2016年7月1日10:09
ブロックチェーン推進協会(BCCC)は、2016年6月30日、第1回総会を開催した。総会では、平野洋一郎氏(インフォテリア 代表取締役社長/CEO)から協会の趣旨の説明、新加入会社の紹介が行われた。また、普及委員会および技術委員会の説明、2016年8月に開校する「ブロックチェーン大学校」の概要について発表された。
6月29日時点で61社が加盟
金融に加え、流通、公共、製造、医療の領域にも活用を広げる
ブロックチェーンはP2P方式によるデータ処理の基盤技術で、複数のコンピューターが分散型合意形成を行い、暗号署名しながらブロック単位で複数データを処理するのが特徴となっている。
BCCCは、ブロックチェーン技術の研究開発および実装推進を行う有志企業が集まり、4月25日に発足。当時は34社でスタートしたが、6月29日までに61社となり、30日当日も1社の申し込みがあったという。BCCCには、プリペイドサービスを展開するアララ、ビットキャッシュなど、決済系企業も参加している。同協会の入会は、スタートアップに配慮しており、売り上げによって1万円(1億円未満)から参加可能だ。
活動として、ブロックチェーン技術の情報共有、普及啓発、領域拡大、資金調達支援、海外連携等が挙げられる。また、金融領域での話題が豊富だが、平野氏は、流通、公共、製造、医療の領域にも広げていきたいとしている。
また、理念として、技術や製品に中立な“ブロックチェーンニュートラル”“プラットフォームニュートラル”を挙げた。さらに、世界中の団体との連携を図るなど、“グローバルに連携しガラパゴス的活動をしない”ことを目指している。それに加え、“反社会勢力、反市場的勢力の排除を掲げている。
「デジタルJPY通貨」をブロックチェーン上に発行
BCCC加入各社のサービス内で通用する相互決済環境の構築を目指す
活動は、普及委員会、技術委員会、啓発委員会に分かれる。普及委員会はブロックチェーンの普及・啓発を図る。同委員会では、体系的なカリキュラムを実施し、セミナーやイベントなども開催する。技術委員会では、自らが関与するシステムやサービスにおけるブロックチェーンの適用を進め、実用事例を広く知らしめる役割がある。また、協会内での実験も行う。運営委員会は、教会全体の運営・方針検討決定、他団体と連携を行う。
技術委員会の活動として、ソリューション開発各社の協力を得て、ハンズオン演習のミートアップを開催する予定だ。また、日本円と等価(1対1)でペッグする「デジタルJPY通貨」をブロックチェーン上に発行し、流通を可能にする実験を予定している。技術委員会委員長の杉井靖典氏(カレンシーポート CEO)によると、第一弾として、BCCC加入各社のサービス内で通用する相互決済環境の構築を目指すそうだ。これにより、デジタル円の発行や流通にかかわる実務の洗い出し、業務フローの設計、国際提案を含んだ論文の作成を予定している。
そのほか、秘密分散ストレージとブロックチェーンの連携、リング署名を用いて機密性を確保するコンフィデンシャルトランザクションの実現、Shardhingの応用によって秒間数万~数十万オーダーのトランザクションに対応するハイパフォーマンス・スケーラビリティなシステムを目指すという。
ブロックチェーン大学校を開校
前倒しで年内100社の参加を見込む
なお、BCCCでは2016年8月、日本国内のブロックチェーン技術を活用するエンジニアや、ブロックチェーンの導入を検討する金融機関や企業等における担当者への教育カリキュラムとして、「ブロックチェーン大学校」を開校する予定だ。
大学校の運営はビットバンクの協力を得て、BCCC会員企業の社員を対象に実施する。教材担当は、ライアン X. チャールズ(Ryan X. Charles)氏、講師はジョナサン アンダーウッド(Jonathan Underwood)氏が担う。ブロックチェーンの利活用技術に対する正しい知識を定着させていくため、1回約2時間、全8回のシリーズで実施。受講料金は第1期が6万円となっており、これはビットバンクが一般に実施している定価の半額となる。
BCCCの今後の予定として、委員会活動の活性化、前倒しでの年内100社程度の参加を見込む。さらに、銀行などの金融、システムインテグレーターの参加を目指すという。そのほか、Global Blockchain Forumなど、海外組織との連携を行っていきたいとしている。