「Amazonログイン&ペイメント」海外市場での展開を上回るスピードで成長中

2016年1月21日6:30

ソリューションプロバイダーとの連携をさらに強化し、定期購入への対応を準備中

総合オンラインストアAmazon.co.jpでは、2015年5月11日から、外部ECサイトでAmazon.co.jpのアカウントでログインし、支払いができるサービス「Amazonログイン&ペイメント」を提供している。サービス開始から半年強が経過したが、同社ではさらに国内でのサービス導入が広がると感じ取っているようだ。

Amazonアカウントの登録情報を外部サイトで利用可能に
300以上のECサイトがサービスを採用

「Amazonログイン&ペイメント」は、同サービスを導入しているECサイトにおいて、Amazon.co.jpのIDとパスワードでログインして利用可能となり、Amazonのアカウントに登録されている配送先住所やクレジットカード情報を、そのサイトで利用できるサービスだ。通常の注文フローでは、ユーザーが商品を選択後、配送先住所や電話番号を登録するといったプロセスが必要となるが、Amazonアカウントに登録されている情報を連携することで、注文時のプロセスを簡略でき、スムーズに購入につなげることが可能だ。

Amazon.co.jpでは、数多くの商品を取りそろえているが、まだ取り扱いのない商材もある。「Amazonログイン&ペイメント」の導入サイトが増えることで、Amazonアカウントを持っている利用者にとって、さらに便利にお買い物ができる品揃えが増える。また、普段よく利用しているAmazonのIDやパスワード情報があれば、ID・パスワードを忘れてサイトの利用をやめてしまうことも少なくなり、また、外部のECサイトにクレジットカード情報を登録する入力の手間や、不安も解消されるので「Amazonのお客様が安心して、便利にお買いものをしていただくことができます」と、アマゾン ジャパン アマゾンペイメント事業本部 事業部長 井野川拓也氏は話す。さらに、「Amazonログイン&ペイメント」の利用者は、Amazon.co.jpをよく利用する人も多く、Amazonアカウントで便利にお買いものができる機会が拡がることで、Amazon.co.jpで買いものする機会も増えるなどの効果もあるそうだ。

アマゾン ジャパン アマゾンペイメント事業本部 事業部長 井野川拓也氏
アマゾン ジャパン アマゾンペイメント事業本部 事業部長 井野川拓也氏

井野川氏は、「Amazonログイン&ペイメントは、米国、イギリス、ドイツなどで展開していますが、開始当初を比べると、日本の成長スピードはより顕著で、ポテンシャルは相当高いと感じています」と半年間の成果を口にする。サービスリリース後は、問い合わせが数百件あり、対応が追い付かない状態だという。2015年12月時点では、300以上のECサイトでサービスが採用されている。

導入サイトでは、かご落ち率の改善で成果が見られる
Amazonの幅広いユーザー層の新規顧客獲得が可能

「従来は、カート画面から配送先情報などの入力時に離脱する率(かご落ち率)が7割程発生していたが、本サービスを導入されたサイトでは離脱が3割程度に減り、7割が購入完了するなどの改善効果が見られていると聞いています」(井野川氏)

ECサイトにとっても、幅広いユーザーを有するAmazonの会員を送客できるメリットは大きい。たとえば、Amazonはビジネス層に強いというイメージがあるが、「J’aDoRe JUN ONLINE」では利用者の大半が女性となっており、「幅広いユーザー層にAmazonを利用いただいているので、導入されるECサイトにとってのターゲット層の新規顧客獲得にも効果が期待できます」と井野川氏は強みを口にする。

amazon2

ソリューションプロバイダーとの連携を強化し
より多くの企業への展開を図る

ソリューションプロバイダーとして、フューチャーショップやNHNテコラスなどのショッピングカート、ecbeingなどのプラットフォーマーと協業。現在、2桁のプラットフォーマーと提携しているが、開発が完了した企業から順次サービスがリリースされている。また、決済の際のフローが分岐する可能性もあり、現状、決済代行事業者との連携は行っていない。

決済手数料は公表していないが、物販とデジタルコンテンツで異なり、業界標準並みとなっている。

なお、「Amazonログイン&ペイメント」では定期購入、継続課金に対応していないが、米国ではすでに提供しており、要望も多いため検討している段階だ。また、他のID決済では共通ポイントが付与されるメリットがあるが、「すでにトライアルでポイントキャンペーンは走らせており、その結果を見てから次のステップを決めたいと考えています」と井野川氏は話す。

最近では、他のモール事業者もカートとの連携などを含め、ID決済サービスの提供を強化しているが、「Amazonでは『地球上で最もお客様を大切にする企業』というビジョンのもと、すべてお客様視点で考えており、よりお客様にとって良いサービスであれば提供するポリシーです。ID決済は多くのプレイヤーが提供することにより仕組み自体が浸透し、最終的にお客様が便利になれば良いと考えています」と述べる。

米国では数千規模の事業者サイトや開発者が利用
安心で便利なお買いものができるサイトをさらに拡大し、顧客満足度を高める

「Amazonログイン&ペイメント」は、セキュリティ面にも最大限に配慮している。利用者のクレジットカード情報は、Amazonにて管理され、外部へ渡ることはない。また、ペイメントカードのセキュリティ基準である「PCI DSS」にも準拠している。Amazon.co.jpでの多くのトランザクションデータ等が、「Amazonログイン&ペイメント」利用時の不正取引の検知にも活用されている。

導入は順調に拡大しているが、「使えるサイトをもっと増やしていかなければいけません。いろいろなサイトでAmazonペイメントのロゴを目にする機会が増えてくると認知も高まると感じています」と井野川氏は意気込む。

今後の目標数値は公開していないが、米国では数千規模の事業者サイトや開発者が利用されており、リリース後の反響からポテンシャルの高さは感じているため、追い越す勢いでの普及を目指していきたいとしている。井野川氏は、「AmazonのIDをお持ちの方に、より安心して、便利にAmazon以外のサイトでお買いものできるサービスを提供することで、顧客満足度を高めていきたいです」と語り、笑顔を見せる。今後もユーザーや連携する企業からのフィードバックを受け、機能拡張に取り組んでいく方針だ。

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