2010年11月30日8:10
「注目のペイメントビジネス」~クレディセゾン(2)
非接触ICカードを利用した電子マネーの課題を一気に解決
今後はリアルでの発行も検討
サービスの提供においては、Visaの決済ネットワークである「VisaNet」を介して、カードにチャージされた残高と加盟店からの決済データをリアルタイムに照合するシステムを構築。まずはユニクロオンラインギフトカードをWeb限定で発行したが、「今後はリアルの店舗も含めていろいろなサービスを展開していきたい」と吉中氏は期待を示す。
「国際ブランドのインフラを活用したプリペイドカードは、全世界のクレジットカード加盟店網を利用できる点、端末の設置やPOSの入れ替えが不要な点など、非接触ICカードを利用した電子マネーの課題を一気に解決することが可能です。また、国際ブランドからライセンスを取得した会社しか発行することができないため、カード会社には優位性があります」(吉中氏)
なお、国内ではバッチ処理など、ブランドプリペイドの展開に当たりインフラ面の課題があることも認識している。「当面はリアルで展開する際に、利用範囲を制限する必要があるものの、ブランドとも協力して課題解決に努めていきたい」と吉中氏は説明する。
CRM活動にも有効活用
他社に先駆けニーズを開拓へ
同社がブランドプリペイドを展開する上での強みは、提携カードの発行など、流通企業とのパイプが太い点が挙げられる。具体的な戦略は営業上、非公開とのことだが、あくまでもクライアントニーズにマッチする形で提供する方針だ。例えば、未成年を含む顧客に幅広くプリペイドカードを発行し、一定の利用に応じて残高にボーナスチャージをするなど、顧客管理・来店促進ツールとして有効利用できるとしている。
「プリペイドはクレジットとは異なり展開する市場の見極めが重要となります。プリペイドカードというと、コンビニなどで利用できる電子マネーが想起されますが、弊社としては、単なる小額決済のツールとして捉えるのではなく、顧客管理なども含めた提携先の営業戦略支援に貢献していくとともに、弊社としての収益性の確保を実現していきたいと考えています」(吉中氏)
今後は他社も同様のサービスを展開することが考えられるが、「同じ土俵であれば小売との提携で培ったマーケティング力や現場力、及び消費の中心である女性会員を多く擁している点なども考えると、負けることはないと思います」と吉中氏は自信を見せる。