2011年8月1日8:00
携帯キャリア決済で新しい課金サービスの領域を開く
通信料金と合算して請求する「ドコモ ケータイ払い」を提供
国内の携帯キャリア最大手であるNTTドコモでは、キャリア決済サービスとして「ドコモ ケータイ払い」を提供している。オンラインショッピングやデジタルコンテンツなどの支払いを、毎月の通信料と合算して請求するキャリア決済のメリットについて話を聞いた。
NTTドコモ
4桁のiモードパスワードのみで決済が完了
物販やデジタルコンテンツで着々と採用を増やす
NTTドコモが提供する「ドコモ ケータイ払い」は、ショッピングサイトでの買い物、デジタルコンテンツやオンラインゲームの利用料金を、月々の通信料金と合算して支払うことができるサービスである。売上確定時にドコモ側が事業者から債権を譲り受けるシステムのため、売上代金が未回収となるリスクが少ないのが特徴となっている。
「ドコモ ケータイ払い」の利用者は、契約開始時点では1万円まで、一定の条件を満たしたユーザーは2万円まで支払いが可能だ。利用者は、加盟店におけるショッピング時の支払い方法の選択で、「ドコモ ケータイ払い」を選択し、4桁のiモードパスワードを入力する。携帯電話ユーザーを対象としているため、回線認証が取れており、パスワードの入力のみで簡単に決済が行えるのが特徴となっている。
なお、月々の利用明細については、iモードサイトおよびPCサイト「My docomo」から確認できる。
現在、ドコモ ケータイ払いが利用できるサイトは600~700となっており、年々、その数は伸びている。大手企業を中心に採用実績を築いており、物販ではTOHOシネマズ、HMV、タワーレコード、ビッダーズ、デジタルコンテンツではモバゲーやハンゲームなどと提携している。売上に関しては非公開だが、トランザクションベースではオンラインゲームの占める割合が高く、物販は利用単価が高いため、両社の売上に占める比率はほぼ半々となっている。
今後の加盟店獲得については、「従来の大手物販サイトやデジタルコンテンツ以外にも、出前や生活に近い通販など、よりかゆい所に手が届くようなサイトを目指していきたい」(NTTドコモ スマートコミュニケーションサービス部 コンテンツ推進室 コンテンツ開拓担当主査 鈴木 貴久彦氏)としている。
スマートフォンも年度内の対応を予定
タブレット端末はPCの代替になる可能性も
現状、ドコモ ケータイ払いは、従来の携帯電話のみの利用となっているが、「スマートフォン端末が増えるなか、ドコモケータイ払いの売上自体は安定して伸びている」(鈴木貴氏)そうだ。
スマートフォンやタブレット端末への対応については、年度内の対応に向け準備を進めている。NTTドコモにおいても、従来の携帯電話からスマートフォンへのシフトが進んでおり、今後もこの流れは続くと見ている。ドコモケータイ払いをスマートフォンに対応させる際には、従来の携帯のように回線認証がとれない可能性があるため、docomo IDとパスワードを利用した決済になる可能性もある。
「ドコモ ケータイ払いのスマートフォン対応は環境の変化だと考えていて、ドコモ自身、タブレット端末の開発に力を入れていますが、それはPCに近いものとして位置付けています。昨今では、ケータイでも通信販売が行われていますが、タブレット端末では、より大きな画面を利用して、決済が行えるため、今後はPCの代わりに活用される可能性は十分にあると考えています」(NTTドコモ スマートコミュニケーションサービス部 コンテンツ推進室 コンテンツ開拓担当課長 鈴木政宏氏)
回線認証の取れないPCによる決済に関しては、「検討はしているものの本業である携帯電話やタブレット端末をベースにビジネスを考えていきたい。PCへの対応はタブレット端末と平行して検討したい」(鈴木貴氏)としている。
なお、加盟店への営業については、同社自身で行う場合とソフトバンク・ペイメント・サービスやペイジェントなどの決済代行事業者が行うケースがある。
他キャリアも含めての浸透が必要
「NTTネット決済」の手段の1つとしても展開
今後は加盟店の拡大とともに、新しい決済ツールとして、利用者への浸透も期待される。ドコモケータイ払いはドコモのユーザーを対象にした決済手段だが、「利用者の立場から考えれば、ドコモだけではなく、他のキャリアの決済手段も含め、同一の加盟店で利用できる環境が整った方が便利なはずです」と鈴木貴氏は話す。同社としての展開はもちろん、他キャリアも含め、携帯キャリア決済の利便性や安全性などの優位点をアピールしていく必要がありそうだ。
なお、ドコモケータイ払いはNTTドコモ、NTTレゾナント、NTTコミュニケーションズが展開する「NTTログインID」で利用できる「NTTネット決済」での決済手段の1つとなっている。今後は、7,000万人以上の会員がいるNTTログインIDユーザーの利用も期待できそうだ。