2019年10月4日8:15
トークン化により保険会社はダイレクトマーケティングの安全な運用が可能に
TIS インテックグループのアグレックスは、保険会社のダイレクトマーケティングにおけるクレジットカード情報の非保持化を実現する「非保持化BPO プラットフォーム for 保険ダイレクトマーケティング」を提供している。同社では、PCI DSS に準拠した共通運用センターと、クレジットカード番号を別番号に置き換え(トークン化)管理する共通システムをPCI DSS 対応のクラウド基盤上に構築した。
保険会社からの要望を受けてシステム構築
クレジットカード番号は無価値なトークンに変換
アグレックスは、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)、SS(ソフトウェアソリューション)、 SI(システムインテグレーション)を柱にビジネスを提供している。同社では、保険会社や通信会社などからの依頼を受け、クレジットカード情報のデータ入力、クレジットカード情報からの有効性データの確認、売り上げデータ作成などの業務を実施。2018 年6月に施行された改正割賦販売法、また、クレジットカード加盟店に対するセキュリティ対策の具体的な指針として「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画」が、経済産業省より発表された。アグレックスにも保険会社からカード情報の非保持化を実現するためのソリューションを提供する要望があり、PCI DSS 準拠の検討を開始し、新システム構築に至った。
アグレックス ビジネスファンクションサービス事業本部 BFS戦略企画部 シニアエキスパート 高林伸吉氏は、「保険会社として、既存のビジネスのスキームを崩さないようにしたいという要望があり、どうサービスを提供すればそれが実現できるかの検討を始め、お客様とディスカッションを重ねて、スキームづくりをするところから始まりました」と説明する。
2018 年7 月に提供開始した「非保持化BPO プラットフォームfor 保険ダイレクトマーケティング」は、 新たに構築した「非保持化BPO プラットフォーム」と、 アグレックスが従来から提供しているクレジットカード会員情報を活用し、ダイレクトメールを使って保険加入募集を行うダイレクトマーケティングにおける一連のBPO 業務を組み合わせて提供するものとなる。これにより、カード情報の非保持化、PCI DSS への準拠に対応しながら保険商品のダイレクトマーケティングを実現可能だ。
「保険会社のデータベースをわれわれがすべてトークンに変換して、その情報で売り上げデータや有効性データをいただき、生番号に戻してカード会社やCDS/JTANS といったネットサービスにデータを送る流れとなっています」(高林氏)
クレジットカード番号は無価値なトークンに置き換えられるため、保険会社は非保持化に対応でき、安全にデータを管理できる。「業務システムはトークンで運用しますが、連携するときにPCI DSS 認証したシステムと、BPO センターを経由して、カード会社やCDS/JTANS に送る流れとなります」(高林氏)。これにより、保険会社は、社内でPCI DSS に準拠したシステム開発・運用を行うことなく、非保持化を実現できる。仮に保険会社が照会する際は、トークンを利用する形だ。
クラウド基盤にアプリケーションを構築
代替コントロールは複数箇所で適用へ
PCI DSS 準拠に向け、社内の意識が固まったのは2017 年8 月で、保険会社との打ち合わせは同年10 月から開始している。要件定義は2018 年10 月からスタート。PCI DSS 準拠に向けては、コンサルティングサービスを展開するTIS の協力を得ている。トークンを管理する共通システムは、カード番号をトークン化したり、必要に応じてトークンをカード番号に戻す「デトークン」の仕組みとなるが、TIS のPCI DSS に準拠したPAYCIERGE クラウド基盤サービス「ROUNDAHEAD(ラウンドアヘッド)」を採用しており、その上に同社のアプリケーションを載せている。
さらに、 PCI DSS に準拠した共通運用センターは一から構築。同センターは2017 年10 月に構築を開始し、2018 年7 月末にファーストユーザーがローンチしている。
更新審査は共通システムと共通運用センターで一括認証を取得
保険会社以外のサービス提供も視野に
※書籍「PCI DSS・カードセキュリティ・実行計画対策ガイド」より
※掲載当初、キャプションのお名前に誤りがございました。お詫びして修正いたします。