2017年2月2日8:00
全国のVJAグループ各社へ向けて積極的に展開へ
三井住友カードは、2016年10月21日から、クレジットカード会社と銀行が共同で発行会社となる国際ブランド(Visa)付きデビットカード「SMBCデビット」の募集を開始した。同スキームは九州カードと西日本シティ銀行も採用しており、今後は全国のVJAグループ各社へ向けて積極的に展開していく方針だ。
カード会社がイシュアとしてブランドデビットを発行するケースは日本初
クレジットカードで培ったノウハウをフル活用
これまでのデビットカードは銀行が発行会社となり、カード会社はデビットカードの売上請求、ブランドとの精算業務、コールセンター業務等を受託したケースはあったが、「SMBCデビット」を発行するにあたり、三井住友銀行と三井住友カードは、三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMFG)として、三井住友カードが保有するクレジットカードで培ったさまざまなノウハウを活用するため、銀行とカード会社が共同で発行会社となる方式を日本で初めて採用した。
国際ブランド付デビットカードは、既存のクレジットカードのインフラを利用するため、国内特有のインフラの問題(オフライン加盟店等)への対応や、不正使用に対するモニタリング業務など、日常の細かい業務が発生する。「SMFG全体でみた場合に、弊社はクレジットカードやプリペイドカードのノウハウに加え、アクワイアラーとしてのノウハウをフル活用させていただくことが可能である点が、カード会社と銀行が共同イシュアとなるメリットです」と、三井住友カード 商品企画開発部 グループマネージャー 前田将宏氏は今回のスキームに至った経緯を説明する。
西日本シティ銀行と九州カードの「NCBデビット」のスキームでも採用
三井住友カードでは、国際ブランドを介在したデビットカード取引が、既存のクレジットカード取引と類似している点に着目し、カード会社がデビットカードを発行することができるという整理を行った。前田氏は、「法解釈等の整理に時間を要しましたが、結果としてカード会社と銀行の共同発行に至ることができました」と話す。
今回のスキームは、西日本シティ銀行と九州カードが展開する「NCBデビット」の共同発行のスキームでも採用されている。今後は、同スキームを60以上のVJAグループ各社に提案していく構えだ。
「SMBCデビット」の展開については、「これまでクレジットカードを持ちたくなかった、持てなかったお客様に対して、訴求できると考えています。できれば、一人でも多くのお客様にキャッシュカードと同じ感覚で使っていただきたいです。また、三井住友銀行と提携して発行するクレジットカードのご案内を実施することができるとともに、これまでのクレジットカードだけでは得られなかったお客様の属性情報やトランザクションデータを取得することが可能です」と前田氏は意気込む。さらに、同部 シニアスタッフ 井関文典氏は、「これまでお取引いただいていない方へのリーチも含めて、さらにドライブをかけていきたいです」と力を込める。
受託に対応できるプラットホームを構築
なお、今回のスキーム構築に向けては、デビットカードの業務受託にも対応できる機能を追加している。傘下のカード会社を持たない金融機関の場合、三井住友カードが支援することも視野に入れる。
前田氏は、「各カード会社が個別にシステム対応した場合、莫大なコストがかかりますが、基本機能を共同利用できる仕組みのため、必要最低限の金額でご参画いただけます」と笑顔を見せる。今後はデビットカードのトランザクションデータから得られるデータを活用し、ビッグデータ活用やCLOが提供できる環境を整えていきたいとしている。