2018年3月23日8:04
出光興産では、出光SS(サービスステーション)において、「出光まいどプラス」などのクレジットカード、「出光キャッシュプリカ」などのプリペイドカードによる支払いを提供している。また、楽天の「楽天ポイントカード」の付与や利用も可能となっており、顧客の維持、固定化に有効活用されているそうだ。
出光カード会員350万件突破
出光まいどプラスは値引きが好評
出光グループでは、グループ内にクレジットカード会社「出光クレジット」を有しており、2003年にクレディセゾンとの合弁会社として事業を展開している。同社では、現在、「出光カード」「出光まいどプラス」をあわせて、2017年3月末時点で出光カード会員が350万件を突破している。また、サーバ管理型のプリペイドカードとして、2007年から「出光キャッシュプリカ」を発行しており、国内でも有数の取扱高2,000億円を誇る。集客固定化の手段として各カードは有効活用されており、石油元売り系のカードとして、他社に比べ受け入れられているという自負もある。出光興産 販売部 販売一課 周藤伸次郎氏は、「出光カード、出光まいどプラス、出光キャッシュプリカを合わせた会員数は順調に伸びており、グループ内の浸透は順調に進んでいます」と成果を述べる。
例えば、「まいどプラス」はクレディセゾンと一緒にサービスを提供することで“年会費が永久無料”、出光興産により“ガソリンが2円引き”という2つの強みを実現させた業界唯一のカードとなっている。出光SSにおいて、まいどプラスの平均利用は2回を超えており、年間7~8割ほどの稼働率がある。ヘビーユーザーの出光SSへの来店率は高く、今後もその比率を増やしていきたいとしている。また、エリアごとに未稼働会員を掘り起こすサービスも行っている。
その一方で、「出光SSでは値引き特典が刺さっていますが、外部で使用していただくことのメリットははっきり提示できていません」と、周藤氏は気を引き締める。現状、グループ外部では、会員の約半数の使用にとどまる。また、まいどプラスの売上をみると、4割がSSで6割が外部となっているそうだ。今後も、前年度よりも外部利用を伸長させることにも重きを置く方針だ。
なお、出光SS内のキャッシュレス化は他社クレジット決済も含め、5割を超えている。キャッシュレス化を推進することで、店頭でのオペレーションがスムーズになり、単価も高まっている。周藤氏は、「SS利用者の中の自社カード、他社カードの比率は公表していませんが、出光カードの成長以上に、他社のクレジットカードの発行枚数も伸びていますので、努力していきたいです」と話す。さらに、リボルビング払いや分割払いの利用促進も行っていきたいとしている。
出光キャッシュプリカは元売内共通カード
外部企業へのシステム提供も実施
出光キャッシュプリカは、石油業界唯一の元売内共通カードであり、個人の利用者が多い。個人情報を収集しないカードであり、利用者が気軽に保有することができる。利用者の多くが繰り返し入金し、利用しているそうだ。また、同社では、出光キャッシュプリカのノウハウをベースに、2012年より北海道・東北のスーパーマーケットであるアークスグループ、東北のドラッグストアの薬王堂、レンタルビデオのゲオホールディングスなどにシステムを提供している。
楽天ポイントの付与は出光SSがトップ
2018年度からIC搭載をスタートへ
ポイントサービスとしては、出光SSでは2014年10月から、楽天の「楽天ポイントカード」を受け入れた。「出光興産の発行するカードに加え、楽天のポイントも付与されますので、それも含め“SSの中で最強カード”と位置づけています。最近では、日本マクドナルド様をはじめ大手加盟店の参加も増えてきたため、楽天ポイントカードのお客様も出光SSで固定化させていきたいです」と意気込む。すでにマクドナルドと共同でキャンペーンも実施している。
現在の楽天ポイントカードの楽天市場を除くリアル店舗での付与の状況として、出光SSが加盟店舗としてもっとも付与が多い。出光SSでは、1リッターで1ポイント付与していたのを、2017年10月1日から2リッターで1ポイントに変更したが、大きな変化なく継続的に利用されている。
今後の展開として、2020年に向け、カード業界では100%のクレジットカードのICカード化を掲げているが、まいどプラスでも2018年度からIC搭載をスタートする予定だ。また、新POSの設置を進めているが、接触ICカード対応に加え、楽天Edyをはじめとした非接触決済、QR/バーコード決済やポイント付与に対応可能となっている。
出光まいどプラスなどのさらなる推進に向けては、「これまで、出光SSをメインに活動拠点として派遣活動を展開していますが、SSに来店していないお客様に発券して、誘引することも強化していく必要があります。また、オンラインでの展開として、アフィリエイトでの入会促進は引き続き力を入れていきたいですね」と周藤氏は語った。