今夏から米国を皮切りに「MasterPass」の非接触決済対応を開始(MasterCard)

2016年3月31日13:25

MasterCardは、デジタル決済サービス「MasterPass」、ペイメントトークンサービス「マスターカード・デジタル・イネーブルメント・サービス(MDES:MasterCard Digital Enablement Service)」などにより、決済のデジタル化を推進してきた。スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2016」で、MasterPassとMDESの責任者であるMasterCard グループヘッド&SVP モバイル&エマージングペイメント ジェームス・アンダーソン氏に話を聞いた。

第三四半期にはMasterPassの非接触決済を29市場で展開へ
マーチャントアプリケーションも改良へ

――MasterCard様ではデジタル決済サービスとしてMasterPassを展開されていますが、現在の展開からお聞かせください。
アンダーソン:MasterPassは2016年夏(7月予定)に米国で非接触決済に対応し、リアルでのコンタクトレスペイメントが可能になります。「MasterCard Contactless」の技術を使ってMasterPass Walletが使えるようになります。また、第三四半期には、日本など29市場で展開します。

マーチャントアプリケーションも改良する予定です。マーチャントアプリケーションには、カード発行会社(イシュア)と加盟店に提供するアプリケーションがそれぞれありますが、すでに加盟店へのSDK(ソフトウェア開発キット)は提供しており、イシュアにも夏には提供する方針です。

MasterCard グループヘッド&SVP モバイル&エマージングペイメント ジェームス・アンダーソン氏
MasterCard グループヘッド&SVP モバイル&エマージングペイメント ジェームス・アンダーソン氏

――マーチャントアプリケーションの改良について詳しくご説明ください。
アンダーソン:マーチャントアプリケーションは主に買い物の際に利用されます。消費者がマーチャントのアプリケーションでショッピングする際、チェックアウトページでMasterPassボタンをクリックすると、イシュアのMasterPassアプリケーションが表れ、利用するカードを選択して認証すると、加盟店のアプリケーションが登場します。その際に、住所や連絡先など、イシュアのアプリケーションと一体となって決済が完了しますが、スムーズに連携できるようにする予定です。

冷蔵庫の「グローサリー・バイ・マスターカード」により、日々の買い物をインテリジェントカードに追加するだけで、複数の店舗から商品を注文でき、チェックアウトで支払いが完了する
Mobile World Congress 2016では、日々の買い物を冷蔵庫のインテリジェントカードに追加するだけで、複数の店舗から商品を注文でき、チェックアウトで支払いが完了するデモを行った

――MasterCard様の戦略発表会が2016年2月17日に日本で開催されましたが、その際に買い物、レストラン、タクシーなどのシーンで、MasterPassを使ったデモンストレーションが紹介されていました。今後はMasterPassをアプリケーションごとに強化されていくのでしょうか?
アンダーソン:将来的に加盟店に提供するアプリケーションの色合いがより濃くなると思います。タクシーをスマホで呼び出したり、テーブルから食べ物を注文して会計まで行うといった付加価値を提供することで、消費者側からみた場合、便利になります。消費者がいつでもどこでも使えるように広げていきたいですね。特に強化しているのは、レストラン、食品、ガソリンスタンド、交通分野(タクシー・鉄道・駐車場)の4分野となります。

Mobile World Congress 2016では給油の支払いをMasterPassで行うデモを実施
Mobile World Congress 2016では給油の支払いをMasterPassで行うデモを実施
「Japan Innovation Forum 2016」ではレストランでのテーブルからの注文、割り勘などのデモを行った
「Japan Innovation Forum 2016」ではレストランでのテーブルからの注文、割り勘などのデモを行った
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「Japan Innovation Forum 2016」ではタクシーをアプリから呼び出して、決済を行うデモを実施

Apple Payなど、MasterCardインフラを利用するすべての手段の成功を目指す
HCEは世界でさまざまなプロジェクトが進行中

――現状、MasterCard Contactlessの利用状況はいかがですか。また、MasterCard Contactlessは、将来的にMasterPassに統合されるのでしょうか?
アンダーソン:Apple PayやSamsung Payなど、サービスを提供するパートナーの増加により、利用する消費者が増えています。また、それに伴い非接触決済が使える店舗も拡大していますので、広がっています。消費者と加盟店の増加により、プラスの影響があり、これがネットワークの力となっています。また、MasterCard Contactless のMasterPassの統合は検討中ですが、当面は現在の名称を使用します。

Mobile World Congress 2016ではウェアラブルによる非接触決済も紹介
Mobile World Congress 2016ではウェアラブルによる非接触決済も紹介

――MasterCard様のMDESは「Apple Pay」、「Android Pay」、「Samsung Pay」、「Facebook Payments」などで採用されていますが、そういった中でMasterPassの非接触決済をどのように推進されていかれるのでしょうか?
アンダーソン:すべての決済が一緒に成功すればいいですね。消費者が利用しているデバイスはさまざまです。また、イシュアが提供されるサービスに信頼を置く方もいます。各サービスが拡張するのをサポートするとともに、消費者がそれぞれの決済を利用する際、MasterCardブランドのカードを使っていただければと感じています。

――世界的にHCE(Host Card Emulation:ホスト・カード・エミュレーション)を採用するイシュアが増えていますが、MasterCard様のサービスを提供されるイシュアについてお聞かせ下さい。
アンダーソン:進行中のプロジェクトは世界で数多くありますが、オーストラリアのコモンウェルスバンク、米国のCapital One(キャピタルワン)が採用を公表されています。

※取材は2016年2月22日~25日までスペイン・バルセロナで開催された「モバイル・ワールド・コングレス2016」にて

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