2018年7月2日8:00
ライフカードは、社員食堂の運営を委託するグリーンハウスと協力し、同社の社員食堂でBASEが運営する決済アプリ「PAY ID」を導入している。国内でも盛り上がりを見せるQR・バーコード決済(以下、コード決済)だが、実際に導入した成果や今後の期待について話を聞いた。
ライフカードはPAY IDのアクワイアリングを実施
国内でコード決済の注目が集まる
ライフカードは、グリーンハウスに社員食堂の運営を委託している。社員食堂では従来、ランチの支払い時など、社員専用クレジットカード、および現金での支払いが可能だったが、カード会社として進化する決済手段へいち早く対応すべく、2017年12月から、グリーンハウスと共同で「PAY ID」を社員食堂に導入したという。導入に向けては、ライフカードが決済代行事業者と連携し、PAY IDのアクワイアリングを実施している点も大きかった。
コード決済が便利だと感じる理由について、ライフカード 営業第二部 営業二課 山田宏氏は、「お財布やクレジットカードを持つ必要がなく、スムーズに、かつ安全に決済できる点です。多くの方が持つスマートフォンを利用して、アプリを通じて誰もが簡単に決済できます」と説明する。また、同部 課長 山下貴弘氏は、「QRコードを読み取り、金額を押して、決済ができるなど、簡単なステップで支払いが可能です」と述べる。さらに、同部 課長補佐 佐藤祐史氏は、「当初、コード支払いは、セキュリティも含めて懐疑的なところはありましたが、大手銀行での規格統一に関するニュースが出るなど、いよいよ来たという感じはあります」とした。さらに、AlipayやWeChat Payといった中国人向けインバウンド決済を導入する加盟店が増えており、国内向けのコード決済を導入しやすい環境が整ってきたことも大きい。
導入理由は現金レス、オペレーションの簡素化によるお昼の混雑緩和
支払いはクレジットカードよりもスピーディー?
社食でのPAY ID導入の理由として、現金レス、オペレーションの簡素化によるお昼の混雑緩和が挙げられる。社員は、「PAY ID」にあらかじめクレジットカード情報を登録するだけで、以降は、都度クレジットカード番号を入力する必要なく決済が可能だ。社食に設置されたQRコードをスマートフォンで読み取り、金額を自ら入力して、社食スタッフにみせて承認を行うと決済が完了する。
山下氏は、「おつりの受け渡しも発生していないので、現金よりも早いのはもちろん、感触としてクレジットカードよりもスピーディーであると感じています」と口にする。ICカードと比べて、支払時に時間を要するという意見もあるが、「はじめから使うという前提で用意されれば、時間的にはそれほどストレスとは感じませんでした」と見解を述べる。PAY社の想定では、スマホを立ち上げてから10秒以内に支払いを完結できるそうだ。山田氏は、「1秒で立ち上がって、QRコードを読み込んで決済完了までは経験上5~6秒となっています」とした。
また、社食スタッフにとっても、PAY IDの精算時のオペレーションもスマホ画面の確認のみであるため、いったんカードを預かってカードを通す、現金を預かる、小銭の用意が少なくなるといったメリットがある。
コード決済は社食において成果が出ると確認
幅広くコード決済事業や新しい決済手段の導入に取り組む
現在、社食でのPAY IDの利用は約2割と、クレジットカードに次いで多くなっている。コード決済は社食などの場面については成果が出ると確認できた。
今後は、より幅広い利用者がPAY IDを利用するとともに、加盟店の広がりも期待される。佐藤氏は、「PAY社からは、日常の生活圏内で使える範囲を増やしていくという話をいただいています。コード決済は投資コストが安価なため、加盟店の選択肢として入ってくると考えています」とした。ライフカードでもアクワイアリングを行っており、取り扱いが増えれば加盟店手数料が期待できる。
ライフカードでは、今後、加盟店の利便性追求とカード会社としてのサービスの向上を目指し、幅広くコード決済事業や新しい決済手段の導入に取り組んでいく方針だ。