2010年8月25日12:30
Yahoo! JAPAN以外での「Yahoo!ウォレット」利用加盟店を積極的に拡大
日本における「インターネット決済サービス」の先駆者を目指す
「ウォレット」とは英語で“お財布”のことである。Yahoo! JAPANが提供する「Yahoo!ウォレット」は、「Yahoo!ショッピング」や「Yahoo!オークション」だけではなく、外部加盟店での利用も可能だ。同社では現在、Yahoo! JAPANのドメイン以外での加盟店の拡大に力を入れている。
会員数は2,000万人を突破
アクティブ会員の多さが特徴
Yahoo! JAPANが提供する「Yahoo!ウォレット」はYahoo! JAPAN IDに紐づいたサービスで、物販やコンテンツ利用代金の支払い情報を安全に保管し、決済のたびにさまざまな情報を入力する手間を省くサービスである。登録時にはクレジットカードか銀行口座が必要になるが、多くはクレジットカードを選択しているという。
会員数は7月に2,000万人を突破。一般会員の登録は無料だが、760万人(※2010年7月現在)を占める「Yahoo!プレミアム会員」に登録する場合は毎月346円(税抜き)が必要になる。
「会員の特徴としては、プレミアム会員の760万人は間違いなくアクティブで、利用単価も稼働率も非常に高いです。また、それ以外の会員もクレジットカード会社の稼働率などと比較して高いのが特徴です」(ヤフー株式会社 R&D統括本部 プラットフォーム開発本部 部長の谷田智昭氏)
Yahoo!ウォレット会員は登録後、IDとパスワードの入力だけで、Yahoo! JAPANの「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!オークション」「Yahoo!プレミアム」「Yahoo!ゲーム」などのサービスで決済が行える。決済の都度、クレジットカード情報などを登録する必要がないため、コンバージョンが数%アップした加盟店も存在している。
導入加盟店のメリットとしては、まずYahoo!商品検索に優先して取扱商品が掲載されることだ。これにより、購買意欲の高い顧客をダイレクトにサイトへ誘導できる。また、あわせてスポンサードサーチ(検索連動型広告)に出稿することで、自動的にYahoo!ウォレットが利用できるサイトであることが検索結果で明示され、送客効果を高めている。
外部加盟店は約550サイト
今後は決済代行と積極的に提携へ
同社では現在、Yahoo! JAPAN以外のドメインで利用できる加盟店の拡充に努めている。外部加盟店は現在約550サイト。まだまだサイト数は少ないが、外部提携企業と連携することで着実に採用が増えているという。提携企業は決済処理を委託するソフトバンク・ペイメント・サービスを始め、ショップサーブを運営するEストアー、エルテックスなど。今後はDeNAとYahoo! JAPANの新サービス「Yahoo!モバゲー」(仮称)でYahoo!ウォレットでの決済連携も予定している。
外部の加盟店に関してはPCのWebサイトが圧倒的に多く、ケータイサイトは伸び悩んでいる状態だ。今後は「決済代行事業者やカートASP事業者などの提携企業を増やすことで外部加盟店を拡大していきたい」とパートナーソリューション本部 ビジネス戦略室の赤羽 貢氏は語る。
決済手数料は3.6%が目安
ハイセキュリティな運用もセールスポイント
加盟店の決済手数料は3.6%。月額料金は、すでにYahoo!ショッピング・Yahoo!オークションに出店中で、株式会社ネットラストと契約済みの場合、無料となる。それ以外の場合は、一月単位の入金回数によって3,000円~5,000円と変動する。
「決済手数料に関してはクレジットカードとそれほど変わりない金額です」(谷田氏)
同社ではセキュリティ対策にも力を入れている。加盟店は、商品発送に必要な住所や氏名、電話番号などの情報を要望に応じて取得できるが、会員が登録したクレジットカードの情報はヤフー側が管理している。インターネット加盟店からカード会員情報の漏洩事件が相次ぐなか、「加盟店様にとっては弊社がクレジットカードなどの信用情報を保持することで本業に専念できます」と谷田氏は自信を見せる。同社ではカード業界のセキュリティ基準である「PCI DSS」の認証を2008年から取得(関連記事)。今年も7月にVer.1.2の更新審査を行った。またYahoo!ウォレットの登録情報は、業界標準の暗号化方式であるSSL(Secure Sockets Layer)を用い暗号化されたうえで通信されている。
Yahoo!ウォレットの今後について谷田氏は、「利便性とセキュリティを兼ね備えたサービスとして、インターネット決済において重要な役割を担っていくことになると思います。米国ではPayPal、中国ではAlipayがあるように、国内ではYahoo!ウォレットがあると言われる存在を目指していきたい」と力強く語ってくれた。
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