2016年3月16日15:08
大日本印刷(DNP)は、音声ソリューションプロバイダーである米国ニュアンス・コミュニケーションズの日本法人、ニュアンス・コミュニケーションズ・ジャパンと提携し、スマートフォンの音声入力機能で簡便かつ安全に本人認証が行える声紋認証サービスの開発を開始すると発表した。同サービスは、ニュアンスの声紋認証技術とDNPの情報セキュリティのノウハウを組み合わせたもので、2016年12月のサービス開始を予定している。
インターネット会員サービスでは、IDとパスワードによる本人認証が一般的だが、多くの生活者が同じIDとパスワードを複数の会員サービスで使用しており、1つの会員サービスからIDやパスワードが漏洩すると、本人以外が“なりすまし”により不正ログイン等を行う被害が複数の会員サービスに広がる恐れがある。一部のインターネットバンキングが本人認証の安全性を高めるために導入している乱数表やワンタイムパスワードについては、ログイン用に常に携帯する必要や、厳重に保管する手間がかかるため、その利用は限定的となっている。
これに対して今回DNPは、ICカード関連の事業や、オンラインショッピングにおける3-Dセキュアに準拠した本人認証サービスなどで培った情報セキュリティのノウハウと、海外で実績のあるニュアンスの声紋認証技術を組み合わせて、人の声を本人認証用データに用いることで利便性と安全性を高めた声紋認証サービスを開発する。
声紋認証サービスは、一人ひとりの声の特徴を抽出してパターン化した“声紋”を認証用データとして利用する生体認証サービスとなる。声紋をあらかじめ登録しておき、スマートフォンアプリのログインや取引などで本人認証を行う際に、スマートフォンのマイクに向かって発声すると、その声の声紋と登録された声紋を認証サーバーが照合し、会員本人かどうかを判定する。生活者は、声紋認証サービスにより、パスワードの保管や入力の負荷を軽減可能だ。話す言葉を決めなくても認証は可能なため、録音対策として毎回変わる言葉を読み上げてもらうことで、漏えいのリスクを軽減できる。特定の言葉の場合にのみ認証するというオプション機能もある。
DNPは、インターネット会員サービスを提供する金融機関や保険会社を中心に同サービスを提供し、2017年から2019年度の3年間で3億円の売上を目指す。