西日本シティ銀行、九州カードと共同で「NCBデビット」をVisa、JCBの2ブランドで発行

2016年10月11日8:00

若年層を中心にクレジットカードでは取り込めなかった利用者の獲得を目指す

西日本シティ銀行は、国際ブランド搭載の「NCBデビット」を、九州カードと共同で発行する。Visaブランドのカードは2016年8月から本番環境でのテスト発行を開始し、12月から本格展開。また、JCBブランドは10月の発行を予定している。ブランドデビットの運用において、銀行がカード会社と共同でデビットカードを発行するのは、国内初の取り組みとなった。

銀行独自の決済サービスを強化
若年層にデビットカードの利用シーンを窓口で訴求

「NCBデビット」は、VisaとJCBの2ブランドのカードを発行する。カードの年会費は、初年度無料、次年度以降1,000円(税別)となるが、前年1年間の利用金額10万円以上で翌年の年会費も無料となる。

西日本シティ銀行 営業企画部 主任調査役 尼田雅典氏は、「銀行でもFintech(フィンテック)等、新たな取り組みが注目を浴びる中、独自の決済ビジネスを強化していきたいと考えました。もう一方では、クレジットカードのビジネスと違う切り口で決済のすそ野を広げていく目的もありました」とデビットカード発行の経緯を語る。

西日本シティ銀行 営業企画部 主任調査役 尼田雅典氏
西日本シティ銀行 営業企画部 主任調査役 尼田雅典氏

現在、西日本シティ銀行のクレジットカード「オールインワンカード」は若年層の利用者が中心であり、一定の収益は確保できているが、30代、40代になると、還元率が有利な他のカードに流れることもあるそうだ。また、将来的には人口減によって会員が頭打ちになる可能性もあるため、従来のクレジットカードでは取り込めない、新たなユーザー層を獲得する狙いがあった。

スタート時点での「NCBデビット」のターゲットとして、まずは若年層が挙げられる。尼田氏は、「まずは、若年層の方へのプロモーションをしっかりと行う予定ですが、デビットカードの利便性をしっかり打ち出すプロモーションをしないと商品性を理解してもらえません。クレジットカードに抵抗がある方にデビットカードで決済いただけるように、利用シーンを伝えていきたいですね」と説明する。若年層への訴求は銀行窓口での提案が中心となるが、そのメリットをしっかりと訴求していく方針だ。

西日本シティ銀行では、若い世代の「オールインワンカード」会員のクレジットカードの利用実績を調べたところ、利用1位の加盟店はAmazonとなった。また、2位はAppleの「iTunes」となっている。たとえば、iTunesはコンビニエンスストアでプリペイドカードを購入して決済されるケースも多いが、そういった利用者にデビットカードの利便性を訴えていきたいとしている。

また、比較的お金と時間に余裕のある高齢者の利用はもちろん、その中間の“クレジットカードを持てない、持ちたくない層”にも保有を勧めていく。

デザイナー集団GROOVISIONS(グルーヴィジョンズ)が券面をデザインした「NCBデビット」
デザイナー集団GROOVISIONS(グルーヴィジョンズ)が券面をデザインした「NCBデビット」

「NCBデビット」は、キャッシュカードとの分離型を選択。「オールインワンカード」はキャッシュカードとの一体型だが、同カードとのすみ分けを図った。他行では、比較的高額な買い物はクレジットカード、日常の消費はデビットカードといったように2枚カードを保有して、使い分けされているケースもあるため、「オールインワンカード」の利用者にもアプローチできると考えている。

九州カードが利用者のサポート、加盟店対応等を担う
VisaブランドはVJAのスキームを活用

今回、共同でカードを発行するグループの九州カードは、九州地域で屈指の実績を誇るカード会社だが、「協力して展開することで、グループとしての収益を高めていきたい」と尼田氏は話す。

九州カードとの共同発行については、2年前から検討を進めてきた。国際ブランドデビットは、国内特有のインフラにより、二重引き落としやオフライン加盟店への対応など、日常の細かい業務が発生する。今回、九州カードが利用者のサポート、加盟店対応等を行うことで、西日本シティ銀行では、申し込み業務に専念することが可能となった。

「デビットカードの業務では、問い合わせなどが発生しますが、銀行のノウハウだけでお客様に満足できるスピード感での対応、加盟店との交渉ができるかとなると難しいです。そこは、九州カードのノウハウが強みとなります」(尼田氏)

九州カードとの共同発行については、Visaブランドは銀行・金融機関系カード会社62社で組織する企業連合であるVJAのスキームを活用している。また、2ブランドの発行はトップダウンで決定したが、すでに九州カードでは両ブランドのカードを発行している。今回、地方銀行が2ブランドのデビットカードを発行する取り組みは初のケースとなる。

また、地域店舗に向けた取り組みでは、九州カードと連携する意義は大きい。尼田氏は、「九州カードでは、韓国の新韓(シンハン)カード、銀聯などの加盟店開拓も行っており、九州地域では№1のカード会社です。また、福岡の大規模な商業施設などとも契約しているため、連携が図りやすいです」と期待する。

「西日本シティ銀行アプリ」との連携を実施
学生証や社員証と一体化等も視野に

さらに、アプリのダウンロード数が16万を突破した「西日本シティ銀行アプリ」との連携も図る予定だ。同アプリは、その利便性が受け、Twitterなどで拡散して利用者が増加。「NCBデビット」との連携では、デビットカードを利用するための口座残高の確認、明細を確認するなどを想定している。また、ビッグデータを溜め込んで、プッシュ通知で利用を促すことも視野に入れる。

「クレジットカードの本体発行の時もそうでしたが、お客様の購買情報と銀行のビジネスを結びつけるのは非常に難易度が高く、かつては思うような成果をあげることができませんでした。ただ、人工知能やビッグデータを活用するノウハウも洗練されてきますので、再度チャレンジしていきたいですね」(尼田氏)

今後は、九州カードがNTTデータと協力し、福岡地所やパルコで展開しているCLO(Card Linked Offer)サービスなどもトライしていきたいそうだ。

尼田氏は、「デビットカードは、銀行でしか展開できないプロダクトです。そういった意味では多くの可能性のあるカードだと考えており、たとえば、学生証や社員証と一体化させる方向感などは視野に入れていきたいです」と意気込みを語った。

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