2020年8月29日20:24
大日本印刷(DNP)は、個人の同意に基づき、パーソナルデータの流通を担う「情報銀行(情報信託機能)」事業に参入を検討している事業者向けに、個々の専用環境で情報銀行の実証を行える「情報銀行サンドボックス」を提供すると発表した。情報銀行サンドボックスはコンピュータ内に構築されたセキュリティの高い仮想空間で、総務省と経済産業省の「情報信託機能の認定に係る指針ver2.0」 を考慮したシステムプラットフォームであり、企業は大規模な設備投資を行うことなく、簡易に短期間で実証を行うことができるという。
DNPは2019年に提供開始したシステムプラットフォームをベースに、少額で情報銀行の実証を行える「情報銀行サンドボックス」を提供するそうだ。
特徴として、「生活者向け」「サービス事業者向け」「情報銀行事業者向け」の3つのアプリケーションをパッケージで提供する。生活者が提供に同意したパーソナルデータをもとに、サービス事業者が個々の生活者にデータ利用のオファーを配信できるようになる。また、情報銀行事業者はオファー状況等のデータ管理ができる。
「生活者向け」が自分のパーソナルデータを管理できるスマートフォン用アプリ、「サービス事業者向け」が提供されたパーソナルデータの活用を支援するWeb用アプリ、「情報銀行事業者向け」が生活者とサービス事業者の間で流通するデータを管理するWeb用アプリとなる。
また、生活者が情報銀行に情報を信託する時、パーソナルデータへの本人関与(コントローラビリティ)が重要となる。「情報銀行サンドボックス」では、生活者本人が同意した一定の条件においてパーソナルデータの提供先となるサービス事業者を判断する「包括的同意」、生活者がサービス事業者ごとに提供可否を判断できる「個別同意」という多様な「同意設定機能」を有している。また、生活者がパーソナルデータの提供履歴を確認できる「トレーサビリティ機能」を実装し、コントローラビリティを確保している。実証環境として、各実施企業が専有できるクラウド環境を提供するそうだ。
さらに、「生活者向けアプリ」では、生活者の属性・嗜好・生活習慣・ライフログといったパーソナルデータを格納できるため、さまざまなシーンを想定した実証が行える。会員一人ひとりのニーズに合ったサービスを提供したい企業、地域のサービス事業者と連携した地域活性化を目指す企業、観光やエンターテインメント関連で生活者に寄り添ったサービスを提供したい企業などに適しているという。
価格(税抜)は330万円~(約2ヵ月の設定に関する準備期間と3ヵ月間利用をした場合)。DNPは、「情報銀行サンドボックス」を年間50件の実証へ提供していき、情報銀行事業に参入を検討する企業を支援していく。また、すでに提供している情報銀行システムプラットフォームの導入も拡大していく方針だ。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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