日本でも群雄割拠のマルチポイントプログラム、世界中でさまざまな企業が展開

2016年5月25日9:12

日本でも5つのマルチポイントが展開、海外では国をまたいだプレイヤーも存在

デパートやホテル、専門店などの事業者がFUP(Frequent Users Program)として単独で導入しているクローズドなポイントプログラムに対して、マーケティング用語で“マルチリテイラー・カスタマーロイヤルティ・プログラム”(以下、マルチポイントプログラム)と呼ばれているオープンなポイントプログラムがある。さまざまな店舗で利用できるオープンなサービスであるために、会員数を獲得でき、相互送客が期待できる。TIプランニングでは、2013年1月に世界のマルチポイントプログラムを紹介した「ポイントカード・マーケティング市場要覧」を発行。このほど発行を開始した「カードビジネス年鑑」では、国内外のマルチプログラムの最新動向を紹介するとともに、激化する国内の共通ポイント市場予測を掲載している。

dポイントは、Pontaサービスが行われているローソンでも利用できる
dポイントは、Pontaサービスが行われているローソンでも利用できる

航空会社もマルチポイントを展開
欧州ではイギリス、ドイツ、ポーランドで盛ん

日本には、全国ベースで展開している主要なマルチプログラムだけでもTポイント・ジャパンの「Tポイント」のほか、ロイヤリティマーケティングの「Ponta」、楽天の「楽天ポイントカード」、NTTドコモの「dポイント」に加え、イオンの「WAON POINT」が新たに参入する。

日本では5本目の矢として「WAON POINT」が誕生。まずは6,000万のアクティブユーザー化を目指す
日本では5本目の矢として「WAON POINT」が誕生。まずは6,000万のアクティブユーザー化を目指す

また、航空会社のFFP(Frequent Flyers Progrom)であるマイレージプログラムは、元来特定の航空会社のためのクローズドなポイントプログラムであったが、全日本空輸の「ANAマイレージクラブ」や日本航空の「JALマイレージバンク」のように、多数のパートナーと共同して特典を提供している大手航空会社のマイレージプログラムの中には、マルチポイントプログラムと呼べるものも少なくない。カナダの「Aeroplan」や香港の「キャセイパシフィック航空の「Asia Miles」もマルチポイントプログラムである。

楽天とANAのようにポイントとマイルをフックにした連携も行われている。
楽天とANAのようにポイントとマイルをフックにした連携も行われている。

 

世界の主なマルチポイントプログラムとして、ヨーロッパでは特にイギリス、ドイツ、ポーランドでマルチポイントプログラムが盛んだ。イギリスには「Avios」や「AIMIA」、ドイツには「Pay Back」や「ドイツカード」という強力なマルチポイントプログラムのライバルが存在し、しのぎを削っている。

「Pay Back」や「NECTAR」はPonta誕生の参考に
アメリカン・エキスプレスが「Plenti」ブランドで展開

例えば、ロイヤリティプログラムの世界的なリーダー企業の1社であるAIMIAは、「Aeroplan(エアロプラン)」、「Club Premier(クラブプレミア)」、「NECTAR(ネクター)」、「Air Miles(エアマイルズ)」といった、世界的にも有名なマルチポイントプログラム(日本でいう共通ポイント)を展開している。また、ドイツの「Pay Back」は、2015年で創業15周年を迎え、世界中の会員数は7,500万人を超えている。「NECTAR」や「Pay Back」は、三菱商事がロイヤリティマーケティングを設立し、共通ポイント「Ponta」を立ち上げる礎となった。

中東ではイギリスの「Air Miles」がアラブ首長国連邦やカタール、バーレーンで事業展開を図っている。

アメリカにはイギリスの「Air Miles」が進出したものの受け入れられず撤退し、有力なマルチポイントプログラムが存在しなかったが、2014年にドイツの「Pay Back」を買収したアメリカン・エキスプレスが「Plenti」のブランドで2015年から新たにマルチポイントプログラムをスタート。カナダでは、「Air Miles」と「Aeroplan」という2つの有力なマルチポイントプログラムがしのぎを削っている。

オセアニアでは「Flybuys」が浸透
日本同様に共通ポイントが盛んな韓国

オセアニアはオーストラリア、ニュージーランドとも「Flybuys」というマルチポイントプログラムが浸透している。

アジアではインドでドイツの「Pay Back」が事業展開を行っている。香港ではキャセイパシフィック航空のFFPである「AsiaMiles」や香港のIC乗車券でありIC電子マネーででもあるOctopusに付帯されたポイントプログラムである「Octopusリワード」が有力だ。

お隣の韓国は日本と同様にポイントプログラムが盛んで、SKグループの「OKキャッシュバッグ」などいくつかの有力マルチポイントプログラムがある。「OKキャッシュバック」は日本の「Tポイント」がアクティブ・ユニークユーザーを公表する上で、参考にしたプログラムという話もある。

巨大な会員組織から得られるビッグデータを活用
Pontaは海外展開も実施

マルチポイントを活用することにより、消費者が普段の生活の中で数多く利用できるため、カードが財布の中に埋もれることは少なくなる。また、巨大な会員組織から得られるビッグデータを活用したデータ分析が可能になると思われる。国内での動きをみると、リアルに加え、ヤフーやリクルートホールディングス、楽天といったインターネット大手企業もマルチポイントを積極的に展開している。また、Tポイントでは、チケットやプリペイド電子マネーといった機能も1枚のカードで提供しており、今後はスマートフォンと連携したオムニチャネルの展開も積極的に展開すると思われる。

また、海外では「Pay Back」など国をまたいでマルチポイントプログラムも存在しているが、日本企業でもロイヤリティマーケティングがインドネシアでサービスを展開しており、すでに同国で№1のマルチポイントに成長しているという。今後は他のプログラムの国際展開にも注目したい。

インドネシアでは、共通ポイント事業会社「PT. Global Loyalty Indonesia」を通じて「Ponta」サービスを本格展開
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