健康・予防日本一を目指す藤枝市がふじえだ健康マイレージプログラムを実施

2014年11月12日8:15健康・予防日本一を目指す藤枝市がふじえだ健康マイレージプログラムを実施従来の「守る健康」に加え、市民参加型の「創る健康」に取り組む

藤枝市では、日々の運動や食事などの目標を達成した場合や、健康診断の受診、禁煙、健康講座やスポーツ教室、ウォーキングイベント、地域行事などに参加した際にポイント(マイル)を付与する「ふじえだ健康マイレージ」を2012年10月から行っている。4週間以上チャレンジして一定ポイントを達成した市民等は、協力店でサービスが受けられる1年間有効の「ふじのくに健康いきいきカード」を手にすることが可能だ。「ふじのくに健康マイレージ事業」を17市町で実施する静岡県内の市町でいち早くサービスを開始した藤枝市の取り組みについて話を聞いた。

健康以外の動機づけで「健康行動」を戦略的に促進
静岡県と協働でサービスを構築

ふじえだ健康マイレージチャレンジシート
ふじえだ健康マイレージチャレンジシート

藤枝市では、2011年から2020年までの総合計画において、同市の強みを生かした「健康・教育・環境・危機管理(交通安全)」の4つの日本一に向けた施策を実施している。健康への取り組みに向け健康企画室(現在は課)を新設。藤枝市健康福祉部 健康企画課 主幹 藁科仁美氏は、「特定健診の受診率向上などの『守る健康』に加え、市民参加型の健康づくりを推進する『創る健康』が必要であると考えました」と、同市の健康づくりの取り組みについて説明する。藤枝市は全国的に見ても特定健診の受診率が高く、メタボ、糖尿病有病者が低い都市となっている。また、後期高齢者医療費も静岡県の市の中で最も低いそうだ。

藤枝市は、日々の身体活動量を底上げするツールを提供することで市民のウォーキング継続を支援する「バーチャル東海道の旅」、楽しんで健康になれるスポット・心身の健康維持につながる場所・美容や食など健康につながるところを紹介した「ふじえだ健康スポット20選」に加え、日々の健康行動を実施する人の増加を目指した「ふじえだ健康マイレージ」などの提供を行うことで、市民の健康づくりをサポートしている。

藤枝市健康福祉部 健康企画課 主幹 藁科仁美氏
藤枝市健康福祉部 健康企画課 主幹 藁科仁美氏

「ふじえだ健康マイレージ」は、平成23年から研究を開始。サービスの提供に向けては、市民協働課、環境政策課、教育推進課や商業観光課、農林課など、10課による庁内のプロジェクトチームを結成した。また、同時期に県もインセンティブ事業を立ち上げる企画があり、藤枝市としても県と協力したほうが、店舗の開拓やコストの削減といったメリットもあるため、協働してサービスを提供することとなった(参考記事)。静岡県は、370万人のバックボーンがあり、特に大型店の開拓については、県が動いたほうが協力店を開拓しやすいメリットがあった。逆に地域で展開する個店については藤枝市が開拓するケースが多いそうだ。

サービスを提供する上で、藤枝市では健康づくりに取り組んだ人全員にインセンティブを提供したいと考えた。また、健康的な生活習慣の意識づけ、継続・定着を主眼としている。さらに、市民がその気になった時からいつでも健康づくりを開始できるように通年制を採用している。藤枝市では平成24年10月から紙版の「ふじえだ健康マイレージ」をスタート。また、Web版は25年2月1日からスタートしている。

紙版に加え、記録から申請まで可能なWeb版を提供
7~8割は50歳未満で、若い世代の取り込みに成功

「ふじえだ健康マイレージ」では、運動、食事、休養、歯、体重測定など、市民の日々の行動からポイントを貯めることができる。市民は、自らの目標を設定し、プログラムを行うとチェックシートに記入できる。4週間継続してチャレンジして100ポイント貯めると、県が提供する「ふじのくに健康いきいきカード」(1年間有効)が発行される。

紙版では現在、約500人がポイントを貯めてカードの申請を行っているが、50代以上の年齢が多いという。

パソコン、携帯電話でポイントが貯まるWeb版
パソコン、携帯電話でポイントが貯まるWeb版

また、「健康マイレージ事業」は全県で行われているが、藤枝市ならではの特徴として、若いうちからの健康づくりを意識してもらうために、スマートフォンやパソコン、携帯電話でポイントが貯まる仕組みを構築した。利用者は生年月日、性別、メールアドレスを登録すれば、ポイントの加算や管理をWeb上で行うことが可能だ。現在、Web版には700人が登録しており、7~8割は50歳未満で、若い世代を取り込むという目標は達成できている。また、最近は60代の団塊世代の登録が増えてきているそうだ。

サービスを提供して約2年が経過したが、健康づくりにつながる切り口としては成果があったと、藤枝市では実感している。藁科氏は、「例えば、男性に効果があると感じているのが昼食後の歯磨きです。働き盛りの男性は、朝と晩は歯を磨きますが、昼食後は磨かない人も多いです。健康マイレージの項目にお食事後の歯磨きがあり、これがきっかけで習慣化できた方もいらっしゃいます。ポイントはすべて自己申告ですが、まずは毎日の中で目標を振り返っていただくことが重要であると考えています」と笑顔を見せる。

藤枝市では、まずは4週間、健康づくりにチャレンジしてもらうことで、習慣化に結び付けていきたいと考えている。あくまでも底辺の広いプログラムにして、1人でも多くの人に健康への意識を持ってもらうことが狙いだ。

なお、一定ポイントを達成した人が協力店でサービスが受けられる市内の店舗は約70店舗。今後も協力店を随時募っていきたいとしている。

来年度は協力店での利用を活性化させる仕組みを提供へ
経常経費が掛からないシステムを構築できた点で一定の成果

同事業のこれまでの成果としては、県と協働し、経常経費を抑えてサービスを構築できた点も挙げられるそうだ。また、「出前講座」など、健康づくりを紹介する講座の要望が増えているうえ、最近ではテレビ番組の取材を受けるなど、市民の認知度もさらに高まっているという。健康意識の高まりから、他の自治体の視察も年に30件程度受けており、すでに藤枝市をモデルにした健康マイレージプログラムをスタートしたところもある。

協力店に掲示するポスター
協力店に掲示するポスター

課題としては、協力店でのカード利用率が想定ほど、伸びていない印象があることだ。そのため、来年はよりカードの価値を高める仕組みを提供し、協力店での利用を活性化させていきたいとしている。また、健康づくりを達成しても「ふじのくに健康いきいきカード」の申請を行わない人も多いため、よりPRを強化していく方針である。

藤枝市では今後も、同事業はもちろん、「バーチャル東海道の旅」や「藤枝健康スポット20選」など、楽しんで健康づくりへと引き込む「啓発ツール」の選択肢を提供することで、市民が健康的な生活をする気付きを与えていきたいとしている。

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