2016年4月1日8:30
「スマホを財布がわりにするだけの決済では、もう生き残れない」
そう言わんばかりに、モバイル決済に新しい風が吹いている。
第2の主役の正体は、モバイルオーダーサービス。
決済を起点とした接客体験の革新が、 時間がかかって当たり前だった風景を変えようとしている。
モバイル決済の成功事例として語られることが多いStarbucksも、
モバイルオーダーに惚れ込んだ。
モバイルオーダーは世の中をどう変える力をもっているのか?
実体験を踏まえてレポートしよう。
■地下鉄駅をジャック
2015年10月末。ラスベガスで開かれた世界最大級のFintechイベント「Money20/20」に参加した私は、米国の決済事情を肌で感じるため、空路サンフランシスコへ渡った。
サンフランシスコ国際空港からタクシーでユニオンスクエアエリアへ移動。地下鉄を使うためPowell駅に降りた。
改札に通じる通路で目に飛びこんできたのは黒と緑の巨大な看板。コーヒーカップのアイコンからすぐにStarbucksのものであることはわかった。
しかし、改札付近を見回して衝撃を受けた。なんと、通路から柱、電光看板やポスターの掲示エリアにいたるまで、駅のいたる所がStarbucksの広告だけで埋め尽くされていたのだ。駅の構内には、見事なまでに他の企業の広告が一切ない。
「これはいったい…?」看板をよくみると、そこにキーワードがあった。
“NO TIME? NO LINE.” 直訳すると「時間がないの?列にならばなくてもいいよ」といった具合だろう。
地下鉄の路線(LINE)との語呂合わせで“THE DIRECT LINE TO YOUR LATTE”とシャレたものもある。各駅停車ではなく、急行にのるような速さでStarbucksの飲み物を受取れるという意味だろうか。