2016年3月9日8:04
「O:der」を活用した飲食店舗「THE LOCAL」を開店
三井住友カードとの業務提携を発表
スマートフォンアプリによる事前注文・決済サービス「O:der(オーダー)」を展開するShowcase Gigと、国内最大級のコーヒーメディアであるGood Coffeeは、2016年3月10日に、東京・青山にコーヒースタンド「THE LOCAL」をオープンする。3月8日にはメディア向けのレセプションが開催されたが、実店舗向けセルフオーダーシステム 「O:der by Self(オーダー バイ セルフ)」の展開、カード会社の三井住友カードとの提携が発表された。今回の「O:der by Self」の提供により、O:derはアプリケーションとしての展開に加え、ハードウェア連携を駆使したIoTソリューションに進化を遂げたという。
「THE LOCAL」は厳選した「スペシャルティコーヒー」を提供
セルフ注文・決済端末でEMV ICカードによる支払いが可能に
「THE LOCAL」には、国内外のロースターが焙煎した豆が、フレッシュな状態でデリバリーされる店舗となる。Good Coffee 代表取締役 窪田洋一氏によると、同店舗で取り扱うコーヒー豆は、生産から焙煎まで品質が徹底された、全体の5%しかない「スペシャルティコーヒー(SPECIALTY COFFEE)」となる。まずは、アメリカ・サンフランシスコの「リチュアルコーヒーロースターズ(Ritual Coffee Roasters)」、名古屋の「トランクコーヒー(TRUNK COFFEE)」、京都の「ウィークエンダーズコーヒー(WEEKENDERS COFFEE)」、東京の「グリッチコーヒー&ロースターズ(GLITCH COFFEE & ROASTERS)」のコーヒー豆を取り扱う。「TOKYO COFFEE FESTIVAL」主宰の大槻佑二バリスタを中心に、定期的に入れ替わる個性豊かなコーヒー豆を、それぞれのロースター監修の元で適切に扱い、コーヒー1杯を丁寧に提供するそうだ。
THE LOCALでは、Showcase Gigが展開するモバイルウォレットサービス「O:der」のショーケースとなる店舗を目指している。「O:der」は、スマートデバイスを活用することにより、デジタルCRMを実現する決済機能も備えたモバイルウォレットサービスとなり、「the 3rd Burger」など、東京都内を中心に約120店舗で利用されている。
利用者は、事前に「O:der」を通じて商品の受け取り時間を指定し、クレジットカードによる決済までを済ませておくことで、スピーディな商品の受け取りが可能になる。一方、店舗はアプリ上からの通知だけでなく、電話での自動通知を選択することも可能だ。
THE LOCALでは、「O:der」アプリからの事前注文・決済はもちろん、実店舗向けセルフオーダーシステム 「O:der by Self」を新たに提供する。「O:der by Self」は、店舗に設置された専用のセルフ注文・決済端末を活用し、スマホアプリの利用者でなくても、端末から商品の注文やEMV ICカードおよび磁気によるクレジットカード決済が可能になるものだ。Showcase Gigでは、同システムにより「セルフオーダー」「パーソナライズ」「キャッシュレス」の3つを実現させることで、店舗運営の合理化と、消費者に利便性の高い注文・決済サービスを提供できるとしている。
調理状況は店舗に設置されたデジタルサイネージに表示
THE LOCALを「O:der」のショーケースに
セルフ注文・決済端末では、店舗で注文する商品やサービスをタッチパネルで選択できる。また、支払い方法を選択し、筐体に備え付けのクレジットカードリーダー(Castles Technology製)により、クレジットカード決済が可能だ(現金払いも選択できる)。支払い方法を選択すると、注文番号が記載された用紙が印刷される。現在はクレジットカードのみの対応だが、国際的に利用できるNFCや国内で利用されているFeliCaによる非接触決済にも対応していく方針だ。
店舗では、スタッフが受注状況をタブレットやウェアラブルデバイスの「Apple Watch」などで確認することで、受注ロスを防止。また、調理状況は店舗に設置されたデジタルサイネージに表示している。さらに、店舗では、Beacon(ビーコン)を活用し、来店客を検知することでスムーズな受け取りを実現できるという。
今回の「O:der by Self」の提供について、Showcase Gig 代表取締役 新田剛史氏は、「『O:der』のアプリインストールのハードルは少なからずありますが、セルフオーダーシステムの提供によりそれを補完できます。ただ、アプリインストールの課題も時系列と共に解消されていくと感じています」と説明する。今回、自身がオープンした初の店舗としてコーヒースタンドを選択した理由については、「コーヒーは10分すると冷めて、劣化してしまうため、非常に難易度が高いです。そのため、これを極めれば他の業態でも問題なく『O:der』が運用できると考えています」と口にする。
THE LOCALでは、現金を収納するドロワーのみが設置されているが、「O:der Connect API」により、既存飲食店アプリやPOSレジとの連携も可能だ。
三井住友カードがShowcase Gigと提携した3つの狙いとは?
決済処理はベリトランスが担う
レセプションの同日には、三井住友カードと実店舗向け決済ソリューション提供における協業を開始したことも発表された。Showcase Gigでは、三井住友カードと2015年11月に資本提携。現在は、三井住友カードの加盟店管理のもと、アプリ内でのクレジットカード決済、対面でのセルフオーダーでのクレジットカード決済はベリトランスの処理によりサービスが行われている。三井住友カード 戦略事業部 森下玲次氏によると、今回のShowcase Gigとの提携で期待する点は3つあるという。
1つは、セルフ注文・決済を行う店舗が国内でも増加する期待があることだ。米国では、クイックサービス・レストランの業態の上位20社のうち、8割がモバイル注文・決済に対応しており、国内でもこの流れは来るとみている。
2つめは、Showcase Gigがゲーミフィケーションのアプリの開発を得意としているため、それを三井住友カードのサービスに適用し、会員の利用を活性化させることだ。
「当社の会員の場合、利用明細は月に一回、二回しかご覧になられない方が多いため、Showcase Gig様のノウハウや技術をいただきながら、毎日頻繁に見ていただけるようにゲーミフィケーションを使って活性化させていただきたいです」(森下氏)
3つめは、Showcase Gigはローソンの公式スマートフォンアプリなど、アプリ開発の実績があるため、「弊社の提携先にご紹介させていただき、アプリ開発を行うと同時に、アプリ内での決済を提案していきたいです」と森下氏は話す。
すでに両社では、さまざまな協議が行われているそうだ。今後は、Showcase Gig、三井住友カードが保有するそれぞれのノウハウと技術を活かしてO2OやCLO領域における新商品・サービスを生み出し、さらなるキャッシュレス化の実現へ向けたソリューションを提供していく方針となっている。