2018年4月2日7:50
地元客だけでなく、国内外の観光客にも人気の函館朝市。中核施設である「函館朝市ひろば」では2014年4月のオープン時から、インバウンド需要を見込み、クレジットカードをはじめとする多様な決済手段に対応するマルチ決済端末を標準装備してきたが、このほど他の店舗にも対応を拡大。決済の利便性を高めることによって、幅広い層に向けて施設の魅力をアピールしていく。
ジャックス、三井住友カードが協力
出店者へのマルチ決済端末設置支援
訪日外国人が数多く訪れる函館朝市。その中核施設である「函館朝市ひろば」では、2014年4月のオープン時から、VisaやMastercardを保有する訪日外国人客の自国通貨での決済を可能とする「外貨建てカード決済サービス」、国際標準に準拠したNFC決済サービス「Visaのタッチ決済(Visa payWave)」および「MasterCardコンタクトレス」、主に中国人客向けの決済サービス「銀聯」、電子マネー「iD」、「WAON」、「楽天Edy」、「Kitaca」の取り扱いが可能なマルチ決済端末を標準装備。決済の利便性を拡げることで、幅広い利用客の取り込みを図ってきた。
函館朝市協同組合連合会ではこのたび、マルチ決済端末の設置対象を、「函館朝市ひろば」以外の函館朝市出店者にも拡大。希望に応じて端末を提供することとした。ジャックスと三井住友カードの協力のもと、取り組みを進めている。
現在すでに、13店舗にマルチ決済端末を設置済み。この中には、もともと端末を設置していたが、2011年の東日本大震災の被害で使えなくなっていた店舗も含まれているという。
AlipayやWeChat Payのニーズは高まる
Suicaをはじめとした電子マネーにも対応
函館市は国際観光都市として外国人観光客の受け入れに力を入れている。外国人観光客はクレジットカードが使えるかどうかで店舗を選ぶ傾向が強いため、マルチ決済端末を設置した店舗からは、「取りこぼしていた需要を取り込むことができた」という喜びの声が聞かれている。
Alipay、WeChat Payへの対応も、店舗の希望に応えるかたちで開始している。函館朝市協同組合連合会 事務局長 松田悌一氏は、「Alipayについてはすでに数店舗で対応を始めており、顧客の反応も上々です。QRコードで手軽に決済できるという使い勝手の良さから、今後ますます利用が増えると予測されます」と説明する。
また今回、Suicaをはじめとする交通系電子マネーの取り扱いを可能としたことで、首都圏や関西圏からのいわゆる“出張族”の利用が、飲食店を中心に拡大している。一方、地元も含めた主婦層には、WAONの利用が目立つ。
全体的に見ると、依然、現金決済の割合が高いものの、非現金決済のニーズについては、現状のマルチ決済端末でほぼ網羅できているものと、同連合会は見ている。函館朝市では、総合カウンターに外貨両替機を設置したばかりで、これによってむしろ現金決済の比率が今以上に上がる可能性もある。現在、マルチ決済端末を利用できる状況にある店舗は70店舗ほどだが、そのうち端末が常時、稼働しているのは、30店舗前後だということだ。
非現金決済の中では、クレジットカードの割合が圧倒的に高く、その10分の1ぐらいの割合で、交通系、WAON、Edy、銀聯、Visa/Mastercardのコンタクトレスペイメントが続く。
北海道では、札幌市を除けば移動手段はほとんど自動車なので、交通系電子マネーの普及は遅れている。そのため、現在、函館朝市の電子マネー利用の中で最も多いのは、Suicaだという。
地域に貢献するポイント制度を準備
“おでかけリハビリポイント”導入を検討
同連合会では、地域に貢献するポイント制度“おでかけリハビリポイント”の導入を行政施設なども巻き込んで進めている。函館朝市だけにとどまらず、介護施設や商業施設、交通機関などと連携して、高齢者をサポートする仕組みを構築しようという構想だ。
現在、「おでかけリハビリ」の取り組みの中で、地域ポイント導入の前段階として、アナログ的に「おでかけコイン」を準備している。人々は買い物や食事、リハビリやボランティアに参加すると、コインを手にすることができ、貯まったコインを500円分の商品券に交換可能だ。このモデル(構図)を将来的にIT化させて、さまざまな側面でのデータ蓄積機能を盛り込んでいきたいとしている。