2018年4月17日8:00
2019年3月から順次導入し、少額決済のキャッシュレス化を加速
イオンは、ビザ・ワールドワイド・ジャパンが提供する国際標準規格Type A/Bによる非接触決済(タッチ決済)を導入することを決定。2018年4月16日に開かれた、イオンとビザ・ワールドワイド・ジャパンの共同記者会見で発表した。2019年3月から2020年3月にかけて、全国の総合スーパーやドラッグストアなどイオングループ各店の約10万台のレジに、Visaのタッチ決済が可能な決済端末を順次導入する。サインやPINが不要のタッチ決済は、利便性、安全性に優れ、すでにヨーロッパやオセアニア、アジア各国などで広く普及している。イオンリテールの店頭におけるキャッシュレス比率は現在約70%。タッチ決済の導入により少額決済のキャッシュレス化が加速し、2020年にはイオングループ全体でキャッシュレス比率80%を目指す。
サイン、PIN不要でスピーディーに決済が完了するVisaのタッチ決済
イオンでの導入を機に日本国内の普及に弾みがつくか――?
Visaの非接触決済(以下、タッチ決済)は、国際セキュリティ基準であるEMVに準拠。Visaのクレジットカード、デビットカード、プリペイドカードのいずれにも対応する。3万円までの決済であればサインもPINも不要。販売員にVisaで決済する旨を伝え、顧客自身が端末にカードをタッチするだけで、スピーディーに決済手続きを完了できる。
Visaのタッチ決済は世界70カ国以上で利用されている。2017年9月現在の、世界主要国における対面取引件数に占めるタッチ決済の割合は、オーストラリア92%、チェコ共和国91%、ニュージーランド72%と非常に高く、アジアに目を向けてもシンガポールで63%、台湾で44%、香港で34%と普及が進んでいる。
このような中、Visaでは、2020年に向けて、日本国内のタッチ決済の普及に弾みをつけたい考えだ。より多くの顧客に日常的に利用してもらえるよう、加盟店に導入を促していく。
2020年までにクレジットカードが100%ICカード化されることに伴い、システム改修を予定している小売業は少なくない。ビザ・ワールドワイド・ジャパン 代表取締役社長の安渕聖司氏は、「IC化対応と同時に、EMV接触/非接触決済を導入すれば、設備投資や従業員教育などの面で大きなメリットがあります」と、今このタイミングがVisaタッチ決済導入検討の好機であることを強調した。
日本のキャッシュレス化の動きは世界各国に比べて遅れている。特に、5,000円以下の少額決済においては、いまだに91%が現金決済となっており、その市場規模は約100兆円。Visaタッチ決済は、これら少額市場のキャッシュレス化を推し進める原動力になり得ると期待されている。
イオンカードのVisaのタッチ決済対応のスケジュールを発表
Visaのタッチ決済の導入を決めた2つの理由とは?
イオングループは、2020年までに80%という、独自のキャッシュレス化の目標を掲げている。グループの中核であるイオンリテールに限れば、現時点ですでに70%のキャッシュレス化を実現している。その内訳は、40%がイオンカード(クレジットカード)、30%がWAON(電子マネー)であると、イオン 執行役 GMS事業担当の岡崎双一氏は説明した。
イオンでは2019年3月から2020年3月にかけて順次、国内1万6,556店舗(2018年2月末現在)のグループ各店、約10万台のレジのほぼすべてに、Visaのタッチ決済を導入することを決めた。各グループ企業が運営する、GMS、SM、ドラッグストア、ホームセンター、CVSなどすべての業態が対象だ。基本的に既存の電子マネー端末を改修することで、Visaタッチ決済に対応可能な環境を整備する。
これに合わせ、2018年9月より、Visaマークの付いたイオンカードを、更新時に順次、Visaのタッチ決済用IC搭載のカードに切り替える。更新時期を待たずにタッチ決済機能搭載のカードに切り替えたいという要望があれば、2019年春以降、対応できるようにしていく予定だ。
Visaのタッチ決済の導入を決めた理由として、岡崎氏は、安全性と利便性の2点を挙げた。販売員にカードを手渡すことなく顧客自身がタッチすることで決済が完了することと、世界標準の非接触ICセキュリティ認証であるEMVを採用したことで安全性を確保。釣り銭の受け渡しや長いレジ待ちを一掃するスピーディーなキャッシュレス決済を、日本国内のイオングループ全店で利用可能にすることで利便性を提供する。
イオングループとしては、キャッシュレス化の進展による労力の軽減、人件費の削減などに期待を寄せる。今後はスマホ決済も積極的に採り入れていく意向だ。