2016年3月11日8:00
CCT端末で7割のシェアを獲得し、「J-MUPS」や「CAFIS Arch」も発売
パナソニック システムネットワークスは、国内のクレジットカードおよび電子マネー(QUICPay、iD、nanaco、WAON、交通系電子マネー、楽天Edy等)決済端末市場で随一の実績を誇る。さまざまな決済端末を投入する同社の強みについて話を聞いた。
電子マネー端末は2015年に累計100万台突破
低価格な端末の引き合いが増加
「CCT(Credit Center Terminal)端末は、2年前に累計100万台の出荷を達成し、非接触決済端末は昨年同様に100万台を達成できました。据え置き端末は共同利用端末として7割前後のシェアがあるとみています」(パナソニック システムネットワークス ターミナルビジネスユニット 国内営業部 営業課 決済システム 担当課長 藤倉辰男氏)
同社によると、NTTデータのINFOX及び日本カードネットワークのJET-S端末について共に台数ベースでシェア一位になっているという。また、近年は海外製の決済端末やスマートフォンと連携する安価な筐体も登場しているが、「現時点では、年間設置台数において特段大きな影響は受けていません」と藤倉氏は話す。
同社では、2014年末から2015年の頭にかけて新端末を投入したが、2015年は他社からのリプレイスが増加した。年間の出荷ベースは10万台程度となっており、「特に低価格なタイプの決済端末は多く出荷されています」と藤倉氏は笑顔を見せる。低価格な端末は、全東信やジェイ・エム・エスからの引き合いが多い。一方、大手加盟店ではPOS連動が可能な高機能タイプを採用するケースが見受けられる。現状、低価格な端末は約4万円~、高機能な端末を電子マネーと合わせて導入する場合は、10万円前後の価格となっている。
「基本的には情報処理センターの仕様に基づいていますが、既存のインフラから簡単に置き換えられるようにUI(ユーザインタフェース)を統一するなど、使い勝手の良さをご評価いただいていると思います」(パナソニック株式会社 AVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部 市場開発部 商品企画2課 課長 江島孝幸氏)
これまでの端末の性能が評価され、2015年夏からは、JR東日本メカトロニクスの「J-MUPS」の新端末、2015年度末からはNTTデータの「CAFIS Arch」に対応した端末の出荷も開始。「CAFIS Arch」対応端末は、東急プラザ銀座様での導入が決定している。「J-MUPS」や「CAFIS Arch」は加盟店のニーズに合わせ利用したい機能を追加できる仕組みとなっており、従来のCCT端末と方式が異なる。
※J-Mups端末は、JR東日本メカトロニクス株式会社とパナソニック システムネットワークス株式会社との共同開発品の誤りでした。掲載当初、誤った情報を記載してしまい、読者の皆様、並びに関係者の皆様にご迷惑をおかけしました。 心からお詫び申し上げます。
国際4ブランドの非接触決済に対応
モバイル端末はアップデートを予定
非接触決済端末については、電子マネーの導入やリプレイスのため、採用が増加。また、Visaの「Visa payWave」、MasterCardの「MasterCard Contactless(旧PayPass)」をはじめとしたNFC決済についても引き合いが増えている。なお、同社では、上記に加え、JCBの「JCB J/Speedy」、American Expressの「American Express Contactless」の4ブランドの非接触決済にも対応した唯一の端末となっている。
現状、同社の電子マネー端末はリッチクライアントタイプを採用しているが、加盟店の要望によってはシンクライアントへの対応も可能だ。ただし、シンクライアントの場合、電子マネーASP事業者への毎月の利用金額が必要となっている。
近年では、海外旅行者の増加等に合わせ、地方も含めた決済インフラの整備が進んでいるが、同社の端末が採用されるケースもある。
また、モバイル端末は、大手の保険、物流などに大量のロットを提供するケースも多い。江島氏は、「モバイル端末は商品の更改時期にあたり、近々リリースを予定しています。mPOSに関しては単機能の安価な端末ではなく、業務用途でお使いいただける多機能な端末を予定しています」と口にする。
製品の性能以外の強みとは?
次に普及する決済手段を察知し、いち早く提供へ
このように国内で屈指の実績を築いているが、同社の強みは単純な製品の性能面だけではないとしている。藤倉氏は、「当社の強みは、品質を含めたトータルサービスです。特に、保守やサポートは、加盟店への導入を推進されるカード会社からも評価をいただいています」と自信を見せる。
今後の展開として、決済やポイントの世界が多様化しているため、加盟店の負荷を軽減しながら、如何にそれらの機能に対応していくかを挙げる。すでに高機能な端末はバーコードリーダが付いているため、近年話題となっている中国系の決済手段への対応も可能だ。また、MasterCardがグローバルに展開する店舗の決済端末やPOS、消費者のアプリ双方が利用できるロイヤリティ・ミドルウェア・プログラムに国内端末メーカーでいち早く参加。パナソニック システムネットワークス ターミナルビジネスユニット 経営企画部 決済ビジネス企画担当 主幹 多田羅浩昌氏は、「カード会社のトランザクション量を増やすため、モバイルにオファーして決済につなげることが重要です。モバイルを活用したサービスはこれから普及すると予想されており、インターオペラビリティを確保していく目的もありました」と説明する。
最後に江島氏は、「昨年、『J-MUPS』や『CAFIS Arch』に対応したことにより、パナソニックとして展開する機種は一通り揃いつつあります。今後は、2020年に向け端末にどのように付加価値をつけていくかを考えていきたいです。また、いろいろな決済手段が登場していますが、次に利用される手段を察知し、いち早く対応していきたいです」と意気込みを見せた。