2016年6月13日8:00
国際学部の学生は国内に加え、海外の留学先でも便利にカードを利用可能
近畿大学では、日本初のVisaプリペイド機能付き学生証「近畿大学学生証一体型 VISAプリペイド」を、2016年4月に新設された国際学部の新入生に対して発行開始した。国際学部の学生は学内をはじめとする日本のVisa加盟店に加え、留学先でも便利にカードを利用できる。また、保護者は日本からカードに入金(チャージ)することができ、子どもの留学生活を支援することが可能だ。
日本初となるサービスの開発・提供に注力
保護者からクレジットカードによる入金が可能
近畿大学では、今年度から国際学部の新入生500人全員に対し、Visaプリペイド機能が付いた学生証を発行している。同大学では、学生証に新たな機能を付加することを検討していたが、クレジットカード同様に、ネット・リアル問わず世界中の店舗で利用できるVisaプリペイドカードの存在を知り、三井住友カードおよびビザ・ワールドワイド・ジャパンと提携してカードを発行することとなった。
近畿大学では、これまでにもオンライン通販サイト「Amazon」を通じたインターネットでの教科書販売や、卒業証明書等各種証明書のコンビニ発行など、日本初となるサービスの開発・提供に注力してきた。今回、同カードの発行により、これらのサービスをスムーズに利用しやすくなるという。
Visaプリペイドカードを選択したのは、国際学部の新設がキーワードとなっている。Visa加盟店は、世界で利用できる国・地域が200以上あり、加盟店も3,800万店を有する。また、リアルに加え、インターネットでも便利に利用可能だ。近畿大学学生部長の渥美寿雄氏は、「国際学部は1年の後期から全員が海外に留学しますので、Visaプリペイドカードにより、海外でも学生証を便利に活用してもらえます」と説明する。国際学部のグローバル専攻は米国、東アジア専攻は韓国、中国、台湾のいずれかに留学予定だ。
Visaプリペイドカードには、学生本人はもちろん、保護者も専用サイトへログインし、クレジットカードで入金することができるため、学生の学内での生活や留学生活を日本からサポートすることが可能だ。また、専用サイトでは、Visaプリペイドカードの月々の使用内訳が明示される。カードには、1回2万9,000円まで、計5万円までチャージが可能だ。
「プリペイドカードは審査が不要で、事前にチャージでき、限度額が設けられています。学生の使いすぎを防止できるので、安心感があります」(渥美氏)
カード紛失時には「マイページ」からカード機能の停止が可能
再発行が速やかにできるのも採用のポイント
学生は、仮にカードを紛失した場合、「マイページ」からカードの機能を止めることができる。さらに、カードの機能を止めた際の残金を新カードに移行可能となっている。近畿大学学生部主任の福本志穂氏は、「仮にカードを紛失された際も再発行が速やかにできるのも採用のポイントでした」と口にする。また、学生証のため、卒業時にカードは回収されるが、その際には残金を残さないように案内を行っていく方針だ。
学生は、カードを2,000円使用するたびに1ポイント付与される。これは三井住友カードのポイント制度に則っており、他のVisaプリペイドカードと同様の基準にしている。
今回は国内初のVisaプリペイドカードの採用となったが、学生や保護者の理解を深めるため、説明会を開催し、三井住友カードに説明してもらった。
学内の店舗は個別に三井住友カードと契約
学生の利便性向上のため、商店街での端末設置に期待
学内では、学生生協など、複数の店舗でVisaプリペイドカードが利用できるが、クレジットカード決済端末の設置は三井住友カードが実施。加盟店契約は三井住友カードと各店舗が直接行う流れとなる。現在は学内の一部のレジでの利用となるが、導入店舗が広がれば、さらにチャージや決済額は伸びると考える。また、学内でチャージできる環境も整備していく方針だ。
福本氏は、「駅から東大阪キャンパスに向かう途中にも商店街が発展していますので、今後は端末が設置される店舗が増えれば、利便性はさらに高まると考えています」と期待を込める。
なお、同カードは、他のVisaプリペイドカード同様に、公共料金やガソリンスタンド、高速道路、電子マネーのチャージなどでは使用ができない。
IC機能を出席管理に活用
来年度は全入学生に対して発行を検討
近畿大学学生証一体型 VISAプリペイドには、IC機能(FeliCa)も付いており、出席管理にも利用されている。保護者は、子どもの出席の状況を「保護者ポータルサイト」で閲覧可能だ。同機能は保護者に好評で、学生もそれほど管理されている意識はないというアンケート結果が出ている。
今回、カードのデザインは近畿大学自らが実施。ビザ・ワールドワイド・ジャパンや三井住友カードなどと協力してカードを発行できたため、カードも従来のカードに比べてコスト負担が少なく、費用も予算内に収まったそうだ。
現状は国際学部のみの発行だが、来年度は全入学生に対して発行を検討している。渥美氏は、「もっとも重要なのは学生の利便性です。われわれは学生のアンケートを頻繁にとっており、例えば卒業アンケートでは、下級生に恩恵がある部分は参考にして、学生サービスの向上に努めています」と口にする。
渥美氏は、「2020年のオリンピックに向けて国内でもキャッシュレス化が進むと思います。それに先駆けて本学としても大学構内の整備環境を進めていきたい」と意気込みを語った。