2014年10月27日9:10ギフトカードやプリペイドカードを発行する60社90名が参加ギフトカードによる新規獲得に加え、自社電子マネーによる顧客の囲い込みが進む
凸版印刷と富士通エフ・アイ・ピー(富士通FIP)は、2014年10月24日、大手町ファーストスクエアにおいて、第7回「ギフトカードサービス」ユーザー会を開催し、ギフトカードやプリペイドカードを発行する60社90名が参加した。
112社がサービスを利用
認知度・利用率は年々アップ
7回目を迎えたユーザー会の開催の趣旨は、①「生活者視点に立ち、ギフトカードサービスの向上と普及を目指す」、②「情報や知恵を共有し、お客様と互いにギフトカード事業の成功を目指す」、③「ギフトカード市場全体の成長と発展に貢献する」、3つとなる。
現在、凸版印刷と富士通FIPの「ギフトカードASPサービス」は、112社がサービスを利用している。昨年は資金決済法の事務ガイドラインの改正があり、ガイドラインにしたがって運営の強化を行っている。また、SNSとの連動やスマートフォンの活用など、ギフト・プリペイドカードサービスは進化しているそうだ。冒頭挨拶した凸版印刷 取締役 情報コミュニケーション事業部 トッパンアイデアセンター長 中尾光宏氏は、「さらに開発を続けながら、よりよい社会の中で新しいサービスとして多くの人に活用いただけるようなものに、進化・開発を続けていきたい」と意気込みを語った。
ギフト・プリペイドカードの発行金額は、年々拡大しており、2013年で8,000億円の市場規模となっている。凸版印刷 ニューペイメント推進部畠山徹氏によると、「サービスを開始した2006年、2007に予測した数値と変わらずに推移している」そうだ。2013年は前年に比べ約30%市場が拡大しており、「2017年は2兆円規模の市場になる」と予測されている。また、同社のユーザーの約8割がギフトカード、2割が繰り返し利用できるプリペイドカード(サーバ管理型電子マネー)を発行しているが、売上で見るとその数字は逆転するという。サーバ管理型の電子マネーは、新たな決済手段としても一般的になりつつあり、「ギフトカードによる新規獲得に加え、自社電子マネーによる顧客の囲い込みが実現できる」(畠山氏)とした。
続いて富士通FIP アプリケーションサービス推進部 担当課長 岡克哉氏が、「プリペイドカード・ギフトカード消費者アンケート調査」の結果を発表。同調査は7月24日~29日までインターネットで行われ、10~60代の男女約1万人(スクリーニング数)が回答した。
認知度については、業種・業態問わず認知度・利用率が増加。特に、スーパーマーケットやカフェ業態では、利用率の増加度合いは女性が男性のほぼ倍の傾向となった。また、各業態の主要顧客と想定される年代で、認知度・利用率の増加が顕著となった。
ギフトシーンについては、贈るシーン1位が「感謝のしるし・お礼」、贈る相手1位が同性の友人となった。一方で、贈りたくない理由の1位は「利用場所が限定的」となっている。
自己利用用途での利用ニーズは、支払い時の利便性が最も高かった。また、チャージ金額は男女とも複数回の買い物を入金する人が多かったそうだ。
ギフトカード発行拡大におけるテストマーケティングを実施
TOHOシネマズやプラザスタイルで売り上げが増加
普及の拡大に向け、両社では、「ギフトカード発行拡大におけるテストマーケティング」を実施。凸版印刷 ニューペイメント事業推進部 武隈奈央氏がその結果を発表した。ギフトカードの認知度は高まっているものの決して高くはなく、さらなる普及に向けて同社では、「ギフトカードにメッセージ性を持たせる、購入に気付きを与える」ことが重要であると考え、テストマーケティングを実施したそうだ。
メッセージ性についてはTOHOシネマズとプラザスタイルの協力を得て実施。TOHOシネマズとは、新たなギフトシーンを創出するため、2014年9月1日~30日までの間、『映画でも見て、元気出して!』と称したキャンペーンを開催。台紙はイラストレーター・326(ミツル)さんデザインの特製台紙となった。販売数は前年同月比10%増などの成果があったそうだ。また、約半数の人が同デザインのカードを購入した。プラザスタイルとは、「おめでとう」「ありがとう」のメッセージデザインカードを販売。1店舗当たりの販売枚数は前年同月比160%、前月と比較して30%の売上アップとなるなど、好評だった。さらに、POPをレジ横に加え、店内に設置。その結果、店内にPOPを設置した店舗は1.7倍売り上げが高まった。
また、ホワイトデーにあわせて、ギフトカードのサンプリングイベントを実施。ギフトカード関連企業の協力を得て3,350枚のサンプルカードの配布を行ったが、順調に配りきったという。さらに、期間限定でWebサイトをオープンし、送客を促した。
凸版印刷社内では、ホワイトデーキャンペーンとして紀伊國屋書店、タリーズコーヒー、ビームス、プラザスタイル、無印良品のカードを販売したが、364枚のカードが売れるなど、社員に好評だったそうだ。
続いて、資金決済法 事務ガイドライン改正に伴う取り組みについて、富士通FIP アプリケーションサービス推進部 担当部長 片野坂友則氏が説明した。2013年5月24日に資金決済法 事務ガイドラインの改正が公表され、7月5日に監督指針および事務ガイドラインの改正の公表が行われた。凸版印刷と富士通FIPでは、事務ガイドラインに遵守した継続的な取り組みを行っている。
両社ではシステムの安定運用のため、サーバの増設に着手。また、取引履歴データの処理改善対応を行っている。さらに、情報セキュリティの外部格付機関であるアイ・エス・レーティングより、17段階中最高位であるAAAisの評価を取得しており、2014年も継続して監査を受診している。
そのほか、ASPサービス簡易稼働報告レポートの提供、立ち入り検査受け入れに関する利用規約の変更、メインセンターとバックアップセンターのセンター二重化などの取り組みを行うなど、「安心・安全」なサービスに向け、体制を強化しているそうだ。
ポイント交換サービス「Gポイント」と連携
「TULLY’S CARD」へGポイントからのチャージがスタート
最後の講演では、凸版印刷、富士通FIPとポイント交換に関してサービス連携を開始したジー・プラン ポイントソリューション部部長 竹内庸真氏が同社のポイント交換サービスについて紹介した。ジー・プランは、2001年からポイント交換サービス「Gポイント」を運営している。現在、交換提携146社・会員数268万人となっており、消費者が貯めたポイントを好きなポイントへ集約可能だ。最近では、従来から人気のマイルなどに加え、生活密着型のポイント交換が増えているそうだ。
ジー・プランでは、「Gポイント」を、凸版印刷と富士通FIPが提供する「ギフトカードASPサービス」を利用している企業が発行する「ギフトカード」へ、リアルタイムにチャージすることができる新サービスを開始する。「Gポイント」へのリアルタイム交換により、来店誘導とカード利用促進を目指す。第1弾として、2014年11月4日から、タリーズコーヒージャパンの「TULLY’S CARD」へGポイントからのチャージがスタートする予定だ。
閉会の挨拶を行った富士通FIP スマートサービス事業部 事業部長 小高信人氏によると、両社がサービスを開始して10年目となっているが、システムを安全に運営するための運営定例会は10月で140回、販促定例会も131回を重ねているそうだ。両社では今後も安心・安全で、ユーザーの売上に貢献できるサービスの提供を目指していきたいとしている。
なお、ユーザー会後は懇親会も行われ、ギフト・プリペイドカードを発行する企業同士の親交を深めた。