あらゆるカードを1つのアプリに集約できる「スマホサイフ」とは?(CCCマーケティング)

2016年11月16日9:22

CCCマーケティングは、ポイントカードやスタンプカード、クレジットカード、電子マネー、キャッシュカードなど、財布の中にある各種カードを1つのアプリに集約し、アプリ経由で利用できる共通プラットフォーム「スマホサイフ」アプリを2016年7月20日から開始した。サービスの狙いについて、CCCマーケティングに話を聞いた。

スマホ1つでポイントから決済まで可能に
大手企業が続々と参加を予定

「スマホサイフ」は、“スマホ1つでポイントから決済まで利用できる”をコンセプトとしたサービスとなる。生活者は、財布の中のさまざまなカードを「スマホサイフ」アプリに集約できるようになる。また、「スマホサイフ」アプリが財布の代わりとなり、店頭でバーコードやQRコードなどを提示すると、会計時にさまざまなカードのポイントが貯まり、決済までをシームレスに利用することが可能だ。

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CCCマーケティング 執行役員 C5事業本部 本部長 渡辺朗氏(右)とCCCマーケティング C5事業本部 C5営業部 営業統括 荒井孝久氏(左)

現状、モスバーガーの「モバイルモスカード」、カルチュア・コンビニエンス・クラブの「Tカード」、ライトオンの「ライトオングループメンバーズカード」、アメリカンイーグル アウトフィッターズの「AEO FRIENDS」が利用できる。11月15日には、日比谷花壇でサービスがスタート。また、クリスピー・クリーム・ドーナツおよびユナイテッドアローズが17年2月、NATURAL BEAUTY BASICなど 36ブランドを展開するTSIホールディングスは来春から各ブランドで順次、GAPでも来春以降でそれぞれサービスを開始する予定だ。CCCマーケティング 執行役員 C5事業本部 本部長 渡辺朗氏は、「企業数の増加に比例して、スマホサイフの価値がさらに上がりますので、今後も多くの企業さまにご参加いただきたいですね」と語り、笑顔を見せる。

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CCCマーケティングが「スマホサイフ」の開始を検討したのは約3年前。当時、複数のカードを集約できるいくつかのウォレットサービスが海外で話題となっていた中、日本でも同様のサービスを展開できないかと考えた。近年は、「Tポイント」をはじめとする、複数の店舗で便利に利用できる共通ポイントサービスが浸透しているが、CCCマーケティングが実施した2年前のアンケートでは、自己申告ベースで1人16.3枚のカードを保有していることが分かった。それをスマートフォンに集約できれば、顧客の利便性を高めることができると同社では考えた。スマホサイフの参加企業は、利用者が持ち歩くスマートフォンを利用して、自社のポイントを貯めたり、使ったりできるサービスを提供することが可能だ。

海外でも米国やシンガポールなどで、さまざまなウォレットサービスが展開されているが必ずしも成功しているサービスは多くはない。世界で成功しているウォレットサービスとして、韓国SKグループの「Syrup Wallet」(旧Smart Wallet)が挙げられるが、韓国のマルチポイント「OK CASHBAG」などグループ内のサービスに加え、それ以外のさまざまなサービスを格納しているのが特徴だ。

CCCマーケティング C5事業本部 C5営業部 営業統括 荒井孝久氏は、「キャリア、ブランド縛りでウォレットサービスを展開しても、必ずしも上手くはいかないと考えています。中立的なゲートウェイとして、参加企業さまの会員獲得、店舗の利用促進を図り、基盤となるサービスを目指していきたいです」と意気込みを見せる。まずは、日本で浸透しているポイントカード、会員カード、プリペイドカードを数多く登録できるサービスとして、顧客利便性を高めていきたいとしている。また、中立的なプラットフォームとして、将来的に「Tポイント」以外の共通ポイントにも参画してもらうことも否定しない。

