2019年3月27日8:00
2016 年12 月5 日にAmazon が実店舗の「Amazon Go」を発表した。発表時の動画を見ると、店舗入口にあるゲートにスマホアプリをタッチ。入店後は、店内の商品を手に持ちそのままお店を出る。店舗の外で女性がスマホを見ると、手に持っている商品が表示され、支払いが完了するという内容だ。そう、「Amazon Go」とは無人レジ店舗となる。アメリカでは2016 年にシアトルで1 号店がオープン。当時は従業員向けに公開されていたが、2018 年1 月より一般公開が始まった。その後、シカゴやサンフランシスコにもオープンし、記事を書いている2019 年1 月10 日 時点ではアメリカ国内の9 店舗がオープンしている。
株式会社ポイ探 代表取締役 菊地 崇仁
Amazon Goを実際に利用する
実際にサンフランシスコにオープンした「Amazon Go」で買い物してみた。買い物に必要なのは、動画にも出てきた「Amazon Go」のアプリと決済用のクレジットカードだ。Amazon Goアプリは、日本国内からでもダウンロードできる。アプリをダウンロードしログインする。ログインはAmazon.comのアカウントとなり、Amazon.co.jpのアカウントではログインできないため注意が必要だ。ログイン後はクレジットカードの登録を行う。日本で発行されたクレジットカードでも問題なく登録できる。
Amazon Goのアプリにある「Stores」メニューには店舗一覧が表示される。店舗名をタップすると、住所に加え、1週間の営業時間も確認できる。住所の横には矢印があり、マップへのリンクも表示されているため、迷わず店舗に行くことが可能だ。
店舗に着くと、Amazon Goのアプリにある「Key」メニューをタップ。QRコードが表示されるため、ゲートの矢印のある箇所にコードをタッチするとゲートが開く仕組みだ。駅の改札を通過するのをイメージしてもらうとわかりやすい。QRコードの読み取り反応は良く、スムーズに通過できる。
同僚と行く場合は、それぞれのスマホアプリをタッチして入店すれば良い。家族で行く場合は、それぞれのスマホアプリをタッチする必要はなく、矢印にコードを一度タッチするとゲートが開くため1人が入店。もう一度タッチし、もう1人が入店、最後にタッチし、自分が入店することで1つのAmazonアカウントで全員入店することができる。もちろん、それぞれ別々のアプリをタッチして入店してもかまわない。
1回タッチするごとに天井に添え付けられているカメラがゲートを通過した人の追跡を開始する。1回のタッチで複数人が入店した場合は追跡ができなくなるため、1回のタッチ=1人の入店を守る必要がある。無人レジ店舗ではあるが、入口にはスタッフが立っているため、不明な点は聞くことが可能だ。
店内にはサラダやパン、デザート、アイスクリームなどのほか、飲料品、生活用品などが並んでいる。少し大きめのコンビニといったところだろう。通常のコンビニとの違いは買い物かごがない点だ。店内の商品は手に持っても、自分のバッグに入れても、コートのポケットに入れても良い。入店者の行動は上部のカメラで追跡されており、誰がどの商品を取ったのか・戻したのかがわかる仕組みとなっている。
買う物が決まったら、入口の方に向かう。入ったゲートの壁側にあるゲートを通過する。退店時はスマホアプリをタッチする必要はない。店内を出ると、スマホアプリに通知が届き、購入した商品のレシートが表示され、登録したクレジットカードで支払われる。なお、1つのアカウントで複数人が入店した場合、それぞれが商品を手に持って店舗を出ても、同じアカウントに請求される。
スマホアプリの「Receipts」タブには、購入した商品と個数、支払金額などが表示される。ホテルに戻ってからバッグに入れた商品と商品数をアプリの明細と比較してみたところ、間違いなく購入できていることが確認できた。
いくつかの商品価格を他のスーパーマーケットと比較してみたが、Amazon Goの方が安く売られていた。レジ待ちのストレスもなく、価格も安い。ブルームバーグによると、2021年までにはAmazon Goを3,000店オープンさせる計画となっており、既存のコンビニやスーパーマーケットにとっては脅威だろう。
Amazon Goもコード決済サービス
日本国内ではコード決済が乱立している。Origami Pay、楽天ペイ(アプリ決済)、PayPay、d払い(街のお店)などがあり、事前にクレジットカードを登録しておくことで、支払時にはアプリに表示されたコードを提示するか、提示されたQRコードをアプリで読み取ることで、登録したクレジットカードで支払える仕組みとなっている。
Amazon Goでの決済の流れをもう一度整理しよう。入口でQRコードをタッチし、退店時に登録済みのクレジットカードで支払われた。最初にコードを提示するか、最後にコードを提示するかの違いだけで、国内で普及し始めているコード決済と仕組みは同じだ。
Amazon Goは無人レジ店舗という点で注目を浴びているが、コード決済ということでも注目しておいた方が良いだろう。