2019年7月18日8:00
あおぞら銀行は、個人向けの新マネーサービス「BANK BY AOZORA BANK」(以下、BANK)の提供を、2019年7月16日から開始した。「BANK」ではまず、Visaデビット機能つきキャッシュカード「BANK The Debit」、利用額の一定割合を自動的に貯蓄できる「BANK The Savings」、人生を豊かにする気づきのあるストーリーを提案する「BANK The Story」の3つの機能を提供するという。
有人店舗に加えBANK支店での展開を強化
Visaデビット機能つき「BANK The Debit」
あおぞら銀行は、国際ブランドが付いたデビットカードに早くから取り組んできた金融機関だ。2013年3月4日から、ビザ・ワールドワイド・ジャパンが提供する「Visaデビットカード」の機能を付加した「あおぞらキャッシュカード・プラス」の取り扱いを行っており、「きれいな右肩上がりで伸びています」とあおぞら銀行 リテール戦略部長 中井剛氏は話す。現在は、ほぼすべての利用者にキャッシュカード一体型のデビットカードを発行している。
「あおぞら銀行では、有人店舗を中心に『あおぞらキャッシュカード・プラス』を発行してきましたが、7月15日まで非対面チャネルとして営業していたインターネット支店を全面的にリニューアルしたものがBANK支店となります。『BANK The Debit』はBANK支店専用のカードです」(中井氏)
あおぞら銀行のインターネット支店は定期預金の利用者が中心だったが、新マネーサービス「BANK」では、普通預金を中心に、さらに銀行のサービスを身近に利用してもらいたいとしている。中井氏は、「普通預金にお金が貯まり、さらにデビットカードがさらにクローズアップされると考えています」と話す。
BANKが提供するVisaデビット機能つきキャッシュカードは、年会費無料で、最大1%をキャッシュバックする。利用限度額は1日最大500万円となり、Visaのタッチ決済対応も付いている。「あおぞらキャッシュカード・プラス」とカードの商品性は同様だ。
利用金額の一定割合を自動的に預金に積み立て
「人生を豊かにするお金の使い方の提案」
BANKの特徴は、スマートフォンアプリを軸とした新たなサービスとなり、「BANK The Debit」もアプリと連携できる強みがある。中井氏は、「今回力を入れたのはUI(ユーザーインターフェース)です。たとえば、普通預金の通帳では“デビット利用”としか出てきませんが、どこで使ったが把握でき、大きな変化です。これは普通預金の利用明細にも紐づいています」と話す。
また、「BANK The Savings」では、「BANK The Debit」で買い物をしながら、利用金額の一定割合を自動的に預金に積み立てることが可能だ。たとえば、おつり貯金などでは、おつりの金額が預金されるため、金額をコントロールができないが、「お金を貯めなきゃ」を意識せずに、しっかり貯めることのできるという。中井氏は、「お金と人生をコントロールできるのがコンセプトです。1,000円のお買い物をしたときに10%とすれば、100円が確実に積み立てできます」と強みを述べる。また、目標設定なども行えるそうだ。
さらに、「BANK The Story」では、「1万円でできる素晴らしい体験」や「家族や有人を喜ばせるサプライズギフト」など、の人生を豊かにする気づきのあるストーリーを提案していく。利用者は、気に入ったストーリーがあれば、BANK The Savingsの目標に設定して自動的に積み立てることが可能だ。
「ストーリーの位置づけとして、賢いお金の使い方を提案しています。今の時代、お金をかければいいものは買えて当たり前ですが、工夫することで人生が豊かになります。そういった情報を独自に発掘して提供していきます」(中井氏)
強固セキュリティ、アプリのデザインやクリエイティブに注力
モバイル決済の見解、「BANK」利用者の目標は?
なお、「BANK」のアプリの開発では、NTTデータの協力を得た。NTTデータは、2016年から、あおぞら銀行へ個人向けインターネットバンキングサービス「AnserParaSOL」および基幹系システム「BeSTAcloud」のサービス提供をしている。今回、BANKの提供に向けては、セキュリティを重視して、NTTデータに依頼した。中井氏は、「資金移動はインターネットバンキングの認証で行いますので、堅牢にしています」と説明する。
さらに、アプリのデザインやクリエイティブは、銀行が遅れているところとしたうえで、数多くの実績を誇るBANK クリエイティブディレクターとして、ユニット・ワン代表 兼 バルミューダ 取締役 勝部健太郎氏の協力を得て、魅力的になったとした。
なお、現状「BANK The Debit」は、カードでの決済となり、モバイル支払いサービスを自身で提供していない。ただ、将来的にはあわせて提供していく方向性になるとしたうえで、「ペイメントのサービスは百花繚乱ですので、お客様の利便性が良くなるものがあれば私たちはそれに乗っかるのが基本戦です」としている。
あおぞら銀行の有人店舗では50~70歳が利用の中心となるが、今回の「BANK」ではより若い層を取り込んでいく方針だ。具体的な目標として、「今のお客様と同等の規模のお客様にご利用いただき、中長期的に顧客基盤を構築していきたいです」と中井氏は語ってくれた。