2018年4月17日8:00
苫小牧市は、2016年8月より、市民の健康と地域活性化に貢献する「とまチョップWAONカード」の発行を開始した。「とまチョップポイント」では、市の主催事業や公共施設の利用などでもポイントが付与されるユニークな取り組みとなっている。当初3年間は市がイニシャル/ランニングコストを負担し、加盟店拡大、利用促進を図る。当面は加盟店数350店舗、カード発行枚数7万枚を目標としている。
市の主催事業/公共施設利用でポイント付与
「健康」が1つのキーワードに
苫小牧市は、2016年8月、“市内で貯めて、市内で使える”地域活性化のための「とまチョップポイント」をスタートさせた。
フェリカポケットマーケティングのシステムを利用し、WAON機能を搭載した「とまチョップWAONカード」を発行している。とまチョップポイントと、WAONポイント、1枚で2通りの使い方ができるポイントカードとなっている。
「とまチョップWAONカード」をとまチョップポイントとして使う場合、加盟店での100円の利用(現金決済)につき1ポイントが貯まるほか、市の主催事業(イベント)や公共施設(一部施設を除く)の利用などでもポイントが付与される。苫小牧市は、「とまチョップWAONカード」が市の現状、施策をより深く知ってもらうきっかけになると期待しており、過去に市議会を傍聴すると50ポイントを付与するキャンペーンを行った際には、通常20人ほどの傍聴者数が倍になった実績もある。
また、とまチョップポイントは、「健康」が1つのキーワードとなっており、がん検診の受診や出生届の提出でもポイントが貯まるのが特徴だ。貯まったポイントは1ポイント=1円として、加盟店での買い物に充当できる。
加盟店数、発行枚数は順調に推移
次なる課題はポイントの利用促進
苫小牧市では、苫小牧市商店街振興組合連合会の中に、とまチョップポイント事務局を設置。この事務局が「とまチョップWAONカード」をまとめて買い取り、市民に無料で配布している。現在までに3万8,000枚を配布済みだ。
とまチョップポイントの加盟店は、2017年10月末現在で220店舗。当初3年間は、市がポイント発行手数料以外のイニシャル/ランニングコストを負担して、加盟店の拡大を図ることにしており、現状、加盟店は想定していた以上のスピードで増えているという。ポイント発行手数料については、発行した加盟店の負担となる。
苫小牧市総合政策部 政策推進室 政策推進課 主事 山岸史和氏は、「発行ポイント数は、市関連では、2016年には目標だった1,000万ポイントを達成。2017年も1,000万ポイントの予算を組んでおり、達成できる見込みです。一方、加盟店での発行数はその10分の1ほどと、やや出遅れています」と説明する。
それ以上に課題となっているのが、ポイントの利用促進だ。苫小牧市では開始3年間で事業基盤を固めたい考えだが、そのためにもポイント利用を促進して、加盟店にメリットを感じてもらう必要がある。事業の黒字化・安定化を図るため、早々に、市と加盟店を合わせて発行・稼働とも年間2,000万ポイントまでもっていきたい考えだ。
ポイント利用促進策としては、幟(のぼり)やレジ横に設置するスタンドなどのツールを活用。顧客にひと声かけてポイントが使える旨を伝えている店舗では、明らかにポイント利用率が高くなっていることから、加盟店に対して顧客への声かけを徹底するよう呼びかけていく意向だ。
「とまチョップWAONカード」は、小学生以上なら誰でも持つことができる。市主催のイベント会場などでは、子どもたちが嬉々としてポイントを貯める姿が見られたり、高齢者からは、カードを持つことで外出する楽しみが増えたという声も聞かれている。
WAONの決済金額の0.1%を苫小牧市に寄付
全市民に携帯してもらえるカードを目指す
なお、イオンと組むことについては、当初、地元商店街から反発の声も上がったが、1からシステムを構築することと比較してコスト抑制などのメリットが大きいと判断。あくまでも地域活性化のためのツールとして使うことを何度も丁寧に説明し、地元の理解を得て、スタートの運びに至ったという。
これをWAONとして使う場合には、200円のWAON決済につき1ポイントが貯まると同時に、決済金額の0.1%が、苫小牧市に寄付される仕組み。貯まったポイントは1ポイント=1円分のWAONに交換し、加盟店での買い物に使うことができる。
同部 課長 山田学氏は、今後のとまチョップポイントの展望について、「加盟店を増やし、全市民に携帯してもらって、苫小牧市内ではこれ1枚で買い物ができるというカードに育てていきたいと考えています」と語る。発行開始後3年となる2019年7月までに、加盟店数350店舗、カード発行枚数7万枚とすることを目標としている。