmopitaに参加することで、集客効果が見込めるという。
930万人強のモバイル有料会員を擁するMTIが、自社で運営するスマートフォン向けサイトへmopitaを導入するだけでなく、コンテンツプロバイダーなどスマートフォン向けサービスを手がける企業に対してもmopitaを提供している。稼働サイト数も拡大し、2011年9月4日時点、Androidの無料アプリが400~500本、有料サイトは63サイトが稼働している。会員数の伸びに伴い、取扱金額も順調に増加しているそうだ。
利用者は、会員登録をすれば、mopita導入企業全社のサービスに、何度も個人情報を入力することなく入会でき、複数入会していても、まとめて一括で支払うことが可能だ。また、会員登録情報の変更も一度にでき、mopita内のサービス購入履歴や月額利用明細も一覧で確認することが可能だ。
現在、MTIが提供するコンテンツ以外では、Jリーグ、モータースポーツなどのスポーツジャンル、芸能、音楽などが主力コンテンツとなっており、今後もこのジャンルは増える予定だ。特にスポーツ系は好評で、「スポーツジャンルは従来の携帯電話からスマートフォンへの移行が早く、今後も海外のクラブも含めて、サイトはまだまだオープンする予定です。また、タレントなど、芸能系のサイトも増えてくると思います」と畑田氏は自信を見せる。
あるスポーツクラブでは、iPhoneアプリを都度課金で提供していたが、8月からmopitaを利用して月額課金に切り替えたところ、2週間程度でアプリの累計ダウンロード数を超えたという。
従来の携帯電話の会員減少を食い止め
スマートフォンユーザーを効果的に取り込む
「スマートフォンが急速に普及していく中で、情報サイトにおいては特に、Webでスマートフォン対応することによりiPhone・Androidなど端末に関わらずリーチすることが重要です。そして多様な決済手段でマネタイズ機会を増大させること。これにより、従来の携帯電話の会員減少を食い止めると同時に、スマートフォンユーザーの動向を見る。その中で得た情報から、アプリ化した方が良いものや個別課金でのコンテンツ配信をするなど、収益機会を増大させるやり方が良いのではないかと考えています。mopitaではこのような対応に必要なサービス・機能をすべて兼ね備えています」(畑田氏)
mopitaでは当初、従来の携帯電話で各社が提供する公式サイトのスマートフォン化をターゲットとしていたが、6月からはmopitaマーケットを開設し、Androidの無料アプリ配信を開始。11月からは有料版アプリの販売対応も予定している。
現在、利用可能な支払い手段は、クレジットカード、NTTドコモの「spモード コンテンツ決済」、KDDIの「auかんたん決済」、オンライン決済サービス「PayPal」、ウェブマネーの「Web Money」、楽天の「楽天あんしん支払いサービス」となっている。決済手数料は15%と、Android MarketやApp Storeからダウンロードする際の手数料と比較して半額という料率もPR材料だ。
現段階では、NTTドコモなどのキャリア決済を利用する会員が多いが、クレジットカードの利用率も従来の携帯電話よりは比率が高いという。
「決済手段は随時追加していきたいと考えています。直近では11月にはJR東日本の『Suica』を予定していますし、その他決済手段についても準備中です」(畑田氏)
同社では従来の携帯サイトからスマートフォンへのスムーズな移行を実現するためサイトの変換最適化ツールも用意し、コンテンツプロバイダーに提供している。また、MTIのコンテンツは昨年よりスマートフォンへ移行を順次進めているという。
最近では、自社でサイトを運営しているコンテンツプロバイダーが、1つのマーケットだけでなく、mopitaを販路拡大の有効手段として利用するケースが増えてきている。
月額課金の平均単価は330~340円
早期に1,000万人の会員獲得を目指す
現状、mopita会員の多くがAndroid搭載スマートフォンユーザーだ。決済の月額平均単価は330~340円となっているが、今後は月額課金に加え、100円~200円の売り切り型のコンテンツも増えると畑田氏は予想する。また、「音楽やソーシャルゲームなど、月額のクラウド型配信なども登場するため、最終的には500~600円に平均単価は収斂してくると思います。決済額が小額なため、都度を含めた課金件数をさらに増やしていきたい」と畑田氏は意気込みを語る。
ユーザーが各コンテンツプロバイダーのサイトにアクセスする導線として、8月の新規入会者の数字を測ったところ、MTI以外の新規入会者のうち約半分がmopitaマーケットを経由して加入したサイトもあったという。なお、会員の属性に関しては、各コンテンツプロバイダーに対し、個別に可能な範囲で提供している。
mopitaは、デジタルコンテンツが中心のサービスだが、新たな展開として物販サイトなどにユーザーを集客する取り組みも開始した。9月には、mopitaマーケットのトップページにドクターシーラボのバナーを掲出、mopitaマーケットからドクターシーラボに送客するアフィリエイト型のサービスを開始。クリックレートも高いと想定しているため、今後は特集ページを設けるなど、ユーザーをより効果的に集客する方法を検討していくとしている。
「mopita開始から1年が経ち、サービスの基盤が整ってきましたので、今後はサイト内の回遊性を高める施策を考えていきたいと思います。今はスポーツジャンルのサイトが多く集まっていますので、総合ポータルに加えて、カテゴライズした専門サイトを切り出して、ニュースなどを提供することも検討しています。また、他サービスとのID連携についても考えていく方針です」(畑田氏)
mopitaでは、3年後に1,000サイトの有料サイト獲得を目標としている。会員数に関しても早期の1,000万人獲得に向け、取り組む方針だ。