2017年5月23日8:00
■タレスジャパン株式会社
容易な設定が可能で、PCI DSS暗号化トークン(RC)/非暗号化トークン(RN)に対応
実際のVTSの設定ですが、GUIでさまざまな設定をしていくかたちとなります。ただし、設定内容は非常にシンプルで、変換パターンも決まっていますし、このユーザーにはどのような形式でデータを戻す、カスタマーサポートのグループに対しては右4桁のみのマスキングで返す、といった内容が中心になってきます。
次にセキュリティガイドラインのアルゴリズムとして、PCI DSS暗号化トークン(RC)/非暗号化トークン(RN)に対応。暗号鍵を使って変換するのが暗号化の方式で、非暗号化の場合は暗号鍵を使いません。また、それぞれのアルゴリズムは併用可能となっています。
最後にDSMによる鍵管理では、FIPS-140-2レベル2、レベル3のいずれにおいてもフロントは同じで、HSM搭載の場合は後ろにカードキーが入るようになっています。カードキーを使って鍵を運用管理していく、物理的なカードキーがないとマスター鍵がオペレーションできないようにしています。鍵の変更はDSMの中で行いますが、マスター鍵の変更によるサービスへの影響は出ないようになっており、そのまま継続運用が可能です。また、冗長機能ですが、鍵をロストしたり、鍵通信ができなくなったりすると問題が出てきます。鍵は必ず必要で、VTSトークンサーバとDSM通信が維持しないといけない中で、DSMもVTSと同じようにクラスターを組めるようになっています。
システム構成はシンプルで、クラスター前提になるので最小構成で鍵を管理するDSMが2台、VTSも2台の構成となります。別途用意いただくのはロードバランサーのみで、他のサーバを立てて、ソフトをインストールする必要はなく、DSMとVTSで完結する仕組みになっています。
カード情報の保護だけにとどまらないトークナイゼーションのメリット
実際に情報漏えいが起きるのはカード番号だけではなく、カード番号以外にも個人情報、生年月日からメールアドレスまでさまざまです。トークナイゼーションは別にカード番号に限ったものではありません。生年月日も、電話番号も、マイナンバーも変換できます。こういったものを短時間でトークン化できるので、カード番号だけではなく、個人情報も含めてトークン化しておくということは、PCI DSSだけではなく、セキュリティ、情報漏えい対策として非常に重要なソリューションになっており、その意味で非常に注目が集まっています。トークナイゼーションを行っていれば、社員が見るパソコン画面にマスキングで表示できるので、例えばカメラで撮るとか、メモ書きで情報を盗むといったことができません。このようなことができるのがトークナイゼーションの強みです。
まとめとして、カード情報だけでなく個人情報、さらにデータベースそのものも暗号化することができ、パフォーマンスはほとんど落ちません。データベースを暗号化することで、データベース管理者がデータベースの情報をエクスポートして盗難するといった内部犯行の対策として、大きなメリットを見出すことができます。
さらにファイルサーバですが、顧客データや設計データ、人事情報、場合によってはCSVでエクスポートしたカード情報が存在しているかもしれません。
ファイルサーバに暗号化エージェントを導入することで、こういったデータを暗号化することができます。また、オラクルやストレージ製品で暗号化を導入済みの場合は、その暗号鍵をDSMで集中管理することもできます。
VTSは、シンプルで容易な設定がゆえに、短時間で導入でき、パフォーマンスも落ちません。さらに、鍵管理も簡単である特徴が強みとなっています。
※本記事は2017年3月22日に開催された「ペイメントカード・セキュリティフォーラム2017」のタレスジャパン シニアセキュリティアーキテクト 迎 博氏の講演をベースに加筆を加え、紹介しています。
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