2017年7月10日12:53
楽天カードと日本オラクルは、楽天カードのクレジットカード業務の基幹システムを全面刷新し本格稼動を開始したと発表した。
従来は、月に数時間、楽天カード会員専用オンラインサービス「楽天e-NAVI」において一時的にサービスの利用制限があったが、今回の基幹システムの刷新により定期メンテナンスが不要となる。
楽天カードの新基幹システムは、異なる事業者のソフトウェアやハードウェアを組み合わせることができるオープンシステムとる。従来のメインフレーム(大型汎用機)の構成では難しかった、複数人による同時のプログラム編集が可能となったほか、周辺システムも含め、プラットフォームやアーキテクチャ、開発言語を統一することで生産性を高めることができるという。
また今回、楽天カードは国内の金融業界において初めて、自社管理のデータセンター内にOracle Cloud環境を配置するサービス「Oracle Cloud at Customer(オラクルクラウドアットカスタマー)」を採用した。これにより、特定の処理時の一時的な負荷増大時にも対応が可能となり、増加する楽天カードの会員数と取引件数に対する処理能力を一層強化し、会員および加盟店に、長期的により安定した取引環境を提供できるそうだ。
なお、同基幹システムの全面刷新プロジェクトは2014年から始まり、今回の本格稼動になった。楽天カードは、楽天グループ企業としてクレジットカード事業を開始した2005年以降、基幹システムをメインフレーム上で運用してきた。機器の持つ性能面の限界から、あらゆる負荷への迅速な対応が困難になりつつあるという課題を抱えていた。また、長年の運用に伴うプログラムの複雑化と開発言語「COBOL(コボル)」の技術者不足により、開発面および保守面での制約があったという。
これらの課題を解決するため、技術基盤としてオラクルが提供するエンジニアドシステム「Oracle Exalogic Elastic Cloud(オラクルエクサロジックエラスティッククラウド)」と「Oracle Exadata Database Machine(オラクルエクサデータデータベースマシン)」の新たな導入と、開発環境「Java(ジャバ)」ベースのアプリケーションへの移行を決定。同アプリケーションの変換には、ジェイ・クリエイションが提供する移行サービス「VENUS」を活用している。また、「Java」によるシステム開発の標準仕様である「Java Platform, Enterprise Edition(ジャバプラットフォームエンタープライズエディション)」を採用した。
さらに、ビジネス環境の変化に応じて急な変更を繰り返す状況においてもプロダクトの品質を確保するため、自動テスト環境を整備した。また処理性能を落とさない工夫として、Clouderaの支援のもと「Apache Spark(アパッチスパーク)」を導入し、バッチの分散処理を平易に実現できるようにした。その結果、バッチ処理の平均速度を従来よりも2倍以上速めることができるようになったという。