2020年3月12日8:00
多くの顧客動向データを収集し商品・サービスの改善に活かす
すき家、なか卯などの飲食店を全国で約4,000店舗展開するゼンショーホールディングスは、2019年7月より、ハウスカード「ZENSHO CooCa(ゼンショークーカ)」の位置付けの変更に着手。「CooCa」から電子マネー機能を外してポイント機能に特化するとともに、「楽天スーパーポイント」「Pontaポイント」「dポイント」の3種の共通ポイントを導入。どのポイントシステムを利用した場合でも、現金支払いを含むすべての決済で、200円につき1ポイントを付与。顧客の利便性を向上すると同時に、これら各社との連携によって、より多くのマーケティングデータを収集し、商品・サービスの改善につなげる。
ハウスカードを見直し共通ポイント導入
カードの提示率は高まる
すき家、なか卯、はま寿司、ココスなどの飲食店チェーンを展開するゼンショーホールディングスでは、2019年7月から順次、共通ポイントの「楽天スーパーポイント」「Pontaポイント」「dポイント」の導入を開始。11月までに全国3,757店舗への導入を完了した。
これと同時に、ハウスカード「ZENSHO CooCa(ゼンショークーカ)」で2015年より提供してきた電子マネー(プリペイド)機能の終了を告知。2019年11月25日に「CooCa」へのチャージを終了し、2021年11月末にチャージされた電子マネーの利用を終了する。これまでは電子マネーの利用のみで付与していたポイントを、現金決済を含むすべての決済手段で200円につき1ポイントが付与される仕組みとした。今回導入した共通ポイントでも同率のポイントが付く。
「このサービス改訂は、お客様の利便性を第一義に考えた結果。いつも財布に入っているカードを使って、日頃からお使いのポイントを当社の店舗でも貯めて使えるようにすることで来店促進につなげるのが狙いです」と、電子マネーZENSHO CooCaの発行とポイントサービスの企画運用を行うゼンショー・クーカ 代表取締役社長 渡辺泰治氏は共通ポイント導入の経緯を説明する。
同時に同社では、この施策により、大量のマーケティングデータを収集することが可能になった。実数値は非公表であるが、共通ポイントを導入した結果、「ポイントカードの提示率は、われわれが想定した以上に増えています」(渡辺氏)。これまで収集されていた情報は「CooCa」の電子マネー機能を使いポイントを貯めるヘビーユーザーに偏っていたものが、一気により多くの情報を網羅できるようになった。共通ポイントでは同社は個人情報は一切取得しないが、顧客の動向や嗜好などについての情報を得ることが可能。各社と密に連携をとりながら、これらのデータを商品・サービスの改善、キャンペーン展開などのマーケティングに活用していくことが、次のフェーズとなる。
国内外のQRコード決済を導入
モバイルオーダーの実施も開始
今回のサービス改訂で同社アプリからは電子マネー決済機能が外れることになったが、同社はキャッシュレス決済の導入にも積極的な姿勢を見せる。なか卯が現金のみに対応する券売機を設置していることもあり、同社全体ではまだ現金決済の比率が高いというものの、その他5業態では6種類のブランドのクレジットカードの利用が可能であり、2019年7月からは非接触決済サービスの取り扱いも始めている。そのほかにすき家、はま寿司、ビッグボーイの3業態では「QUICPay」「iD」「楽天Edy」および「Suica」など交通系電子マネーによる決済に対応。QRコード決済では、すき家で2020年2月に「PayPay」、3月から「LINE Pay」を開始し、5月に「メルペイ」も導入する予定だ。また、「Alipay」と「WeChat Pay」にも対応し、外国人の多い店舗では高い利用率を記録している。
すき家においては、2019年7月からモバイルオーダーを開始。利用者があらかじめクレジットカードを登録した専用スマホアプリで、テーブル上のQRコードを読み取ることによって、注文と決済を瞬時に完了。会計のために店内のレジに並ぶ必要がなく、LINEなどで配信している割引クーポンも自動で適用される。モバイルの活用という点においては、同社は早くからLINEなどのアカウントを運用して顧客との関係強化に努めており、モバイルオーダーはその延長線上にあるサービスだ。
渡辺氏は、「当社が追求するのはお客様の利便性と、店舗のスムーズなオペレーション。キャッシュレスはこれを実現するためのひとつの手段だと考えています」と話す。社会状況の変化に合わせて随時システムを改修しながら、新しいサービスを採り入れていきたい考えだ。
カード決済&リテールサービスの強化書2020より