2018年10月18日7:00
JR東日本とJR東日本スタートアップは、 2018年10月17日から2カ月間、東京都北区の赤羽駅5・6番線ホーム上店舗でAI活用の無人決済システムの実証実験を開始した。16日には記者向けの説明会を行った。
画像認識カメラで商品を認識
カバンやポケットの中に入れても認識が可能
実証実験は、赤羽駅ホーム上のKIOSK跡を活用した特設店舗で行われる。営業時間は平日の午前10時~午後8時まで。店舗では、約140種類の商品が購入可能だ。利用者は、入り口で手持ちのSuicaをかざして入店。店舗には同時に3名まで入店できる。
店舗では、サインポストの画像認識技術を導入することで、食品や飲料など利用者が選んだ商品をAIが把握し、自動的に購入金額を算出できる。店舗には画像認識カメラを天井に16台、商品棚に100台を設置。商品を手に取った利用者は、出口のゲート付近に設けられた液晶画面を確認し、交通系電子マネーで決済を行うことが可能だ。 決済が終わると出口のゲートが開き、退店できる。
JR東日本とJR東日本スタートアップでは、2017年11月に大宮駅で無人レジの実証実験を実施。その成果と課題を踏まえ、今回2回目の実証実験となった。JR東日本スタートアップ 代表取締役社長 柴田裕氏は、「前回の課題となったところはだいぶ改善できました」と話す。前回は1組しか入店できなかったが、今回の実験では3組まで同時に入店できるようにした。現在は、店舗面積の関係などで3組に絞っているが、将来的にはより多くの人が同時に入店したり、より広い店舗や商品数でも利用できる環境を目指す。また、前回はいったん商品を手に取ってから棚に戻すと認識できなかったというが、その課題も解消した。さらに、商品はカバンやポケットの中に入れても認識が可能だ。
少子高齢化による人手不足の解消につながる
大規模店舗での活用も将来的に想定
今後の商用化に向けて、柴田氏は、「従来のキオスクタイプのオペレーションとの採算を見て検討していきたいです」とした。無人レジは、少子高齢化による人手不足の解消、レジ待ち時間の短縮に加え、キャッシュレス化を進める意味でも重要な取り組みであるとした。今回の実験はもちろん、サインポストと協力し、より画像認識の精度を高める努力をしていく方針だ。
なお、サインポストでは、カード会社のジェーシービーと協力して、JCB高田馬場オフィス内で人工知能搭載レジ「Wonder Register(ワンダーレジ)」を用いた店舗支援の実証実験を行っている。JCBでは専用レジに商品を載せて、それを画像認識して決済するステップとなり、今回のスキームとは異なる。サインポスト 部長代理 波川敏也氏は、「規模が大きい店舗では、購入する商品が増えますので、棚からとった物をかごに入れたり、カートに入れて、そのまま決済できる仕組みにつながります」とした。
「Amazon Go」とは異なる特徴とは?
1週間で約6,000人の来店を見込む
なお、今回のような無人レジはアマゾンの「Amazon Go」などでも採用されているが、柴田氏、波川氏ともに、“Suicaを活用できる”点を特徴として挙げた。柴田氏は、「日本には交通系ICカードがありますので、クレジットカードとの紐付けが必要ありません。駅と鉄道の特性となる不特定多数のお客様にサービスを提供すると考えたときに、Suicaで入店、決済まで出来るのは相性がいいです」とした。
なお、大宮駅での実証実験は1週間で2,000人の利用があったため、同時に3名まで入店できることを踏まえ、1週間で約6,000人の来店を見込んでいる。