2016年5月16日8:01
外国でもなじみが深いセブン‐イレブン店舗などで現金の入手が可能に
セブン銀行は、海外で発行された約40億枚以上あるキャッシュカードやクレジットカードで日本円を引き出せるサービスを提供している。訪日外国人の利用が進む中、世界的な認知度の高いセブン‐イレブンはもちろん、セブン&アイグループ外にある駅や空港、商業施設などでも便利に利用されているそうだ。
2007年から海外発行カード対応のATMを設置
2015年度は600万件の利用を想定
セブン銀行では、2007年から、海外発行カードが利用できるATMを提供している。対応カードは、VISA、MasterCard、中国銀聯、American Express、JCB、Discover、Diners Clubとなり、主要なブランドのほぼすべてに対応している。もともとセブン銀行は「セブン‐イレブンにATMがあったらいいのに」というお客様のニーズをふまえて生まれており、いつでも、どこでも、だれでも、安心して使用できるATMサービスを提供することを目指してきた。
現在、全国に2万2,000台以上のATMを設置しているが、約90%がセブン‐イレブンとなり、イトーヨーカドーやロフト、そごう・西武などのグループ内が2~3%、残り7%がグループ以外の設置となっている。セブン銀行 企画部 CSR・広報室 広報担当 主任調査役 荻原正俊氏は、「インバウンド対応が盛り上がっていますので、ATMの営業を行う上での強い武器になっています」と説明する。例えば、東京メトロ、JR西日本、京急電鉄などの駅などにもセブン銀行ATMは数多く設置されている。また、国内の主要な空港のほとんどに置かれているそうだ。
2013年6月には、岐阜県・高山市が積極的に誘致を行う外国人観光客の利便性向上のため、十六銀行と協業し同行高山駅前支店内にセブン銀行ATMを設置した。近年は行政から、地方銀行に海外カードが利用できるATMを設置する相談を受けることもあるそうだ。
セブン銀行では、2014年度で412万件の海外発行カードによる引き出しがあり、2015年度は600万件の利用を想定している。ただ、セブン銀行ATMの総利用件数は7億件あるため、全体に占める海外発行カード比率は決して高くはない。
また、セブン銀行では、空港、首都圏の鉄道車内、駅構内など、さまざまな場所でプロモーション活動を実施。以前は、訪日外国人が抱く日本のイメージとして、ATMで自国のカードが使えない認識があったそうだが、海外でも店舗の多い、ブランド力のあるセブン‐イレブンにおいて現金を引き出せることが徐々に浸透してきた。
さらに、セブン&アイ・ホールディングスでは、グループとして訪日外国人が便利に利用できる環境の整備に努めている。例えば、セブン‐イレブンでは、免税対応の拡大、無料Wi-Fiスポットの設置に加え、海外発行カードが使用できることを訴求している。
海外発行カードのIC化対応を2月に完了
ATM画面、明細票、ATM音声を12言語に拡大
現在は海外発行カードのIC対応を行っており、2月には主要ブランドの対応が完了する予定だ。セブン銀行では安心して利用してもらうためのセキュリティ対策も強化しており、提携金融機関等とセブン銀行の通信は、データを暗号化するなどして、安心して利用してもらうための対策を行っている。
最近はメガバンクなどでも海外発行カードへ対応するところが出てきているが、「日本での認知が広がれば当社にとってもプラスになると捉えています」と荻原氏は口にする。
なお、海外発行カードの取り引きには日本らしさをイメージした取引画面・効果音を意識した。また、訪日外国人がATM操作に迷って一定時間が経過するとコールセンターへの案内を画面表示している。2015年12月からは、ATM画面、明細票、ATM音声を従来の4言語[英語、韓国語、中国語(簡体字)、ポルトガル語]対応から8言語[中国語(繁体字)、タイ語、マレーシア語、インドネシア語、ベトナム語、フランス語、ドイツ語、日本語]追加し、12言語に対応した。荻原氏は、「従来は、訪日外国人の半分程でしたが、9割以上はカバーできるようになりました」と成果を口にする。
そのほか、「セブン銀行 ATMナビ」アプリでは、現在地から最寄りのセブン銀行ATMまでのルートを日本語もしくは英語で表示可能だ。地図を利用した案内だけでなく、AR(拡張現実)モードを付けており、例えば、一番近くのATMの向きがわかるなど、日本語や英語が分からない人でも直感的な操作ができるという。
セブン銀行では今後も、日本人に加え、外国人旅行者に喜ばれるATMサービスを提供していく方針だ。