2018年1月17日8:00
イオン子会社のイオンイーハートは、利用者のスマートフォンで注文から、キャッシュレス決済、呼び出しまで完了する新サービスをイオンモール幕張新都心のフードコート内にある「おひつごはん四六時中」で導入した。同社では、2018年1月16日に記者向けの説明会を開催した。
商業施設のフードコートで日本初導入
アプリはキャッシュレス決済、12カ国語に対応
国内の商業施設で初となる、スマートフォン一台で注文・決済・ 料理提供の呼び出しまで行えるサービスは、ボクシーズの「putmenu」を導入することで実現した。事前に「putmenu」アプリをダウンロードした人は、座席を確保もしくはフードコートの近くでアプリを立ち上げ、「おひつごはん四六時中」のメニューを選び、カートに追加する。カート画面から支払い手続きに進み、ドコモケータイ払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払い、Alipay、LINE Pay、Apple Payのなかから支払い手段を選択し、決済を行う。
料理提供時の呼び出しもスマートフォンに通知が届くため、料理出来上がりまでの待ち時間はフードコート以外の場所で過ごすことも可能だ。また、注文したメニューは専用レーンで受け取ることができる。
同サービスは外国人の利用も想定。日本語に加え、英語、中国語(簡体/繁体)、韓国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、タイ語、カンボジア語、ベトナム語、ロシア語、スペイン語の12カ国語に対応している。
レジ待ちのストレスを解消へ
スマホ一台で座ったまま注文が完了
イオンイーハート 代表取締役社長 中村弘治氏は、「スマホでオーダーができて、お客様に知らせて取りにいければ、イライラは解消できます」と期待する。たとえば、2017年6月にオープンした大阪府茨木市のイオンスタイル新茨木店では、約250席規模のフードコートを展開しており、レジに30人ほどが並ぶことがある。また、注文した料理の待ち時間にストレスを感じることもあった。
さらに、繁忙時になると席を確保するのは難しくなるが、席に座ったまま注文・決済が可能となることで、「小さいお子様がいる方、一人で利用される方は便利であると感じました」と中村氏は話す。
まずは、同店舗での成果を検証した上で、新茨木店、香川県の高松東店のフードコートなどに順次導入拡大していきたいとしている。店舗にとっても小銭を扱ったり、顧客対応が減り、料理を作るなど、別の作業に集中できるメリットがあるとした。
「イオンカード」や「WAON」への対応も見据える
POS連動についても検討を進める
今後の展開として、決済手段の拡充も挙げられる。現状は、「putmenu」で対応している決済手段をそのまま採用しているが、イオンのショッピングセンターでは、クレジットカードの「イオンカード」、電子マネー「WAON」の利用率が高いため、これらを決済手段に加えられれば、顧客の利便性が高まるとした。また、現状はPOSレジとの連動が行われておらず、店舗での打ち直し作業が発生するため、デベロッパーやボクシーズと協力し、POS連動を進めていきたいとした。
なお、イオンイーハートでは同サービスの導入による個人情報は取得していない。また、利用者へのマーケティング展開については未定となっているが、「putmenu」では、注文データで来店回数や来店日時を可視化したり、過去の注文者にメッセージを送ることも可能となっている。
すでに「putmenu」は東京都渋谷区のレストラン「Pizza&Winery ESOLA shibuya」店などで採用されており、利用者はアプリをダウンロードすれば複数の企業のサービスで使用可能だ。先行して導入された飲食店では来店者の1割ほどの利用があるというが、導入企業が増えてくれば認知度も高まり、さらに利用率は高まるとイオンイーハートではみている。