2014年2月14日9:30
WebMoneyとMasterCardのプリペイドを活用した「au Wallet」を5月に開始
O2O事業で2016年度の流通規模1兆円を目指す
KDDIは、2014年2月13日に記者会見を開催し、ネットとリアルの本格的な融合を実現する3M戦略 第三弾「au WALLET構想」を開始すると発表した。同社では、「WebMoney」と「MasterCard」の決済インフラを活用した磁気プリペイドカードをスマートフォンと連携させた「au WALLET」を2014年5月に開始する予定だ。
3M戦略 第三弾「au WALLET 構想」を開始
MasterCardの約3,600万の加盟店ネットワークを活用
KDDIでは、マルチユース、マルチネットワーク、マルチデバイスの3つの頭文字からなる「3M戦略」を進めている。第一弾として、さまざまなスマートデバイスから、シンプル・シームレスに、安心してインターネットの世界を楽しむことができる「スマートパスポート構想」を2012年1月に発表。2012年3月から「auスマートバリュー」「auスマートパス」のサービスを開始した。auスマートバリューによって、au通信APUは着実に改善。また、auスマートパスの提携パートナーは303社1,069タイトルと堅調に伸びている。
2013年5月には第二弾として、「スマートリレーションズ構想」を発表。auスマートパスで新たなタイムラインを導入し、クーポン等のサービスを拡充。また、スマートフォンの使い方などを専任チームのアドバイザーがサポートする「auスマートサポート」を行っている。
そして、第三弾として、約3,400万のau顧客基盤を活用し、「au ID」にリアル世界での認証と決済機能を追加する「新たなO2O事業」として「au WALLET構想」を立ち上げた。KDDI 代表取締役 田中孝司氏は、「O2O事業で2016年度の流通規模を1兆円にする」と意気込みを見せる。
具体的には、1,000万契約のauスマートパス契約者、1,700万のau ID契約者、3,400万のau個人契約者といったauユーザーの顧客接点を活用。2014年5月、auスマートパスのUI/UXを強化予定だ。
また、決済サービスとして、KDDI子会社で、日本最大級のネットワーク型電子マネー「WebMoney」の残高・決済システムを利用する。さらに、クレディセゾンとの協業により、世界210以上の国と地域において、約3,600万の加盟店ネットワークで利用可能な「MasterCard」のプリペイド決済サービスを利用できるようにする。
ポイントが貯められるカードとスマホアプリを連携
インフラの整った磁気式プリペイドカードを採用
3M戦略の第三弾となるサービス「au WALLET」では、ポイントが貯められるプリペイドカードとスマホアプリを連携。KDDIのユーザーは、スマートフォンとの連携で買い物がもっと楽しく便利になるそうだ。具体的には、①複数のポイントカードを1枚でまとめられる、②ポイントがどこでも貯まる、使える、③お得なお店がみつかる――といったメリットがある。利用者は、MasterCardの世界3,600万加盟店で決済ができ、例えば複数のコンビニで買い物をした際の決済やポイントをすべて1枚に集約できる。さらに、不足したマネーは、スマホアプリからすぐにチャージ可能だ。また、使うたびにポイントが貯まり、特約店はポイントが増量されるメリットがある。
加えて、スマートフォンの位置情報等から、利用者に合った店舗をレコメンドして情報を提供。さらに、従来、機種変更などにしか使えなかったauポイントを通信料金の支払いに解放する。
なお、カードは非接触ICカードやNFCスマートフォンではなく、世界各国で決済インフラの整った磁気式のプリペイドカードを採用する予定だ。クレディセゾンによると、カード券面にはWebMoneyの16桁の番号とau IDが記載される予定であるという。また、プリペイドカードのため、継続課金、ガソリンスタンドなどのオフライン加盟店での利用は制限されるそうだ。
今回、カードを発行する理由として田中氏は、「ユーザーの心理として、物理的にあるカードを使って支払いたいという気持ちが強い」などの理由を挙げた。同社ではNFCやおサイフケータイのサービスも展開しているが、決してそれらのサービスから「au WALLET」に切り替えるわけではないそうだ。
KDDIでは、2014年5月を目途に、同構想を具現化した「au WALLET」サービスの提供を開始する。現在、世界中でさまざまなウォレットサービスが登場しているが、成功しているサービスは決して多くはない。KDDIでは、「『au Wallet』はこれまでにないサービス」であると自信を見せている。