2020年6月4日7:00
STマイクロエレクトロニクス(ST)は、 自動車用デジタル・キー向けNFC リーダライタICのST25R3920を発表した。同製品は、キーの応答速度や通信範囲といった性能が向上されており、ST25Rファミリの製品ポートフォリオを拡充する製品だという。
デジタル・キーは、 自動車の解錠 / 施錠をスマートフォンで操作できる利便性に加え、 使用権限をほかのユーザ(友人や駐車場の係員など)と簡単に共有して管理できるといった機能を実現可能だ。これにより、サブスクリプション・サービスのような自動車の新しい所有形態への拡張性も持たせることができる。また、Car Connectivity Consortium(CCC)によるDigital Key Release 2.0規格に準拠しているため、スマートフォンのバッテリ低下により通常の操作ができなくなった場合でも、キーを使用することができるという。
ST25R3920は、ダイナミック・パワー制御(DPO)およびノイズ抑制レシーバ(NSR)という独自の技術を搭載しており、RF出力パワーも増強されているという。また、自動車キーの応答速度や利便性を向上させる入力回路を備えている。
DPOにより、最大1.6WのRF連続出力パワーと最大2.5Wのピーク入力パワーで動作するため、小型のアンテナで長距離かつ高い信頼性を持ったNFC通信を維持することができる。また、ST独自のNSR技術によりノイズ源の干渉に対する耐性が向上しているため、 EMC対策および各種認証取得の簡略化が可能だ。さらに、自動アンテナ・チューニング(AAT)により外部環境から受けたチューニング変動を自動補正し、スマートフォンとの通信を最良の状態に維持することができるそうだ。電磁誘導方式ウェイクアップによる低消費電力のキー接近検知により、キーを使用していないときの待機バッテリ負荷を最小限に抑えることも可能だ。
ST25R3920は、ドア・ハンドル、Bピラー、センター・コンソールなど、アンテナのサイズに制約のある狭い場所での実装に最適だとしている。
ST25R3920は、 世界各国の主要自動車メーカー、 スマートフォン・メーカー、および電子機器サプライヤが参画するCCCのDigital Key Release 2.0規格をサポートしている。また、ST25R3920はNFC Forumの認証(Reader Devicesカテゴリ)も取得しており、P2Pを含む全NFCモードをサポートするNFCユニバーサル・デバイスとしても機能する。ペアリング用のNFC Forum規格に加えてEMVCo 3.0規格にも準拠しているため、電気自動車の充電サービス以外にも、車載用NFC決済端末として使用することも可能だ。さらに、独自の新しいQiワイヤレス充電用NFCカード保護アルゴリズムにより、モバイル機器の安全なワイヤレス充電を実現するそうだ。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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