2019年3月29日8:00
「みずほWalletアプリ」は、ダウンロード数60万件、 決済件数200万件突破
みずほ銀行は、銀行口座直結のデビットカードにより、Android スマートフォンで「QUICPay +(クイックペイプラス)」加盟店での支払いを実現させたスマホデビット決済サービス「Smart Debit」を2018 年3 月から展開している。また、JR 東日本と連携し、2018年8月から、Apple Pay によるiOS 向けの電子マネー「Mizuho Suica」をリリースしており、いずれも利用者は順調に増加中だ。
スマホで即時にカードを発行可能
日常生活で直感的な取引を実現
みずほ銀行では、銀行の三大業務は、「預金」、「為替」、「融資」であるなか、決済の領域も便利に使用してもらいたいと考えている。また、銀行のチャネルには、「店舗」、「ATM」、「コールセンター」の3大要素があるが、現在はスマホバンキングがあり、月間で数百万件の利用と、店舗取引の10倍程を占める。さらに、コールセンターは現在、チャットサービスを展開しており、既存のチャネルと上手くミックスしてビジネスに活用している。一方で、今もなおATMは利用者にとって便利なサービスだが、スマートフォンにキャッシュカード機能が備わることで、利便性が高まる。さらに、銀行が特徴を出せるサービスとして、口座直結型のデビットカードがあるという。
「Smart Debit」は、 Android端末上でみずほ銀行の「みずほWalletアプリ」から申し込みが可能だ。同行の口座を保有する人であれば即時にスマートフォン上でバーチャルカードが発行される国内初の非接触決済によるスマホデビットのサービスとなる。利用者は、全国81万台以上のQUICPay+加盟店で利用可能だ。一方の「Mizuho Suica」も「みずほWalletアプリ」から即時で発行できる。チャージは、みずほ銀行の口座から直接実施でき、また、従来のSuica同様に、Apple Pay を通じて駅の券売機やコンビニ等での現金チャージ、iPhoneのWalletアプリケーションを利用したクレジットチャージにも対応している。全国の交通系ICカードエリアにおける鉄道・バスの利用、各交通系電子マネーが使える50万台以上の店舗などでの支払いに利用できる。
みずほ銀行 個人マーケティング推進部 参事役 西本聡氏は、両サービスの特徴として、さまざまな日常シーンで迷わずに利用可能な点、また、アプリなどを起動せず、かざすだけで直感的に使えることを挙げた。さらに、デビットカードの機能を活かし、口座残高の範囲内で安心して利用できることも大きい。
ほかにも、ペーパーレスで即時に申し込めることに加え、口座の残高や取引明細の確認など、みずほ銀行のさまざまなスマートフォン向けサービスに、ワンタッチでアクセスできる。
現在、「みずほWalletアプリ」は、ダウンロード数60万件、 決済件数200万件を突破(2018年12月時点)。「Smart Debit」利用者の傾向として、1回あたりの平均単価は1,000円以下であり、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなど、幅広く利用されている。
「Mizuho Suica」は機能的価値提供で成果
少額から高額まで決済ラインアップが揃う
西本氏は、「『Smart Debit』は0.2%のキャッシュバックですが、『Mizuho Suica』はインセンティブを提供していません。どこでも、簡単に、といった『機能的価値』を訴求することで、インセンティブがなくても、多くの方にご利用いただいています」と手応えを口にする。
また、高額でも利用される「J-Debit」、数千円台の「みずほJCBデビット」、さらに1,000円以下となる少額の「Smart Debit」と、デビットのラインアップが揃いつつある。西本氏は、「クレジットカードが取り込めていない層を含め、今までと少し違った変革を起こせています」と語り、同部 真田孝太氏は、「『Mizuho Suica』は、駅や交通系以外のシーンも含め、ライフサイクルに合わせた使われ方をされています。また、全国のみずほ支店で告知しており、首都圏以外の利用者も多いです」と述べる。
なお、「Smart Debit」は、JCBだけではなく、大日本印刷との連携により、Android向けの決済サービスとしてトークナイゼーション機能を実装した。また、「Mizuho Suica」はApple Payの仕組みに則り、安全な取引を実現させている。
バンキングサービスにもシナジーが生まれる
決済をキーに利用者の金融ニーズを満たす
これまでの成果を感じつつも、さらなる利用の拡大を見据える。みずほ銀行は2,400万口座の利用者を有しているが、60万ダウンロードは全体の2%程となっている。今後は、「みずほWalletアプリ」の利便性をより感じてもらうことで、さらなる浸透を図る。西本氏は、「決済取引に加え、残高照会や取引明細が確認できますので、通常のバンキングのサービスにシナジーが出てきています。自行のAPIの活用により、家計簿、自動貯金アプリ等との連携もできますので、お客様の金融のニーズを満たしていきたいです」と意気込みを見せる。真田氏も「入出金明細を見ながらチャージできるスキームを上手くお使いいただきたいです」と語気を強める。
今後の目標として、100万件のダウンロードが視野に入るが、お客さまのニーズ、シーズに基づく多様な決済手段の提供を通じた利便性向上が第一であり、その先に、決済データを活用したデータビジネスの展望やチャネル変革を通じた伝統的なマスリテールにおける銀行ビジネスモデルの変革にチャレンジしたいと捉えている。西本氏は、「如何に口座を便利に使っていただくかという枠組みの中でトータルなサービスを提供していきたいです」と語った。