2019年9月10日8:00
駅の券売機、ホテルや病院、駐車場の精算機などは、2020年3月に迫った実行計画のICカード化対応の期限に向け、急ピッ チで準備が進められている。オムロン ソーシアルソリューションズ、日本電産サンキョー、ID Tech JAPANなどは、自動販売 機や精算機などを製造している企業に対し、自走式のリーダライターを使ったクレジットICを提案している。オムロン ソーシ アルソリューションズによると、クレジットカード対応が求められる比較的高額な券売機や自動販売機の国内市場は、10万~ 15万台以上の規模になるという。
オムロンは「DUKPT」による 非保持化に対応した機器を販売
国内の券売機や自動販売機は、磁気カードのストライプを読む 機種も多いが、自走式リーダーライターを搭載しており、中に磁気ヘッドやICカードを読み取るヘッドが付いている。カードを挿入すると、磁気リーダーを読むと同時に、ICの接点を読み取って 排出する機構になっている。ATMや駅の券売機、精算機などの利用シーンは多いが、利用者はカードを取り込んで排出する流れに慣れている。
例えば、クレジットカードの決済端末を用いて精算機のICカード化対応をする場合、カードを読むと、クレジットカード処理の途中で中途半端にカードを抜かれるといった問題が発生しているという。スーパーなどの場合、店員が注意を促すことができるが、券売機や精算機といった無人機では注意ができない。そのため、オムロンソーシアルソリューションズでは券売機や精算機などでも自走式リーダライターを使ってIC化対応が可能な「eZ Square(イージースクエア)」を提供している。
「eZ Square」は、EMVレベル1に対応したカードリーダーを接続することでの、EMVレベル2の取得に加え、PIN入力のセキュリティ基準である「PCI PTS」に対応したPINパッドの接続にも対応している。オムロン ソーシアル ソリューションズ 事業開発統轄本部 生活ソリューション事業本部 EFTS事業統括部 相田宏明氏は、「PAN情報をセンターとやり取りするために、トランザクションごとに異なる暗号鍵による処理を行 うことが可能な「DUKPT(Derive Unique Key Per Transaction)」 による非保持化も実現できています。DUKPTに関してはセンター 側からの要望も増えています」と話す。同社工場出荷時にキーイ ンジェクションするため、リモートキーインジェクションの仕組みの構築は不要だ。また、オプションとして、鉄道向け券売機で設計したPCI PTS(EPP)認定済みのPINPAD(ピンパッド)を提供 している。
自販機、ガソリンスタンド、鉄道などで対応が進む
※書籍「PCI DSS・カードセキュリティ・実行計画対策ガイド」より