2019年9月24日8:00
eBay Japan合同会社は、インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」において、ネットプロテクションズの後払い決サービス「atone(アトネ)」の導入を決定したと発表した。 「Qoo10」では2019年10月23日から利用が可能となり、若年層を中心としたユーザーの利用拡大を期待している。
大規模総合モール事業で第三者提供型の後払いは国内初に
「Qoo10」は、ファッションやコスメが人気のeBayグループのショッピングモールで、登録会員数約1,200万(2019年6月実績)を誇る。また、月間3.4億PV、セラー数1万1,000社、出品数2,600万点以上となっている。20~40%の利用が若い女性となり、年間新規会員は20~30%、年間流通総額は30~40%で成長している。また、2022年は流通総額5,000億円を目指している。
これまで「Qoo10」では、決済手段として、クレジットカード決済、銀行振込み、コンビニ決済、PayPal、キャリア決済、ネットバンキング、Suicaの電子マネー決済を導入してきたが、「グループ初の試みとして後払いを導入しました」とeBay Japan合同会社 JPファイナンス コントローラー 神谷香菜子氏は説明する。eBayグループ全体でも未回収リスク保証型後払いが導入されるのは初であり、国内EC業界大手の総合モール事業において後払い事業を開始するのは楽天市場に次いで2社目となる。楽天市場では、自社決済「楽天ペイ」内の1決済手段としてサービスを提供しているが、「第三者提供型の後払いは国内初」であるとした。
メインユーザーである20~40代にマッチし、ほぼすべての支払いをカバー
「atone」は2~3分で完了する会員登録をすると利用可能な決済サービスだ。ネットプロテクションズでは、商品を確認した後、請求書を使って全国のコンビニ・郵便局・銀行で支払いができる「NP後払い」を提供しているが、これは取引の都度請求書が発行される。「atone」では、月の決済代金を翌月にまとめて支払うことができる。登録制であること、請求を集約できることで、「NP後払い」に比べ、より未払いのリスクを軽減させることが可能だ。また、「atoneは、NPあと払いよりも年代は若くなっています」とネットプロテクションズ シニア・ビジネスプランナー 杉山崇氏は話す。
「Qoo10」では、「atone」導入の経緯として、メインユーザーである20~40代の女性の支払いニーズにマッチしていること、客単価が4,000~5,000円ということもあり、ほとんどの支払いをカバーできる点を挙げた。「atone」利用者の上限金額は5万円だが、利用実績に応じて10万円まで高まる。
総合モール事業は腕時計・ジュエリー、アウトドア・ゴルフ、金券・チケット、家電、スマホ・PC、ホテル予約などの顧客ニーズにも応える必要があるが、「atone」ではそのニーズに対応できることも大きかったそうだ。さらに、決済手数料率も他社に比べて希望に合致するものだったという。
「Qoo10」は顧客利便性向上に向けて新たな支払い手段導入も検討
あと払い事業者の分割払い参入への見解、NPでの展開は?
今回の後払い対応により、流通額は5~10%上昇し、後払いの利用比率も10~15%程度になると予測している。なお、「Qoo10」では顧客利便性向上に向け、「3~4の支払い手段導入に向けて準備を進めています」と神谷氏は教えてくれた。
利用促進と認知向上に向け、10月1日の増税後は、eBay Japanとネットプロテクションズ共同のキャンペーンなどを検討、実施していく予定だという。
なお、9月18日にはメルペイが「MERPAY CONFERENCE 2019_SEP.」において、後払いの発展サービスとして、分割払いを2020年初頭に開始すると発表した。すでに後払い事業者ではPaidyが先行して分割払いをスタートしているが、現状、「atone」では利用者などから分割払いを望む声も決して多くはないそうだ。atoneの平均単価は3,000円台で、月の請求1万円弱が多い。ネットプロテクションズでは、なるべく安く、便利に提供できるかを考えて「atone」を提供開始しているが、仮に分割払いの提供で、「お客様の利便性が下がる。お店に対して提供する料金が変わると目指す形とズレてしまいます」と杉山氏は語った。その一方で、後払いの対応範囲は拡大しており、近年では旅行などへの適用もみられるため、その際は考える可能性があるとした。すでに台湾で提供している「AFTEE」では分割払いの準備を進めているという。