2019年4月3日8:40
ファミリーマート、パナソニック、パナソニック システムソリューションズ ジャパンは、2019年4月2日にIoTを活用した「次世代型コンビニエンスストア」実現に向けた実証店舗であるファミリーマート 佐江戸店をオープンした。同日には記者向けの説明会を開催した。
パナソニック佐江戸事業場に隣接
店長はパナソニック社員
ファミリーマート 佐江戸店では、ファミリーマートとパナソニックの協業を通じて、次世代のコンビニエンスストアを実現する技術の構築を目指す。同店舗では、パナソニックの技術を駆使したソリューションが活用されている。ファミリーマート 代表取締役社長 澤田 貴司氏は「ワクワクした思いでブリーフィングを受けました」と話す。
パナソニックでは、「店舗の困りごとを解決するインタグレーターになりたい」という思いがある。そのため、今回は、パナソニックがファミリーマートのフランチャイジーとなる店舗運営を行う。店長は、パナソニック システムソリューションズ ジャパン 法人営業本部 藤田 卓氏、担当スーパーバイザー兼副店長は、ファミリーマート 営業本部 ニューマーケット運営事業部 山田恵理子氏が務め、両社が協力して店舗の課題を解決する仕組みの構築を目指す。
パナソニックは、「現場プロセスイノベーション」として、100年以上にわたって培ってきた製造現場のノウハウを、流通・店舗や倉庫・サプライチェーンマネジメント(SCM)の革新に適用する取り組みを行っている。そのノウハウを小売店舗で実際に確立していきたいとした。店舗は、パナソニックの佐江戸事業場の目の前にある。そのため、「ベストなロケーションでベストなパートナーと組むことができました」とパナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS) 代表取締役 樋口泰行氏は述べる。
商品を什器に置くと商品を識別
入退時に顔認証で識別
店舗では、複数の技術を活用しているが、顔認証の実証実験は、パナソニック等の社員向けとなる。社員は、決済を行うためのクレジットカードおよび顔写真の登録が必要だ。同エリアでは、およそ100商品を取り扱う。顔認証後にゲートが開き、商品を会計用の什器に置くと、商品が画像認識され、退店時に再度顔認証が行われ、決済が完了する。商品は台の上であれば、10個以上置いても問題なく認識されるが、重ねて認証することはできない。なお、パナソニックの顔認証システムでは、顔の経年変化や向き、メガネなどにも影響されにくいシステムであるそうだ。
業務アシストシステムでは、店舗内をカメラやセンサーでセンシングすることで、リアルタイムに店舗のデジタル化を実現するという。従業員は、ウェアラブル端末を腕に装着し、欠品情報などを把握し、的確な業務を実現可能だ。
店内のPOPや電子棚札は、店内POPの作成や入れ替え業務を電子棚札を活用して電子化し、業務の効率化を実現する。同棚札では、NFC機能も付いており、将来的な活用も視野に入れる。
4か国語に対応した自動翻訳機を用意
モバイルオーダーで弁当を注文
IoTマーケティングでは、店内のカメラやセンサーによる滞留ヒートマップやスマートフォンアプリでのアンケートを組み合わせ、データ経営を行うことで、利用者にとって便利な店舗レイアウトや棚割り、品揃えなどを柔軟に実現することを目指す。
レジでは、対面の自動翻訳機を用意。英語・中国語・韓国語・タイ語の4か国語に対応し、スムーズなレジでのやり取りを目指す。
パナソニック社員に向けては、モバイルオーダーの実験も展開。朝10時までの弁当の注文が対象となり、注文後、佐江戸事業場に届けられる。これにより店舗付加価値や顧客満足度の向上を目指す。なお、同仕組みは楽天のスポーツ施設で採用された実績がある(現在は終了)。
そのほか、イートインコーナーでは、デジタルとアナログを融合させ、情報配信などによる居心地の良い空間を演出しているそうだ。また、店舗ではセルフレジを設置して、利用者自らが支払いを行うことができる。