2010年8月24日10:30
電子書籍サイト「ウェブの書斎」がiPhoneに対応
10月末には約10万点の電子書籍コンテンツを持つ新サイトをオープン
大日本印刷(DNP)では2001年から運営する電子書籍の販売サイト「ウェブの書斎」をリニューアルし、iPhone向けにコミックや文芸作品などの電子書籍配信を開始した。10月末には国内最大級の電子書店のオープンを予定しており、国内初となる最大級のハイブリッド型総合書店を目指す。
決済手段はクレジットカードとWebMoney
10年で両者の利用率は逆転
DNPが運営する「ウェブの書斎」は2001年3月のオープン以来、PCのWebサイトを対象に文芸作品の電子書籍の販売、電子書籍を紙の本で購入可能なプリントオンデマンド(POD)の販売を行ってきた。今年7月には顧客からの要望を受けコミックの取り扱いを始めると共にiPhoneにも対応。顧客はiPhone用のアプリケーション販売サイト「App Store」でアプリケーションをダウンロードすることにより、電子書籍の購入・閲覧が可能になった。
現在、ウェブの書斎の販売商品は文芸作品が約1万4,000。コミックは約700となっている。商品価格は、コミックが一冊420円~630円(税込み)、文芸作品は一冊105円~1,470円(税込み)となる。会員の決済単価は、文芸作品が平均500~600円。コミックの場合は一冊を分割して販売する可能性もあるため200円前後と若干低めだ。
リニューアル前も含めた会員数は1万人前後。DNPでは同サービスの電子書籍の販売とPODの販売で2010年秋までに3,000万円の売上を目指すとリリースしているが、「8月現在までの利用金額はほぼ想定の範囲内」と大日本印刷 電子出版ソリューション本部 コンテンツビジネス部 部長 二見信行氏は語る。
利用者は電子書籍購入の際に会員登録が必要となる。DNPでは会員登録の際にアンケートを実施。そのデータによるとWebサイトの場合は40代の利用が中心だが、iPhoneの場合は20代から30代後半の年齢層になるという。また男女比はやや男性の方が多い傾向が見られる。
決済手段についてはクレジットカードと電子マネー「WebMoney(ウェブマネー)」を採用している。2001年当時から決済手段については変わっていないが、現在ではクレジットカードの利用が圧倒的に多いという。以前はWebMoneyが圧倒的に利用されていたそうだが、少額決済でもクレジットカードを利用する抵抗感がなくなってきたこともあり、完全に金額は逆転した格好だ。
クレジットカードの決済情報はDNPのサーバで管理しており、利用者は会員登録時にカード番号を入力するとその後はIDとパスワードで決済が行える。各決済事業者との契約については、2001年当時は包括加盟店契約が一般的ではなかったこともあり、DNPが直接、各社と結んでいる(参考:インターネット決済の契約形態)。
5年後に500億円の売上を見込む
他の決済手段も検討へ
二見氏によると「サイトの利用者は圧倒的にリピーターの方が多い」という。同社では今後メールで顧客の属性に応じたアプローチなども行っていく方針だ。
DNPでは5年後に電子書店ビジネスで500億円の売上を見込む。同社ではその取り組みとして10月にウェブの書斎をリニューアルし、およそ10万点の電子書籍コンテンツを持つ新サイトとしてスタートする予定だ。
「弊社の子会社には図書館流通センターがあり、ビーケーワン(bk1)という書籍のネット書店を運営しています。10月には電子書籍とネット書店の販売を連携させ、国内最大規模の電子書店を構築予定です。新サイトの開設に向けてはiPadやAndroid(アンドロイド)OSベースのスマートフォン対応も検討しています」(二見氏)
決済手段の拡充についても利用者の利便性などを考え、増やしていきたいとしている。また、手数料などの交渉次第では、決済代行事業者と包括加盟店契約を結ぶことも視野に入れる。いずれにせよ、新サイトオープン後も同社の電子書籍ビジネスにカード決済が果たす役割はますます大きくなるに違いない。
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