決済の領域でもas a ServiceのPaaSに注目が集まる?

2020年2月28日8:48

“as a Service”という言葉が、よく使われている。“as a Service”とは、情報システムの構築や運用に必要なソフトウェアやハードウェアなどコンピュータ処理に必要な全てを、インターネットを通じてサービスの形で提供または利用する概念を表す言葉である。レポート「世界の決済イノベーション市場要覧」の第8章では、PaaS(Payments as a Service、サービスとしてのペイメント)について紹介している。日本でも海外をモチーフにPaaSを用いる企業も出てきている。

“as a Service”の分類は?

“as a Service”が最初に使われるようになったのが、SaaS(Software as a Service、サービスとしてのソフトウェア)である。従来、パソコンなどのソフトウェアはユーザーがソフトウェアの開発・販売を行う提供元から購入したり長期的な契約を結んで、パソコンなどのコンピュータにソフトウェアをインストールし、ソフトウェアの機能を利用していた。SaaS(Software as a Service、サービスとしてのソフトウェア)では、ユーザーはパソコンなどからインターネットを通じて、ソフトウェアの機能を必要な時に必要なだけ利用することができ、利用実績に応じて料金を支払う方法である。

一方、IT関連の用語である“Cloud”(雲)は、必要に応じてコンピュータリソースを利用するという概念を意味する。(図表)は、クラウド(Cloud、雲)コンピューティング を“as a Service”のサービスモデルとして分類したもので、大きく「SaaS(Software as a Service、サービスとしてのソフトエア)」「PaaS(Platform as a Service、サービスとしてのプラットフォーム)」「IaaS(Infrastructure as a Service、サービスとしてのインフラストラクチャ)」の3つに分けられる。

“as a Service”は、コンピュータ処理に必要なあらゆる機能をサービスとして提供する概念としても用いられている。ユーザー認証や位置情報などスマートフォンアプリやオンラインサービスなどのBackendのBaaS(Backend as a Service、サービスとしてバックエンド)、デスクトップパソコン環境のDaaS(Desktop as a Service、サービスとしてのデスクトップ)などがある。

(図表)クラウドの『as a Service』としての分類

SaaS(Software as a Service)

サービスとしてのソフトウェア

ソフトウェアの機能を、インターネットを通じて提供または利用する

PaaS(Platform as a Service)

サービスとしてのプラットフォーム

アプリケーションを構築するためのミドルウェアと開発環境とソフトウェアの実行環境を、インターネットを通じて提供または利用する

IaaS(Infrastructure as a Service)

サービスとしてのインフラストラクチャ

サーバーやストレージなどのハードウェアの利用環境を、インターネットを通じ、仮想化されたサーバーコンピュータとして提供または利用する

各種資料より作成

PaaS(Payments as a Service)は決済のマーケティング用語として注目

ペイメント(決済)分野にも、PaaS(Payments as a Service、サービスとしてのペイメント)という用語が登場している。クラウド環境で国際的なペイメントスキームと接続し、ペイメントトランザクション処理を行うペイメントサービスプロバイダーやペイメントプロセッサー、モバイルPOSなどのPOSペイメントサービスなどの業界を中心に一種のマーケティング用語として使われるようになっている。こうしたPaaS(Payments as a Service、サービスとしてのペイメント)は、マーチャント(カード加盟店)やその他の参加者が単一のインターフェースを通じて、地域や世界各地のペイメントオプションを利用できるように設計されている。

PaaS(Payments as a Service)と同様に、一種のマーケティング用語として使われる“as a Service”には、交通分野のMaaS(Mobility as a Service)などがある。MaaS(Mobility as a Service)は、従来マイカーのように所有し、使用されてきた製品の機能や価値をサービスとして必要な時に提供し、使用する概念として使われるようになっている。

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