参加企業の要望に沿って各サービスを構築
バーコードに加え、FeliCaの利用も可能

消費者向け機能として、バーコード表示を迅速にし、店舗などですぐに提示できることは意識しているそうだ。「スマホサイフ」の機能として、自身の登録した「マイカード」、アプリ内で新規にカード登録、発行できる「カード追加」、取り扱い企業の新着やお得情報などを閲覧できる「おすすめ」を表示している。

提供するサービスも参加企業の要望に沿って、作り込むことが可能だ。たとえば、モスバーガーの「モバイルモスカード」では、従来、自社発行のチャージ式プリペイドカード「モスカード(MOS CARD)」を発行していたが、「スマホサイフ」で初めてスマホで利用できる「モバイルモスカード」を提供している。「モバイルモスカード」はプリペイドサービスのため、常にオンラインの状態を維持できるように心がけた。また、ライトオンでは自社サービスでスマートフォンのバーコード表示をすでに行っているが、それに合わせる形で「スマホサイフ」のサービスを構築した。さらに、日比谷花壇では、電子スタンプを採用するなど、導入企業のニーズに対応している。

モバイルモスカード
モバイルモスカード
電子スタンプサービスは、NECネッツエスアイからの機能提供を受け、全国にフラワーショップを展開する日比谷花壇の店舗で、初めて導入
電子スタンプサービスは、NECネッツエスアイからの機能提供を受け、全国にフラワーショップを展開する日比谷花壇の店舗で、初めて導入

なお、Androidについては、FeliCa機能の登録が求められる。荒井氏は、「お客様の利便性やセキュリティの観点でいうと、バーコードの表示に加え、FeliCa等でかざして便利に利用できる世界を作りたいと考えています」と説明する。すでに、モバイルTカードでは、バーコード機能に加え、FeliCa機能によりかざしてポイントカードの認証と支払い(Tマネー)がどちらも行える。

提案した企業からサービスとして高い評価を受ける

現在も営業活動を継続して行っているが、「お話をさせていただいた企業さまの反応は概ねよく、サービスコンセプトとしては高い評価をいただいています」と荒井氏は手ごたえを口にする。今後も続々とサービスのリリースが行われるが、大手企業の場合、POSシステムのアップデート、店員の教育、システム改修などの時間が必要なため、それが整い次第、順次発表される。

「参加企業さまに期待されているのは、スマホサイフの基盤が大きくなることによる会員獲得です。そこで、各社が展開するサービスやプロモーションを告知して、送客につなげていきます」(渡辺氏)

参加企業のキャンペーンとして、2016年8月の「モバイルモスカード」スタート時にスマホサイフ」をダウンロードして「モバイルモスカード」を追加すると、抽選で1万名に「モスバーガー」1個分のMOSポイントをプレゼントする取り組みを実施。今後もサービスの開始などに合わせてキャンペーンを実施する予定だが、アプリでのプッシュ配信は行わず、「あくまでもお客様が頻繁に訪れるサービスを目指していきたい」と渡辺氏は話す。

なお、参加企業がCCCマーケティングに支払う料金モデルは会員当たりの月額費用となっているが、段階的に料金体系は変更していく方針だ。

5年後の目標は300社、3,000万人
規模を拡大させ、文字通りの財布を目指す

直近では、2017年3月までで15社の契約を予定している。5年後の目標は300社、3,000万人。現在は大手企業を中心に営業を行っているが、「たとえばTポイントなども開始当初は大手でしたが、現状は中小の利用が進んでいますので、スマホサイフもその流れになればと思います」と渡辺氏は説明する。会員数の目標は高いハードルとなるが、たとえば「Syrup Wallet」は5,000万の人口がいる韓国で2,000万の利用があるため、日本の人口を考えれば「決して不可能な数字ではないと考えています」と荒井氏は自信を見せる。「スマホサイフ」は、すでに数万の会員がいるが、さらに規模を拡大させ、文字通りの財布を目指す。

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