2016年12月2日8:00
NCBラボ
スタートアップのエネルギーは経済を活性化する。
世界がフィンテックに力を入れているのはそのためである。
だが、スタートアップへの投資はむずかしい。
未整備な企業体をどう評価すればいいか、わからないからだ。
このスタートアップへの投資を推進するクラウドファンディングが米国で注目を集めている。
サークルアップ(Circle UP)である。
データを活用し、機械学習アルゴリズムでスタートアップを自動評価。
創業4年で187社のスタートアップへ300億円の調達を成功させた。
サークルアップはどのようなスタートアップを、どんな方法で評価しているのだろうか。
投資家にはどのように還元しようとしているのだろうか。
エクイティ投資型というユニークなクラウドファンディングを追った。
■有望なスタートアップをデビューさせたい
スタンフォード大学でMBAを取得したライアン・コールドベック(Ryan Caldbeck)氏は、消費者向け商品や小売を対象にしたプライベートエクイティファームへ就職。TSG Consumer PartnersやEncore Consumer Capitalなどでアナリストとして勤務していた。
その際、規模が小さすぎて資金調達できないスタートアップが多くあることに問題意識をもった。小さいけれど有望なスタートアップに資金を回せる方法はないだろうか。
ちょうどその時、米国ではオバマ政権が起業促進支援法(Jumpstart Our Business Startups Act:JOBS Act)の制定に動いていた。目的はスタートアップの育成。証券業法を改正し、スタートアップが未公開株式発行で個人投資家から資金を調達できるようにしようというものだった。
この制度を活用できないか。クラウドファンディングというビジネスモデルを使えば、有望なスタートアップとそれを育成しようという投資家をマッチングできる。
そう考えたコールドベック氏は、スタンフォード大学の同僚でスタートアップ支援に従事していたロリー・アーキン(Rory Earkin)氏とともにサークルアップを創業した。2012年4月8日、起業促進支援法が制定された4月5日の3日後だった。コールドベック氏の役割はCEO、アーキン氏はCOOである。サークルアップという社名からは、サークル(みんな)でスタートアップの成長(アップ)を支援しようという情熱がうかがえる。