2014年11月11日8:00県と市町が協働して健康づくりを支援する「ふじのくに健康マイレージ事業」市町が定めた健康づくりメニューを行うと、全県の協力店で特典を提供
健康寿命日本一の静岡県では各市町と協働し、市町が決定した健康づくりメニューを一定期間行うことを条件に特典を受けられる制度である「ふじのくに健康マイレージ事業」を実施している。県と市町が協働して健康マイレージ事業を実施する試みは、国内初となる。
健康づくりメニューを一定期間行うと特典が受けられるカードを配布
特定健診や各種検診の受診率アップを目指す
「ふじのくに健康マイレージ事業」とは、各市町において、住民に健康づくりを促進する仕組みであり、健康づくりのメニューは、日々の運動や食事などの生活改善、健康診断の受診、健康講座・スポーツ教室・ボランティアなどの社会参加などとなり、各市町が独自に決定する。また、特典とは、市町が健康づくりを行った住民に対して発行する優待カード(ふじのくに健康いきいきカード)を「ふじのくに健康いきいきカード協力店」において提示することで、各協力店が用意したサービスを一年間利用できるものだ。
「ふじのくに健康マイレージ事業」は、2012年10月に藤枝市においてモデル的にスタートし、2013年度から全県展開を開始した。静岡県は、2010年に厚生労働省が公表した健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)において、女性は全国1位(75.32歳)、男性は全国2位(71.68歳)となり、同県が独自に算出した男女計では、全国1位(73.53歳)となったが、健康寿命をさらに延ばすことを目的として事業をスタートしたそうだ。
従来の健康づくり施策は、関心がある人は実施するが、無関心の人に対してどのようにアプローチをするのかが課題となっていた。静岡県は、がん検診、特定健診の受診率(47.4%)も全国平均に比べると高いが、県の当面の目標である60%に比べるとまだまだ低い。また、検診を受けない人も多いため、インセンティブを与えることで健康づくりに関心を抱いてもらう狙いがあった。
各市町の健康課題に合ったプログラムを作成
特典の協力店舗は県と市町が協力して開拓
「ふじのくに健康マイレージ事業」の実施主体は各市町で、それぞれ記録票を作成し、健康づくりに取り組むとポイントなどが貯まる仕組みを採用。市町によってポイントの貯め方やカードの発行の基準は異なり、「市町の健康課題に応じて、事業を展開できるようにしています」と静岡県健康福祉部医療健康局 健康増進課 主査 宮地俊行氏は説明する。
また、記録票のポイントが貯まると、市町からカードが入手でき、飲食店やドラッグストア、スーパーマーケットなど、市中の店舗716店舗(2014年8月末)でさまざまな特典を受けることが可能だ。カードを提示した際に各店舗が提供する特典については、それぞれの協力店が独自に設定しており、県や市町からの原資の負担はないそうだ。
また、浜松市の場合は、ポイントが貯まると抽選に参加でき、御前崎市はプールの無料券が手に入るなど、独自のサービスを実施している市町もある。
静岡県の役割としては、カードや協力店に掲示するポスターを提供。また、大型店を中心に特典を受けられる協力店を開拓している。さらに、店舗検索システムを構築し、県民は、キーワードやカテゴリーを入力すると協力店を検索できる。
カードの特典有効期間は1年間
2017年までに25市町の実施が目標
カードの有効期限は発行時から1年間。県民は、1年経過すると、再度健康づくりに取り組み、ポイントが貯まると新しいカードが発行される。2014年8月末時点で累計5,758枚のカードが発行されているそうだ。
静岡県では、県民が気軽に取り組めるプログラムとして普及に努めている。各市町としても今まで健康づくりに無関心だった人に対し、健康に関心を持ってもらうよい機会となっている。特定健診の受診率に関しては当面は60%、将来的には70%を目指していて、長いスパンで見て、受診率を高めるための有効なプログラムの1つであると考え、実施しているそうだ。
2014年度現在、17市町でプログラムが展開されている。2013年度は8市町が参加し、2014年度は追加で9市町、2015年度は富士市と湖西市でのサービスも追加される予定だ。
宮地氏は、「現状、静岡県に35ある市町の半数以上がサービスを行っているため、広がりを見せています。健康増進計画では、2017年度までに25市町の実施を目標としていますが、近づいてきているので、今後は、静岡市など、まだ参加していない市町にも参加を進めていきたいです」と宮地氏は笑顔を見せた。